小さな私の小さな心の声

良い年にしたい。する。しよう。
どう言ったって今はしっくり来ない。
行ったことある酒蔵たちが全壊してて今年の日本酒造られへんねんで！
あそこもあそこもとんでもないことになってるねん！
そんなことはそこに居ないから言ってられる嘆きや。

「こうなったら何が何でもみんなで良い年にしよ！」って誰かと手を繋ぎたくなるのは、元旦という一年で一番「おめでとう」を言う日に辛すぎることが起きたからなんかなあ。元旦からあんなに「無事」を願うことになるとは思わなかった。

2024年の幕開けからずっと胸が苦しくて、何をどう言葉にしたらいいのかわからずにいる。でもそんなん私だけじゃないやろから何も言葉にしないのはすごく違和感で、小さな私の小さな心の声を書こうと思う。正直な声やから関西弁やけど。

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私は「よんなな」というチームを作って、3年前に『奥能登に生きる』というドキュメンタリーを制作した。地元の県よりも多く市町村を言えるくらい濃密に関わった石川県。それ以降、津幡町の地域活性映画や金沢の企業ムービー、金沢を舞台にした映画、この数年は地元の次に多く行っていた石川県。

だからこそ何かしたいと勝手に思っているもどかしさ。正直、やれることを考える思考も止まるほど辛いニュースが続く。自分がこれやと思ったものは拡散してみても自分の無力さを痛感するばかり。

でもそれも私だけじゃないねんよな。みんながそれぞれの闘いをしてるんやなって。だから余計に「何が何でもみんなで良い年にしよ！」って気持ちが強くなるんかなあ。

阪神・淡路大震災を経験してても、同じ経験なんて一つもない。だから「わかる」とか「共感できる」とかはないから今は毎日祈ることしかできない。これ以上被害が増えないことを、一日でも早くみんなの心安まる日が来ることを。

そんな日々でも何もできないからって嘆き悲しんだり、楽しんでいいんやろかって思うんじゃなく、今できることは自分の日常を精一杯生きることやってことを長い時間かけながら噛み締めている。

私が何か支援みたいなことをやるならやりたいとすぐに言ってくれた人たち、そう思ってくれてる仲間たちが関西と関東にどうやらたくさんいるらしい。

その言葉だけでも年始から私は心強くて、何かやれることを考える時間をずっと支えてくれている。こんな人たちが私の人生に存在していることが人生の財産や。その人生を生きたらええんやって前向きに思わせてくれた。

私が思わされてどないやねん。

でも生きるのそんな器用じゃないから、ちゃんと立ち止まって人に助けられてる。人のやさしさを実感するからお返ししたくなるねん。だからみんなに楽しんでもらえることを今年一年励もう。

なんて、そんな気持ちになれた今日、久しぶりに都会の電車に乗ったら、満員にも程がある満員で、息が苦しかった。立ったまま寝ている人がぐわんぐらんしてて、そのぐわんぐらんに当たる人がずっと迷惑してるし、かと思えばその後ろの隙間に体調不良で座り込む人がいた。

とんでもない状況やなと思いつつ、次の駅で乗り換える予定やったから座り込んでる人を連れ出した。椅子もない、自販機もない、ホーム上は柵がなかったらはみ出るくらい人で溢れていた。

高身長のおかげでかろうじて駅員さんを見つけたから呼ぼうとしたら「人が少なくなってから動くようにしますのでもう大丈夫です」と言うので、人が多い中あまり気を遣わせるのもよくないと思い、見守りつつも人溢れるホームで乗り換え電車の列に並んだ。

なんか、それでも、そんな状況でも石川の人たちが浮かんで、こんなことよりもっとひどい状況やねんよなって、でも比べることちゃうやん、比べられる側も知らんわって感じやし。
幸せも不幸も人と比べて何かを判断したり選択したりしがちやけど、関係ないやん。自分の人生を生きてそこで自分が感じることが大切やんって。
立ちながら寝る人も、それに迷惑する人も、座り込む人も、みんなしんどいねん。そんなこと考えたらもうわけわからん胸の苦しさになって、溢れる人に紛れて泣いたわ。

みんなやねん。みんな苦しくてしんどくて闘ってる。だからってみんなで力合わせてがんばろうなんて言わんけど、それぞれのペースで自分の状況を精一杯生きていく、それを無理なく続けるために人と心通わせてちゃんと息抜いて笑ってまた前を向く。やっぱりみんなに楽しんでもらえることを今年一年励むよ。

最後に、小さな私の心の叫び。
平穏な日常が当たり前なんて思ってないから、もうこれ以上辛いことは起きんとって！お願いやから。みんな精一杯生きてるねん。

「何が何でも」って力んだことはもう言わないけど、今年が終わる頃にはそれぞれの「良い」がある一年にしよね。