Kindle unlimtedのおすすめ:『珍獣の医学』

 最近、NHK出版の本がkindle unlimitedに多く登録されているから、なんかあったのかもしれない。今回取り扱うのがNHK出版だという訳では特にない。珍獣の医学だ。

 いわゆる、森加計問題という懐かしさを感じないでもないワードがあるが、その際にも出てきた獣医学部という語がここにも登場する。獣医学部とは具体的に、家畜、牛や豚だとか、そういった動物の獣医を育成する場だ。ペットについてもメジャーな、つまり犬猫についてはともかく、本のタイトルは「珍獣」だ。紹介文にあるように亀やトカゲ、紹介文に無いような所では猿の仲間だとか、そういった動物だ。そういった動物についてを獣医学部で知る事は出来ない。珍獣という名の通り、よくわからない生物が次々と出てくる。 表紙にあるのはカエルのレントゲン写真だが、よく見ると何か刺別の物も映っている。どうやら何か誤飲したようだが、このレントゲン写真はどのようにして撮影された物だろうか。そもそもカエルをレントゲン撮影する方法はどのような物になるのだろうか、などといった疑問が浮かぶのは我々だけではない。著者もそうだ。

 本書の肝は大きく二つある。一つは今挙げて来たような珍獣をどう治療するか―マニュアルは存在しない―という試行錯誤やひらめきについて、加えてペットの運命だ。前者については特にここで説明する事は無い。詳細に扱えばネタバレになるし、オブラートに包めば味がしない。

 後者のペットの運命というのは、人の振る舞いの事だ。ペットでもメジャーな物、例えば犬猫は、人間の生活圏にかなり近い位置を、長期に亘って占めていた。このために比較的、犬猫の飼育は難易度が低い。対して珍獣などと呼ばれるようなペットは、我々の生活している日本とはまるで異なる環境でずっと生活してきた。それを人間の都合、TVで紹介されていた、見た目がなんとなくかわいらしい、ただ単に寂しいから、等々で勝手に連れて来ているに過ぎない。砂漠に魚を連れて来ているような物だ。動機がこのように浅ければ、扱いも同様に浅い。その結果、尻拭い(という言い方は失礼かも知れないが)させられる立場にあるのが著者だ。生きている動物は、商品として扱われ、商品としての扱いにおいて食べれない物を与えられるわ、閉じ込められるわ、山に捨てられたりする。動物が好きなのか、それとも自分が好きで、自身の飾り付けに動物が必要とされているのかの差だ。動物をわざわざ虐待するのは、全く道徳的ではない。それは例え「商品」として買った物であったとしても、それ以上に生物だ。

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