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生地から縫製まですべて日本製。親子で作る「おやこの水着 wacco」

おやこの水着 wacco(大阪府大東市)

子どもと海やプールに行きたいけど、自分にぴったりの水着に出会えない...そんなお母さんたちの思いに応えて生まれたのが「wacco(ワッコ) おやこの水着」。waccoの代表でありご自身も二人のお子さんがいる山本さん。彼女が生み出す親子の水着にはどんな思いや願いが込められているのでしょうか。

親子の水着を作っていたのは、やっぱり親子でした

やってきたのは山本さんの嫁ぎ先である縫製の工房です。山本さんの旦那さんのご両親が水着の製造をする同じ工房でwaccoの水着も作られています。

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waccoでは山本さんが企画とデザインを担当。最近では裁断、縫製、刺繍といった工場に出すことも多くなってきたものの、時にはお義父さんがハサミを入れたり、お義母さんが縫製といった分担で仕事を進めています。

山本さんのお義父さんは水着のメーカーに勤務して以来、この道50年の大ベテラン。商品企画と営業をしていた頃、ミシンを担当していたお義母さんと恋に落ち、やがて二人で水着の会社を作りました。

「嫁いだ頃は義父と義母が水着を作っていることは知っていましたが、自分に子供が産まれ、この工房で働かせてもらうようになりました。そうして二人が作っている水着のことを深く知り、聞けば聞くほどすごいなと思うようになりました」と山本さん。

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水着は、生地の染色、裁断、縫製、仕上げ、といった順番で作られていきます。

水着では耐光性や伸縮性や強度の観点からポリエステルやポリウレタンなどの生地が現在では多く使われています。水着ではプールの水に含まれる塩素に対する耐性、つまり生地の傷みがポイントになります。国内製の生地は海外のものに比べ傷みにくく長持ちするため、waccoの水着では国内産の生地を使うようにしています。

「なにそれ水着なの?」っていう水着を目指しています

06_水着のデザイン

waccoの水着は、水着であることをあまり強調せずに普段の洋服に近いデザインが特徴です。
水着の流行よりも洋服のトレンドの方に気を配る、という山本さん。いろんな雑誌を見たり、ママ友や自分と同年代の人たちの着ているのを観察してデザインを決めていきます。

「水着を意識した形や柄にはこだわらずにむしろ洋服として、着替えずにプールや海に入ることのできる水着を目指しています。このデザインを見て『それ水着なの?』て驚いてもらえたら私は『よし!やった』って思います」

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山本さんの以前のお仕事は、お店のディスプレイやショーウィンドウでの商品の見せ方やビジュアルを考案するVMD、兼デザイナーでした。
「結婚して自分に子供ができて水着を着るタイミングになった時に、着たいと思う水着が世の中にあまりない、ということに気づきました。義父母の仕事を手伝いはじめてからしばらくたった頃、お母さんのためのデザインの水着を作りたいという思いを持ちはじめました。

その後、コンセプトやデザインを突き詰めていくうち、親子で着る水着を作ったら絶対いいのに、という思いが強くなり、水着を試作してもらってwaccoがはじまったんです」

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09_型紙

waccoでは山本さんが作った型紙の他に、お義父さんとお義母さんが使っていたものを受け継いだ型紙があります。

「waccoの水着はときどき『レトロな感じがしますね』とお客様に言われることがあります。袖や裾の長さなど今のお子さんたちの体型に合わせて微調整していますが、基本的には私が子供の頃に着ていたような水着をイメージして作っています。セパレートのような流行のデザインよりも、できるだけ体の露出を少なくする水着がいいな、と母親目線で考えるようにしています。そんなときにこの昔ながらのレトロな雰囲気の受け継いだ義父母の型紙がちょうど良くて、あえてそういうデザインにしています」

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隣の部屋では「さくさくさくさく♪」とお義父さんが生地を断つハサミの音がします。

