日本電気化学工業所 訪問レポート

はじめに

私たちは2022年12月16日(金)に大阪府豊中市蛍池に本社を置く株式会社日本電気化学工業所(通称:NACL)という会社にインタビューを行いました。

現代においてアルミニウムは重要な金属であるといえるでしょう。アルミニウムは軽く丈夫なうえに、電気と熱をよく通すという特徴があります。このアルミニウムに特殊な加工をすることでより丈夫になります。多くあるアルミニウム加工処理で今回紹介したいものはアルマイト処理と呼ばれるものです。アルマイト処理とは電気化学的方法を利用し人工的に酸化皮膜を生成させる処理のことです。このアルマイト処理を行うことによって腐食防止や硬度向上、耐久性向上などが可能となります。

社名の由来

日本電気化学工業所の略名はNACLでNは(日本)、Aはアノダイジング(表面処理)、CLは(コーポレーション)です。

アルミニウム事業を始めた理由

株式会社日本電気化学工業所はアルミニウム加工を専門に事業を行っています。アルミニウムに手を付けた理由ですが、大正12年に初代社長の倉智重吉が、大学卒業後に入社した大沢商会(当時関西随一の貿易商社)でアルミニウム製品と出会い、アルミニウムに「新鮮さ、強靭さ、清潔さに加えて、他の金属には見られない安定した値段に、尽きない発展性が秘められている」ように感じ、更に昭和5年にアルマイトされたアルミニウム製品の販売を担当したことから、「今後の日本の発展のためにはアルマイトの技術は絶対に必要である」と考え、昭和10年にアルマイト工場を大阪の平野で始めたということです。創業当時は、お弁当箱や鍋、やかんなどの表面処理を行っていました。

三宝精神

日本電気化学工業所の社是は三宝精神です。三宝精神とは、三つの宝を大切にする精神のことです。

一つ目は得意先様です。得意先様を大切にすることで長期的に日本電気化学工業所の良好な関係を築くことができ、お互いに困ったときに助け合うことで事業を長く続けることができるからです。

二つ目は仕入先様です。仕入先様を大切にすることで部品の不足があったときに二十四時間すぐに対応をしてくれるので日本電気化学工業所は仕入先様を大切にしています。

三つ目は従業員とその家族です。三宝精神の中で一番大切にしているのが従業員とその家族です。従業員とそれを支える家族がいないと工場が稼働できないからです。従業員にここで働けて良かったと思ってもらうような職場づくりにも励んでいます。この三つの宝全てがつながり営業を続けることができているという考え方をされています。

この三宝精神の始まりには、昭和34年に発生した平野工場での火災があります。この火災により営業を停止することを余儀なくされました。しかし、得意先様や従業員とその家族、さらに仕入先の方たちの協力によって、一週間で営業を再開することができました。この火災が三宝精神の基盤を作りました。先代社長は火災から早期操業再開を一生忘れてはならない「感謝」の思いであるとして、得意先様・仕入先様・従業員とその家族である三宝精神の考え方を社是に取り入れました。

日本電気化学工業所は下請け加工業であるため、自社製品を持たず、また消費者との直接的な接点もありません。得意先様・仕入先様・従業員とその家族の三宝精神を忘れず、長くパートナーとして共に行動し、さらなる発展を目指しています。

株式会社日本電気化学工業所の実績

このように三宝精神を基に事業を行なってきた株式会社日本電気化学工業所ですが、創業以降さまざまな実績を残しています。住宅や高層ビルの建材のアルマイト加工をおこなっている株式会社日本電気化学工業所の技術は、さまざまな建築物に用いられています。主に、阪神百貨店梅田本店やすみだ北斎美術館、東京オリンピック聖火皿などがあります。

続いて、株式会社日本電気化学工業所がアルマイト加工技術を牽引している要因として二点紹介します。

一つ目は公害問題のあるクロム系薬品を使用しない地球環境に優しい塗装下地開発している点です。

二つ目は均一な表面処理加工による付加価値の高いアルミニウム製品を提供できる点です。この技術により他の海外同業者より強固で長持ちするアルミニウム建材にすることが可能となっています。日本のインフラが安定している点はもちろんですが、さまざまな変化する状況に対応するために積み重ねられたノウハウを用いることで、この技術はアルミニウムを一級品と呼べる製品にしています。

上記にあるように創業以来積み重ねられたノウハウを駆使するとともに三宝精神の社是を意識した家族的な経営をしています。

現在は国内で「建築物」「物件」「住宅建材」として利用されることが多い株式会社日本電気化学工業所のアルマイト加工技術ですが、日本で開発研究されたアルマイト技術だけでなく、海外のアルマイト技術も参考にしながら発展してきました。しかし、株式会社日本電気化学工業所のアルマイト加工技術と比較すると均一性が低く長期間利用される高層ビルの建材 に用いるには腐食により耐久性の面で不十分なのです。株式会社日本電気化学工業所での加工は他の海外企業と比較すると高価格高品質となります。株式会社日本電気化学工業所では付加価値の高い技術にお金を投じるような富裕層を、今後のターゲットとしています。

株式会社日本電気化学工業所と外国人実習生、外国籍正社員

日本電気化学工業所には多くの外国人(正社員実習生)が在籍しています(主な国籍はブラジルやベトナム、中国など)。彼らが母国へ帰国した後も、日本電気化学工業所で学んだ技術を活かし活躍してもらえるように期待しています。また、日本電気化学工業所では三宝精神にもとづき、技能実習生もと家族的な関係を築いています。

日本電気化学工業所の目標

日本電気化学工業所の目標は、規模やアルマイト専業で名実ともに日本一を目指すことです。

まとめ

今回、日本電気化学工業所をインタビューし、同社が日常生活を裏で支えて貢献するだけでなく、今後は世界でも貢献していくことを目標に掲げていることが理解できました。

取材メンバー
植木雅紀、足立志音、徳山祐輝


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