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塚本商店街の喫茶店発。食べる人の笑顔を輝かせる「コラーゲン食パン」

麻布珈琲店(大阪市淀川区)

塚本商店街の中にある「麻布珈琲店」は、昔懐かしい落ち着いた佇まいの喫茶店。扉を開けると店内ではご近所の常連さんが、ゆったりと時間を過ごしています。今日はそんな地元に愛される人気店のママの思いが込められたコラーゲンパンの誕生物語をご紹介します。

シングルマザーになった中村さんが喫茶店を開いた理由

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麻布珈琲店はサイフォンで淹れた本格的なコーヒーや手作りのフードメニュー、そして「ママの顔でも見にいっとこか」という感じで気軽に立ち寄ることのできるお店です。

この店の名物ママである中村敬子さんは学校を卒業後、大阪市中央区に自身初の喫茶店を開店しましたが、結婚を機に専業主婦に。やがてシングルマザーとなり、その後しばらくは事務員の仕事を続けていましたが、40年来の友人に「あなたの天職は喫茶店だ」と説得されたこともあり、2007年に麻布珈琲店を継承しました。

「彼とは家族ぐるみの長いお付き合いです。お家は大阪府の北の方なので、このお店には年に数回ほど来てくれるほどなんですけど、今日はその数回のうちの一回。何なんでしょうね、切れないご縁です。私の最初のお店にアルバイトに来てくれたんです。その時はすでに就職が決まってたんですけど、アルバイトしすぎて留年してしまったくらい一生懸命手伝ってくれました(笑)。私が事務員をしていた頃に再会再会した時に『喫茶店が天職やで』って言ってくれました。きっとその一言がなければこのお店もしていなかったと思います」

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中村さんはその後、元日以外休まずにこのお店を必死に切り盛り。なんとか麻布珈琲店の経営を軌道に乗せます。麻布珈琲店で働くのは女性のパートさんたちだけなので、急なお休みの時は自分が現場に出ないといけません。そんな日は、中村さんはほぼ毎日朝から晩まで18時間勤務。一人娘が待つ家にただ眠りに帰るだけの生活が続きます。中村さんは働き方について深く考えざるを得ませんでした。

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「仕事をして収入を得るのは本当に辛いなって。楽しいなんて思えなかったんです。」
頑張れば暮らしが楽になるとかワクワクするような希望も未来もなく、娘が大学まで行くことになるとお金がいくらいるんだろう、などと考えながら、先が見えないから不安で押しつぶされそうになる日々。

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「電車で遊園地から帰る途中なんでしょうね、遊び疲れたお子さんがお父さんに寄りかかって寝ているところを見た時には、心から辛いなと思いました。生きるために仕事をしているんだけど、子供とそんな時間すら持てない自分にこの先何があるのか…」

コラーゲンにワクワク。仲間が喜ぶ何かがしたい

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私と同じような思いをして働いている女性が他にもたくさんいるんだろうな、店が閉まってスタッフが帰った後に一人で掃除をしながら、そんな風に考えたという中村さん。

「その時にふと私と同じ思いをしている人に何か希望を持てることをしたいなと思ったんです。自分で手一杯なのに生意気ですけど、同じような境遇の人にも元気になってほしいと思って。そして、この店で一生懸命働くスタッフにも光が当たるような何かプライドを持ってくれるものを作り出していかないと申し訳ないやん、って気づいたんです。」

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お店の制服に上着を羽織ったまま自宅から塚本のお店まで毎日往復2時間通勤。マニキュアも塗れないし、おしゃれをする気持ちの余裕もなかったある日、コラーゲン販売会社の社長が営業に来られました。断ろうと思った中村さんでしたが、それが「コラーゲン」と聞いて「これで何か作れないかな。きっとみんな喜んでくれる何かが生まれるはずだ」と閃きます。

「その時、なんだか私自身がワクワクしたんです。」

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そこで、コーヒーやランチメニューにコラーゲンを入れてたりいろいろ試してみた結果、毎日食べてもらえるパンで試作を進めることに決めました。