水着の裁断作業で難しいのは、生地が伸縮してしまうところです。伸びて曲ってしまうこともあるため、ハサミの力加減に注意しなければなりません。
そして、特に気をつけないといけないのは柄の合わせ目。ボーダーは前身頃と後身頃、胴と袖など、パーツ同士の生地の合わせ目の部分がズレたり柄が傾いてしまうと違和感が目立つため、ハサミでの裁断はとても気を使う作業です。

「義父は裁断一つにもすごく情熱を注いでいます。ハサミの動き一つに50年の叡智が詰まっています」

20_ラッシュガードとお母さん

続いては、お義母さんによる縫製の工程です。今日は男の子用のラッシュガードを縫製しています。

21_お母さんtoミシン正面

裁断と同様に生地が伸縮するため、縫製にも熟練の技術が求められます。糸の張り、生地の引っ張り加減や生地を送るスピードなど、体が覚えた長年の経験や感覚が生きる作業です。

22_ミシンと袖

袖をはじめとする各パーツは左右前後対称ではなく、実はそれぞれ形が違うものがほとんどです。生地の形や繊維の方向を見極めながら、微妙に力加減を変えていく必要があります。同じパーツであってもデザインによっては、縫い方や順番を変えていかなければなりません。

23_オーバーと袖

24_袖口

25_手元

26_お母さんの横顔

お義母さんは、アパレルメーカーでサンプル室に勤務していました。
サンプル室とはデザイナーとイメージを合わせながら見本を作り、量産する工場に渡す部署です。複数の種類のミシンを自在に操るので、技術に優れた人しか務まりません。

27_検査

プロがその製品の品質を判定するのが、縫い目です。
waccoの検品では、縫い目を全箇所チェック。裏返して縫い目が飛んでいないか、歪んでいないかなどを見ていきます。

28_ミシンにオイル

「最近はミシンが言うこと聞かないからねぇ。天候によっても違ってくるし。その日の湿度によってヒラわない(縫えていない)こともあります。糸が変わると調子が変わるし、ミシンによっても扱い方が微妙に違います。あっちのミシンなんかはしょっちゅうヒラわなくなるお転婆なミシンです。本当に微妙なところなんですけど、見る人が見るとわかるからミシンは手が抜けません」とお義母さん。

28_お父さん

「国内の縫製工場は減ってしまい、ある時期みんな海外に行ってしまった。縫製も他の工程もみんな高齢化してしまい、仕事がないから後継者が全然育たなくなってしまった」と少し淋しそうな義父さん。

29_裏地

すべて裏地がついているのもwaccoの水着の特徴。着心地のよさと耐久性がアップするほかにも肌が透けないためです。

胸のカップは、本体のポケットに入れるだけのものが最近の主流ですが、waccoの水着ではカップをしっかりと直接裏地に縫い付けています。これだとカップが人の動きに合わせて立体的に動くので、一人一人の体型にカップがフィットして安心感が増します。

お義父さんの親友でもある安田さんの工場へ

11_安田さん

「裁断のプロがいるから、連れてったるわ!」とやってきたのは、waccoの裁断作業の協力先である安田さんの工場です。この工場では染色工場から届いた生地をwaccoの水着の型紙に合わせて裁断するまでを担当しています。

ちなみに安田さんはお義父さんの元同僚で今でも遊び仲間です。

12_安田さんと裁断機

裁断機の駆動音が響くと安田さんもメガネをセット。マシンにも安田さんにもスイッチが入りました。

13_粗断ち

まずは裁断機で大まかな形に粗断ち。
生地の上に置かれているのはサイズや水着のパーツの部位を示すマークです。1枚の生地からの取れ高をできるだけ多く、生地を無駄にしないように型紙がレイアウトされています。

14_断面

生地の材質によって裁断しやすさが変わってきます。つるんと滑りやすい生地は刃がずれやすく斜めに入ってしまう。裁断では生地の特性を見極める眼力も重要な技術のひとつです。

