千房ホールディングス株式会社 インタビューレポート

私たちは大阪経済大学の地域企業連携実習という地域密着型の講義の一環として、2022年12月7日に千房ホールディングス株式会社(以下「千房」という)の本社にて広報担当者さまにインタビューを行いました。

千房は大阪市浪速区に本社を置くお好み焼チェーン店、及び運営企業です。主な事業内容としては、お好み焼を中心とした外食事業に加え、冷凍食品を取り扱う冷食事業、お好み焼以外の外食事業、フランチャイズ事業の展開を行っています。

社名の由来

1973年、千房は食通の店が建ち並ぶ大阪の千日前に生まれました。千房という名は、強力な権力者であり大坂城を築いた豊臣秀吉の馬印(うまじるし)に由来するもので、その馬印には房になった瓢箪(ひょうたん)、千成瓢箪(せんなりびょうたん)が描かれていました。「一人ひとりを大切にしながら、千の房のように全国に広がるように」という願いが込められています。

多様な経歴の混合

千房では、様々な経歴を持つ人たちが働いています。飲食業界ということもあり、高卒や料理学校卒の人材を多く雇用している一方、受刑者の雇用も積極的に行っています。受刑者の雇用のきっかけは人員確保でしたが、現在では受刑者の社会復帰の手助けを理念として受刑者の雇用を受け入れています。元受刑者は、受刑者だったというハンデが付いてしまっていることで、出所しても容易に職に就くことができません。その結果、仕事が見つからない元受刑者が再犯を起こしてしまうことがよくあります。そうした現状を改善するために、仕事が見つからない元受刑者に衣食住と働き先を提供しています。この活動に日本財団職親プロジェクトもバックアップの姿勢をとっています。

また、千房は世界で見ても珍しく、2020年のコロナ禍から現在までにおいて従業員をクビにするということを行いませんでした。コロナ禍で従業員をクビにしなかった理由は、「経営が一時的に苦しくなっているものの、コロナが落ち着けば人手不足になる」という中井社長の判断でした。実際、私たちが取材日に道頓堀にある店舗の前を通ったとき、行列ができている光景を目にしました。

意外なターゲット層

「全国お好み焼チェーンの千房が狙っているターゲット層とは?」という質問に、広報担当者さまは「ないです」とご回答されました。経営の定石では、店舗経営はターゲット層を明確にして戦略を練ることとされています。しかし、事業が多岐にわたり客層が広い千房では、あえてターゲット層を設けていないそうです。

非日常を、特別な日にも千房

千房には、「ぷれじでんと千房」というグレードの高い高級業態が存在します。私たちがよく目にする千房とは、コテコテの庶民的なお好み焼専門店でしょう。対して、ぷれじでんと千房とは、ゆったりとくつろげる格調高いインテリアと大人なクラシックの中で高級食材を使った上質なお好み焼や鉄板焼を提供するプレミアム店舗のことです。現在、ぷれじでんと千房は大阪府5店舗に展開しています。

普段のお好み焼きとは違い、自由な発想から生まれるままに、厳選した食材を活かしたお好み焼と鉄板焼は高級レストランにも勝るほどの創造物です。

海外進出への工夫

千房は、海外に数多くの店舗と冷食販売を展開しています。
千房が海外出店で成功した秘訣は、現地の人が好みそうな味に寄せたことです。日本は世界一のホスピタリティーと言っても過言ではないほど海外の人からおもてなしの国と思われています。そのため、千房はおもてなしのお辞儀を意識して海外経営を行っており、海外の人に喜ばれるパフォーマンスの一つにもなっています。

業界初もの

千房は、お好み焼業界で数多くの「初もの」を生み出しています。1981年に百貨店への出店を果した後も、高級ホテルへの出店、Peach航空の機内食に採用とお好み焼業界に変革を起こしてきました。さらに、前菜からデザートまで提供するお好み焼のフルコースの提供、犬と一緒に美味しく食べられるケーキの開発など、お好み焼の楽しみ方のバリエーションを増やし続けています。

まとめ

今回のインタビューを通して、千房は人と人との繋がりを大切にし、その繋がりを軸として事業展開されていることが顕著に伺えました。今後も、社名の由来にある通り「一人ひとりを大切にしながら」、私たちに新たな繋がりを提供してくれるでしょう。

取材担当
木ノ戸祐来
大西真子
岡本雄大
玉田響
昌原裕貴


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