記念すべきはじめての試食は「ひっくり返るくらいおいしくなかった(笑)。想像していたものとはまったく違う。甘味も旨味もないし、どうしようかと頭を抱えました」という中村さん。
その後もコラーゲン入りのパンを繰り返し作りましたが、その度に試食に参加してくれていたスタッフもなかなかおいしいと言ってくれることはありません。

パンの試作は失敗の連続...でも諦めないでやってみる

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まだまだ試作は続きます。

「“このパンおいしいね”って言ってくださるお客様の笑顔が見たいのに、一体どうするねんと(笑)。
コラーゲンパウダーをパンの生地に練り込むんですけど、協力してくれたパン屋の職人さんには、普通は扱ったことのないものを入れるのに抵抗があるはずなんです。そんな中、申し訳ないくらい何度も試作してもらいました」

コラーゲンの種類や配合量を変えてみたり、和風のおだしを加え試したり、いろいろと試行錯誤。ちょっと無理かも、と何度も心が折れそうになりましたが、中村さんが諦めることはありませんでした。

「ここで諦めたら今までずっと重ねてきた試作が失敗に終ってしまう、というのを私は認めたくなかったんです。」

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でも、何十回も失敗が続いて、もうこれ以上パン職人さんにご迷惑をおかけしたくないと、さすがの中村さんも諦めようとこれで最後だと決めて作ってもらった、渾身のコラーゲンパンをお店のスタッフに食べてもらいます。

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「創業から一緒にやってきたスタッフに食べてもらって、『マズイ』って言われたらもう今日できっぱり諦めよう、と思ってたんです。そうしたら彼女が『これおいしいです、私このパン好きです』って言ってくれたんです!」おいしいと言ってくれたスタッフは創業メンバーで頼りになる存在。彼女が反対するならばやめておこうという思いで食べてもらったコラーゲンパンは見事合格し、メニューとして提供されることになりました。要望に応えてテイクアウトでも販売をスタート。リピーターになってくれるお客様もできました。
これが現在販売中のコラーゲンパン。レンジでチンしてもらって食べてみるとパンでもないケーキでもない何とも不思議な食感ですが、中村さんが笑顔で教えてくれました。
「いややわぁ!私これ以上きれいになってしもたらどうしよう~♪」と食べていただいた女性のお客様は、おっしゃいます。

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コラーゲンパンを食べるお客様はほとんど女性です。おいしいと言ってくれる反応ももちろん嬉しいのですが、中村さんがそれ以上にハッピーに感じることは「コラーゲン入りのパンなんですよ」とお客様に説明した瞬間、その人の表情がパッと明るくなること。

「コラーゲンパンを食べたらきれいになる気がするの」と、おっしゃるお客様の笑顔が本当に美しいんです、と中村さん。

希望というものはこんなにも人を美しくできるものなのだな、ということを中村さんが実感できた瞬間でした。

愛情いっぱいのコラーゲンパンは、さらに進化していく

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コラーゲンパンはハート型のものから食パンへとバージョンアップしていく予定です。

「コラーゲン食パンを食べてもらったら、ミミまでおいしいって好評でした。ミミこそがおいしいといってくれる方もいて!
商品はできたので、価格設定と新たな販路、ネーミングやパッケージが今の課題です」

“コラーゲンパンの麻布珈琲店”として、塚本商店街の店にも来店していただけるとうれしいです、と期待に胸が膨らむ中村さん。商店街の活性化にも一役買う心意気です。

「この商店街は飲食店が多いんですけど、消費税が10%になったこともあり、特に個人商店はどこも苦しく経営が難しいと感じているオーナーも多いはず。そんな中で少しでもみんなが元気になればいいな、と思います」

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「私なんてなんの才能もない普通のおばちゃん。でも、諦めないで頑張ることで、納得のいくコラーゲンパンを完成させることができました。それはただただしぶとかったというだけです」と語る、笑顔の美しい中村さん。

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中村さんが作ったみんなを幸せにする、コラーゲン食パンのデビューの日を楽しみにしています。

おいしいパンで、頑張る女性をそっとあと押し。
麻布コラーゲンブレッド

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詳しくはこちら

社名:麻布珈琲店
住所:大阪府大阪市淀川区塚本2丁目25-5
連絡先:06-6304-4547




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