続・大学に行きたい

大学を1年の3月で辞めた(この短期間では中退とすら呼べない)

ただ、毎日芝居とバイトができたので幸せだった。大作にも出ることができたし、無我夢中で駆け抜けた20代。

別に学なんてなくても仕事はできるし、現場現場で学ぶことも多く、人との出会いもかなり多い職業だと思う。

ただ、クイズ番組とかで活躍するインテリ俳優さんとかタレントさんはかっこいいな。素敵だな。私がだらだらと自分を甘やかしてたった1年で諦めてしまった4年間を自分に鞭打って乗り越えて今そこにいるんだろうなと思うことが多々ありました。

大学を卒業したと聞くだけでいつの日からか尊敬と羨望が膨らんでいました。

だがしかし、お金的にも、時間的にも、改めて大学に行こうなんて思ったことは正直1度もなく、気づけば35歳。

34歳で結婚し、主人は自営業の傍ら大学院の職員を勤め、研究の日々。大学には学士、医療系、そして医学系の大学院と計3回入学しています。

学び続ける彼の姿はキラキラしていて応援せずにはいられませんでした。

そんな矢先、とある現場で「30を過ぎてから音大を卒業しました。去年とかですよ卒業したのは」なんてことをサラリと言った女優さんがいました。

「え???なにそれ?大学ってそんなに大人でも行けるの?」

なんか根本的なことっていうか、そこがごっそり抜け落ちていたんですよね。

大学は18歳で入学する

これがどうしても頭にあったので、ガラかめとかまるちゃんの

「ガーーーーン」

って感じ。衝撃でした。

幸い自身の住んでいる地域に公立の音大があったので、調べてみると社会人枠があり、そこなら受験できそうということが分かりました。

この時10月。大学に資料をもらいに行って、受験内容などを調べてみる。

1か月やそこらでピアニストの役、医者、花魁、外国人、刺繍家・・・

あらゆる職業の役を演じることが仕事なので、3月まで時間はたっぷりあると思いました。

受験を決意したことを機に近所のピアノ教室に通い始めました。子供の頃に少し、大人になって少し習ったことがあります。

仕事柄、譜面を追うことはできますが、専門的な知識は皆無に等しい。感覚で音楽に触れて向き合ってきたので、教室の先生に〇〇大学を受験したいので対策をお願いしますとお話したところ、

「無理ですね。」

ここでもぴしゃり。その時は、「いやいやできます。毎日死ぬ気でやってみます」と思ったが、あえて言わず。

こそこそと準備して挑戦する気でいたのです。

しかし、私は主婦でもあり、役者でもあり、または主人の仕事も手伝っているものですから、独身時代のように時間をすべて自分には使えません。

思い通りに運ばず、そして、クリアしなければならない課題を目の前に並べたところ、先生が無理だとおっしゃったのは当然であったと。

心のひそかな声を口にしなくてよかったと。昔の私なら絶対口にしてましたね。大人になったのか。35歳。

ひとまず公立の音大への進学は見送ることにしました。

主人はいつでも協力的で、絶対できる、やってごらんというスタンスで、見守ってくれました。とはいえハードルが思っていた100億倍高かったことを説明し、大学話は立消えたのでした。

続く

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