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「俺以外は全員E、俺だけI」| 26歳(2024年)

「おさ はさ、I?E?」

「私、Iです。」

「やっぱりそうだよな、そんな気がしてた。俺もIなんだよ。」


 MBTI診断(16Personalities)の、診断結果の頭文字の話だ。

 私はINFP、仲介者だ。

 仲介者(INFP)は控えめ、または静かそうに見えるかもしれませんが、心の中は情熱であふれ、生き生きとしている人たちです。独創的かつ想像力豊かなので、色々な空想をしながら、さまざまな会話やストーリを作り上げることが好きなタイプでしょう。繊細な気質の持ち主として知られていて、音楽、芸術、自然、そして周りの人に対して、深く感情的に反応する人たちです。

(中略)

 仲介者特有の気質を正当に評価しない世界にさまよいながら、「自分は他の人に見えていないようだ…」と感じたり、孤独感を覚えたりすることもあるでしょう。

16Personalities

ネット上ではINFPは社会不適合者などボロクソに言われていることがあるが、私個人としては「なんかまあ深く考えがちで穏やかな人間が分類されるところだろう」くらいにしか思っていなかったり診断結果文も好きだったりする。

特に、INFPを象徴して引用されているこの言葉などとても良い。

金はすべて輝くとは限らない。さまよい歩く者が皆迷っているとは限らない。年老いても強い者は枯れない。深い根に霜は届かない。

J・R・R・トールキン

という感じで、自分がINFPであることは割と好意的に捉えている。
仲介者のイラストもかわいいし。

 余談としてネットにそこそこ浸かっているINFPな方々に向けたライフハックだが、リアルな場でMBTI診断の話になった際に自分から「私は社会不適合なINFPです」などと言わないほうがいい。
自虐的な発言のつもりが、相手や相手の親しい人がINFPで気まずくなりかけたことが何回かある。

INFPの人は世の中にそこそこいることと、INFP=社会不適合はあくまでネットミームだということを認識したほうがいい。相手がネットに浸っていない場合にはただただ失礼な発言になりかねない。

INFPは、いや、訂正して私は、思考を巡らせることが多いがその思考のベクトルが内面ばかりで肝心な他者への想像力が欠けていることが度々あるので、そういったことの積み重ねで本当に社会不適合者にならないように気をつけなければならない。


 また、私がネットに浸かりながらもINFPであることをコンプレックスに感じていないのは、やや人見知り素質もあるものの普通に快活なINFPのUさんを知っているからでもある。(Uさんは、私がライフハック会得前にINFP自虐をして気まずくなりかけた相手のひとりである)

Uさんは会社の女の先輩なのだが大学時代にインドでハードなインターンをしていて、しかもその現地で知り合った日本人女性の家を転々として暮らしていたらしい。適応力と生命力がすごすぎる。

「インド暑いしすぐ停電するから、住ませてもらってるお姉さんと一緒にパンイチで部屋のタイル床に寝っ転がって体冷やしたりしてたな〜」とインドでの日々を良き思い出として懐古するUさんと、シンガポールのインド街に一時間ちょっと滞在しただけでもしんどかった私が同じINFPと知って、INFPにもこんなに幅があるのかよと思いMBTI診断に縛られるのはやめた。Uさんが外れ値すぎる可能性もあるが。


 そんなことを言いつつも先天的な四分類や十二分類で決まる性格診断よりはぜんぜんMBTI診断を信頼しているし、相手がどれなのか気になるし、聞いてみて納得することも多い。

 冒頭のやりとりは、会社の男の先輩・Kさんとの会話だ。KさんはINFJ、提唱者だ。

 提唱者(INFJ型)は最もまれな性格タイプですが、社会に大きく影響を与える人たちでもあります。強い信念を持ち、理想主義者である提唱者は惰性で生きる人生には満足せず、自身が立ち上がり、ものごとを改善したいと感じます。

16Personalities

提唱者、かっこいい。


 私が、MBTI診断が他の性格診断と違って面白いなと思う理由のひとつに、診断の分岐が属性名に表れていることがある。

MBTI診断は全ての診断結果属性がアルファベット4文字で示され、その4文字は全て2通りの分岐になっている。(2通り×2通り×2通り×2通り=属性16種)

1文字目の分岐はEかIで、エネルギーの方向が外交的(Extrovert)または 内向的(Introvert)。
2文字目の分岐はSかNで、物の見方が感覚的=具体・現実を重視(Sensor) または 直感的=抽象・想像を重視(iNtuitive)。
3文字目の分岐はFかTで、判断軸が感情優位(Feeler)または 論理優位(Thinker)。
4文字目の分岐はPかJで、知覚の特性(2文字目)が表に出る(Perceiver)または 判断の特性(3文字目)の特性が表に出る(Judger)。

 話を戻すと、私はINFPの仲介者なので「内向的・直感的・感情優位・直感的に物を見る特性が表に出る」。
KさんはINFJの提唱者なので「内向的・直感的・感情優位・感情優位に判断する特性が表に出る」。

私とKさんで最後の一文字しか違わないのに、ふわふわ夢見がちな仲介者と圧倒的強者な提唱者で大違いだ。

 実際にKさんは「世の中に情報を伝えることを通して社会を変えたい」というジャーナリスト的な信念を持って、情報を伝えるメディアおよび世の中に広く伝わる情報の一種である広告を扱う広告会社に入り、また、まだ二十代半ばと若手寄りでありながら社内で納得できないことに関しては副社長にも1対1で楯突く、まごうことなき提唱者だ。

でもKさんはそんなことをしていながら派手な場はあまり好きではなく(でも呼ばれるし行ったら行ったでうまくやる)、どこか暗さも持ち合わせているし、副社長に楯突くなんて絶対にできない私ともとても波長は合うので以前から不思議なあと思っていた。

そう思っていたところ、MBTI診断によるとKさんと私は3文字目までは同じなので価値観は同じ、でも4文字目で示される表に出る特性だけが異なる、Kさんの特性は提唱者、ということが分かり不思議に思っていたことが全て綺麗に説明がつき感動した。


 Kさんは会社内で私とは別部署なのだが、Kさんが部署のメンバーとMBTI診断の話になった際、診断結果の頭文字が「俺以外は全員E、俺だけI」だったことが発覚したらしい。

あくまで診断結果上ではあるが、Kさん以外は全員外向的、Kさんだけ内向的。
それを聞いて私は笑ってしまった。

以前からKさんの部署にはいわゆる陽キャな人が多いなとは思っていたが、Kさんを除いた十人弱が予想通り全員Eなこと、そしてそのEなメンバーたちに取り囲まれるIのKさんを改めて想像して面白くなってしまった。
(KさんはEなメンバーたちともとてもうまくやっているからすごい)


 そのような出来事から他者理解としてのMTBI診断への信頼を高めた私はそれからというものの、なんか派手そうだったり強気そうだったりするのに妙に気が合う人がIから始まる属性だと知ると、「やはり…!」と握手したくなる。



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