15_生地の流れ

裁断の達人の知恵はまだまだあります。
前身頃と後身頃の合わせ目の柄はもちろん、生地の「流れ」も気にしなければなりません。「流れ」とは生地の繊維の毛足の方向で生地の目のことです。前身頃と後身頃で毛足の流れが異なると光沢にも影響し、生地同士の境目に違和感が生まれてしまいます。

16_安田さん語り

「パッと見ただけでは、生地の流れははっきりいってわからない、毛足の長い衣類と違って水着の生地は薄いからね。でも、こうやって生地同士をこすり合わせてみると、滑りやすい方向と、滑りにくい方向があることがわかるでしょ。これが生地の流れです。

もちろん一般の人は気づかないけど、何か違和感みたいな、どこか気持ち悪いと感じさせてしまうこともある。業界のプロもそういうところを見ているしね。そこまで気にしなくていいのかもしれないけれど、山本さんがおやこの水着 waccoを始めたから、きちっとしたものを残していかないといけないと思っています」

ここにも職人の叡智と誇りがありました。

17_ハンドナイフ

「バンドナイフ」という機械で型の線に沿って生地を裁断します。ベルトになった刃が回転し生地を裁断することで、狂いなくきれいに切ることができます。

18_切れ目

バンドナイフで少しだけ切れ目を入れています。縫製のときにこの切れ目を生地同士を合わせる際の目印にします。刃が入るか入らないかくらいの微妙な力で、トントンと加減しながらわずかに切れ目を入れる。

19_おしゃべり

「昔は半年働いて半年遊んでいたのが水着の業界やったけど、だんだんアカんようになってきたなぁ」
お義父さんと安田さん同士で昔話や業界のナイショ事情など、話は尽きません。

親子で着るという新しさと、伝統の手仕事が共存する水着

31_wacco鳥のアップ

この鳥はwacco鳥(わっこどり)という名前で、waccoのアイコンです。
waccoはいろんな人をつなぐ輪のわ、浮き輪のわ、平和のわ、日本風の和風のわ、わ waと子どものcoをつけてwacco(ワッコ)というブランド名になりました。作り手と使う人をつなぐという意味も込められています。

「この鳥は、グラフィックデザイナーである姉に作ってもらいました。親子水着なので動物がいいなというアイデアがあって、落ち着いているんだけど少しだけユーモラスなデザインにしたいなと思いました。アイコンだけでwaccoだな!とわかってもらえるように、鳥にシュノーケルと浮き輪をつけてもらいました」

32_語るあゆみさん

ここの工場で作っている水着がすごいものであることを知り、さらに国産水着という産業が衰退しているということも知った、という山本さん。

それらが頭の中でつながり「親子の水着を作れば、国産水着の産業を盛り返すほどのことになるんじゃないか」という思いがピッ!と湧きあがったそうです。

33_wacco商品

「waccoの水着はお義父さんとお義母さんと協力工場の職人さんたちが作った工芸品。親子で着る可愛いデザインの水着と、丁寧に一つひとつ作り上げる工芸品のような二つの面を持っています。それらを兼ね備えた唯一無二の水着であるwaccoを日本中の海やプールに広げていきたいな、と思っています」と山本さんは語ってくれました。

おやこの水着 wacco、2020年のNew collectionの登場はもうすぐです。
今年の夏はwaccoの水着を着てお子さんを海やプールに連れて行ってあげてくださいね。

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水着をもっと着やすくカジュアルに!
ママとこどもたちに届けたい、こだわりの国産水着
おやこの水着

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詳しくはこちら

社名:おやこの水着 wacco
住所:大阪府大東市灰塚2-13-17
連絡先:info@waccoswim.com


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大阪のものづくり企業や生産者などの作り手が持つ技や伝統、そして想いを、商品としてユーザーに届けるサポートを行う事業です。大阪から全国に発信することを目的に、東京ギフトショーへの出展やマッチング、情報発信を行っていきます。 公益財団法人大阪産業局が大阪府の協力を得て実施しています。