初めてのスクーリング

大阪芸大に入学してから初めてのスクーリング2日間を終えた。自宅からだと3時間くらいかかるのだが、通う気でいた。何の疑いもなしに。しかも主人が「全力でサポートするから」と言ってくれていたので、自宅から学校まで自家用車で行くつもりでいた。(私は助手席に乗っているだけだ)なんて気楽に思っていたのだが、主人が長期で出張のため不在。前々日になり改めて学校までの道のりをGoogle先生と相談。初日はスクールバスの乗り場まで迷うかもしれないし、コロナでバスの定員も減らしているらしいし、広い構内で教室にスムーズにたどり着ける自信もない。30分は絶対に早めに着きたいなどと考えると5時半過ぎには自宅を出なくてはならない計算だ。

「・・・」

それはつらい。朝は得意だ。しかし1日だけではない。帰りも3時間程度かかかる。家に帰ってまた次の日5時半に出かけるなんて無理。

まず、学校の最寄である喜志駅のホテルを探した。え、ない。ホテルが無い。ビジネスホテルが無いのだ。金額やきれいさなどを見ていくと結果的に便利なのは天王寺だった。大阪阿倍野橋駅に近いビジネスホテルをチェック。1泊7000円なり。主人にも相談したところ背中を押してくれたのでポチっと。これが結果的に最高だった。金曜の夕方にホテルにチェックイン。近鉄のデパ地下で夕飯を買いホテルで食べた。ホテルからは20分と少し乗れば喜志駅に着く。最高。学ぶことだけに集中ができる。

スクーリング1日目。先生がとってもフランクに教室に入ってくる。「えっと、フェイスシールド配りますぅ」「教室を分けてるから行ったり来たり大変なのよ~」緊張している生徒を前に恐らく先生はわざとあんな感じにお話されていたのだと思う。誰も返事をしないし、何だか重苦しい社会人的な集り感。なんだか気が重くなった。

教室はコロナ対策で2部屋に分かれていたため、先生はプリントを配り説明するともう一方の教室に走る。それをひたすら繰り返していた。階段で行ったり来たり。すごい大変だと思う。でもとっても元気にガンガンお話されるのですっかり先生のペースだ。

わたしは譜面を見てどんな音楽なのかは大体分かる・・・と思う。今まで様々な現場でたくさんの譜面に向き合ってきて大きく外したことは一度もない。ただ、それがどういった仕組みなのか、はたまた音楽的な専門的な理解ができていたかは危うい。自身の理解度というよりピアニストさんやオーケストラの皆さん、指揮の方に導かれて理解が深まっていたんだと思う。

したがって今回のこの作品制作という授業はしょっぱなからわりかしチンプンカンプンであった。ハニホヘトイロハ、CDEFGAH、ドレミファソラシド、、、これは普通に当たり前に言える。が、「じゃあ反対から言ってみて」たちまち固まった。

最も苦手としている、というか1度も理解できなかった調の勉強をこの2日でやるっぽいぞということは開始早々に理解した。

鬱。まじか、絶対にわからない。付いていけない。あー。

「はい、みんなで言ってみて」

「G-D-A-E~」

あーーーーみんな待って。わたしを置いていかないで・・・。泣

周りの皆さんは音楽を理解できている方が多くて、音符もきちんと書けるし、調も分かってるっぽい。ピアノの先生とか、シンガーソングライターなんて方もいらっしゃった。

幸い先生が行ったり来たりするので、考えたり確認する時間がたくさんあった。先生がいなくなったらひたすら書く。書いて覚える。セリフも書いて覚えるタイプ。ドイツ名、調の順番、#がつく順番、♭がつく順番、覚えられるものはひたすらに覚えて授業の最後には言えるようになった。今日も言える。まだ忘れていない。

1枚ずつプリントを進めて、先生の説明を聞いて、答え合わせに回ってくる先生からまた教えていただいて、だんだんバラバラが1つにまとまりだした。ただ、先生には「まったく学については初心者なのでとんちんかんです」とお伝えした。

先生はすごい知識の塊で、それは先生だから当然ではないことは知っている。だから泉のように知識が湧き出る先生はかっこいいし、出会えてラッキーだと思った。

1日目の最終課題は作曲すること。

「え、ピアノないのに?え?作曲とか生まれてから一度もやったことない。」

しかし、正しいコード進行を考えればできるんですね。感動しました。鍵盤に触らずに作曲するなんて。信じられないし、自分が作曲する日が来るなて思ってもいなかった。7時間半、5コマの授業の最後には全員の曲を先生が弾く発表会が行われた。全員頭の中で鳴らした音が実際はどうなっているのか?ドキドキだ。でも、不思議とみんなちゃんとメロディが流れていた。

すごい。魔法みたいだと思った。

学部生になりたいと思った。もっと時間をかけてこれを学びたい。これだけじゃなくて、駆け足じゃなくてちゃんと知りたい。

でも、自分ができる最高がここだ。時間的にもお金的にも。そう言い聞かせた。

俄然やる気になった。明日はもっともっと成長したいと心に決めて天王寺のホテルへと帰った。ホテルでプリントとノートを広げ、またまた書いた。ひたすら書いた。自分で問題を作っては答えていく。そんなこと高校生以来だ。

何だか眠りが浅かった。学ぶことでアドレナリンが出ているのか!?

大人になって学ぶことは興奮するんだと思うとなんだか笑える。そんな自分が面白い。

面白い人生でよかった。

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