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#1 両手仲介は悪なのか?【Part1】

皆さんこんにちは。今回は両手仲介に関する記事になります。長くなりましたので、2回に分けてお伝えします。

ネットで「両手仲介」や「両手取引」と検索すると両手仲介は違法!?とか 業界の闇とか両手仲介に気をつけろ、悪しき習慣などと両手仲介の問題点が指摘されたマイナスな記事が沢山でてきます。

両手仲介とは?

まず両手仲介とは、売主と買主の間に不動産業者が1社だけ入り、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取り、取引を完了させることです。

片手仲介という言葉もあり、それは売主側に不動産業者A、買主側に不動産業者Bがつき取引を完了させることになります。

両手仲介と片手仲介とでは不動産会社も得られる報酬が違います。当然、両手仲介の方が利益が出ますし、日本では両手仲介自体は違法ではありませんので、やっても良いです。

ですが、1度の取引でより多くの利益を得たいから両手仲介をしたい!と考える不動産会社が売却依頼を受けた場合、売物件を囲って意図的に両手仲介に持っていくことがあります。このことはかなり問題だと思います。

これが問題視されていて、マイナスな記事が多くネット上に上がっているようです。物件を囲わず自然に両手仲介になったのなら、まだ問題はないと思いますが、、、

物件を囲う行為とはどんなものかは下記の記事を参考にしてください。

海外では両手仲介を禁止している国もある

アメリカの半分の州やシンガポールなど、海外ではこの両手仲介を禁止している国も多いです。禁止している理由としては、「利益相反」になってしまうことや先程、お話しした「物件の囲い込み」が起きる原因となっていることなどでしょう。

利益相反とは、一方の利益が、もう一方の不利益になってしまうことで、片手仲介であれば、売主側の不動産会社は売主の希望を優先するでしょうし、買主側の不動産会社は買主の希望を優先するでしょう、それぞれの不動産会社が契約する価格や契約条件などについて交渉や調整を公平に行う可能性が高いです。

ですが、両手仲介だと売主も買主も同じ不動産会社となり、高く売る努力をすれば買主が損をするし、安く買えるように努力すれば売主は損をするという利益相反の関係ができてしまいます。

極端な話ですが、例えば、その不動産会社の営業が成約を急ぐあまり、「購入希望者はOO万円なら、買うといっています。正直、この機を逃すと次はいつになるかわかりません。」などと売主を言いくるめ、相場より安く売却させようとすることもあるでしょう。両手仲介だとこれができてしまいます。
※片手仲介でも起こりうることではありますが、売主側の不動産会社がまともなら売主を言いくるめて安く売らせようとする行為に至る可能性は低いと思いたいです。

このように実際の不動産取引では、両手仲介を行う不動産会社や営業の都合で、売主か買主どちらかの利益が犠牲にされるということが可能性としてあります。

実際の不動産取引ではどうか?

私の経験上ですが、実際の不動産取引で売主さんや買主さんから両手仲介をするつもりなら、「売らない、買わない、契約しない」と言われたことは一度もなく、「両手仲介かどうか」は、売主や買主からすれば、取引をする上で重要な事でない場合が多く、ほとんど関心がないように思えます。

そうなってしまうのもわかりますが、物件を囲い込まれたり、気づかないところ、知らないところで損をしている可能性がありますので、もう少し関心を持った方が良いです。

さまざまなケースがあるので、一概には言えませんが、例えば、物件を囲い込まれて無理やり両手仲介にしようと不動産会社が動いていた場合、その不動産会社でしか買い手は見つかりませんので、売主は早く高く売れる可能性、より良い条件で売れる可能性が確実に減っています。

大手などの両手仲介割合

では、実際のところどれくらい両手仲介が行われているか、大手などの両手仲介の割合をご紹介します。両手取引比率の統計というものがあり、その2022年のデータになりますが、大手・中堅不動産仲介会社29社のうち、誰もが知っている大手6社の両手比率が40%を超えています。この6社のうち50%近い会社が2社もあり、60%を超える両手仲介比率を叩き出す猛者もいます。

全ての取引を囲い込みでやっているとまでは断言できませんが、これは狙ってやらないと到底出ない数字だと思いますし、私が不動産業界にいる年数はまだ少ないのですが、その数年の間でさえ実際に大手がやっているのを見かけることはありました。

購入希望のお客様の希望に近い物件を見つけたは良いが、大手が売りの媒介をしている物件で、問い合わせをしたら「商談中です」、「業物なので」、「決まりました」という対応、このように囲い込まれた物件は買い手に紹介することができません。なので、私のような立場からすれば、囲い込みはやめていただきたいです。

このようなことを考えると、売主は売却できたかもしれないタイミングを逃しているのかもしれませんし、買いたい方も物件情報を得る機会をなくしています。それに買い手側の仲介業者も物件の紹介はできません。得をしているのは、物件を囲い込んでいる不動産会社のみになります。

両手仲介(利益)のためにこんなこと(囲い込み)がおきているので、両手仲介が悪いのかもしれません。いや、両手仲介が悪いというよりかは、昔からそのままの制度としてずっと変わっていないこと、この制度を良しとしていること自体が悪いのかもしれませんね。より良い制度やルールに更新が必要だと思います。

次回の記事はアメリカの不動産取引などに触れつつ、日本の両手仲介について考えていきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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