環境と余命を考えて修理する。
以前修理させて頂いたウェストンの靴が、何年かぶりに帰って来ました。
結構なくたびれ様で、聞くところによると、現在インド在住。面倒を、見てもらえると所もなく履き続けた結果だそうです。
日本滞在中に修理にお持ち込み下さいました。
しかし、つま先はウェルトまですり減っていますし、アッパーのダメージも相当なもの。
お客様自身も、もうこれが最後と思って持って来たと仰っておりました。
この先何度かソール交換するのなら、リウェルトかなと思いますが、意外とつま先以外のウェルトはしっかりしております。
これが最後のソール交換、アッパーの状態も踏まえて考えると、つま先部のみの補修が正解だと思います。
つま先部分に新しいウェルトを継ぎ足して縫い付けるとご覧の様にしっかりと爪先にウェルトが復活します。
ウェルトを継ぎ足す事は、理想からするとやりたく無いです。
ソール交換のために靴をばらす際に、稀にウェルトの継ぎ目からトラブルが起こる事があるからです。
とは言え、この靴はこの先のソール交換は無いわけですから、ウェルトの継ぎ足しは全く問題ないと思います。
何より、画像の様に既製靴の製造に使われるウェルトには物によっては継ぎ目が存在し、靴のどこかに継ぎ目が隠れています。
いざ、ソールを縫い付けて見ました。仕上げ前でもうまい具合に溶け込んでいます。
そして、仕上げてしまえば完全に溶け込んで、どこが継ぎ足しかわかりませんよね。
私自身、インドは行った事が無いし、インドにも様々な場所があるので、想像でしかありませんが、おそらく日本より革靴にとっては過酷な環境だと思います。
その為、この靴の余命を少しでも長く楽しんでもらえる様に充分な油分、水分を補ってアッパーの仕上げもさせて貰いました。
ガシガシ履かれ、しっかり直され、本当の最後の最後まで履かれ、幸せな靴だと思います。
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