移行が決まって

総合学域群に入学することになってから早1年、時は流れるように過ぎ去り、気づいたら移行する学類が決まったようだ。

どうやら「知識情報・図書館学類」に移行することになったらしい。私は成績点が周りの人間よりも高くなかったが、ある程度「いいな」と思っていた学類に移行することができそうで安心している。

しかし、高校生の頃の私は「理工系に行きたいな~」とぼやいていた記憶がある。移行することになった学類と全然違うではないか。これはどういう事なんだ。自分でも分かっていない。一体この1年間で何があったのだろうか。自分にはどのような変化があったのか。誰か見つけておくれ。

私は進路を決めるにはあまりにも「知りすぎた」ように思う。いや、正確に言えば高校生の私が「知らな過ぎた」のだろうか。大学に入ってから学ぶことは高校生の私が思い描いていたものとは比べ物にならないほどレベルが高かった。高校生の頃は半分遊びのように解いていた高校数学であるが、大学に入ってからの専門的な〈数学〉は言語や記号で定義された世界であった。物理や化学も、高校生の頃に学んだものよりも内容が幅広く、かつ奥深くなっており、もはや「物理」や「化学」といった言葉ではまとめられなくなっているレベルであった。さらに筑波大学に多く在籍する私よりも遥かにレベルが高い学生がたくさんいた________。

こんな奴らを目にしてしまった私は、夏休みが明けたころにはもう高校生の頃の私とはかけ離れたものを持っていたのだろう。自分には研究職は向かないのだ、研究職は自分よりもレベルが高い人がやった方が成果が残るんだ。そう考えた結果、「未来の高校生に勉強を教えられるようになり、後の世代に貢献しよう」という思いに行きついた。

そう考えて第1志望を教育学類にしたのはもう2月。いや秋C終わるやないかい。こんなにも長い間、私は第1志望が揺らいでいたのだ。

結局、倍率が鬼のように高い教育学類の3枠は優秀な人材が奪い取り、第2志望においた元第1志望の物理学類の定員も優秀な人材で埋まった。

そりゃあそうだ。初めから「この学類に行きたい!」と考えてる人に勝てるはずがないんだ。私は4月から何度も何度も第1志望学類を変えてきた。意志が揺らいでる人間よりも意志が固まっている人間の方が強い。当たり前のことなんだ。

やりたいことを決めて高校生活を過ごしているのか、何をしたいのかが決まっている人ばかりなのか。総合学域群は進路に悩んでいるような、「私と同じような」人間ばかりだと思っていたのに。いざ蓋を開けてみれば元から割と進路が固まっている人だらけだった。理工や情報、はたまた文系にまで手を出そうとしているのは、私くらいだった。

高校の頃にもっと勉強をしていれば、進路を決めることができたのだろうか。高校の頃からちゃんと大学の勉強について調べておけば、こんなに悩む必要はなかったのか。そう考えると今からでも高校生に戻りたい気分になる。

話はそれるが、そもそもなんで私は物理学類が第1志望だったのだろうか。きっと「高校の時に楽しいと思えたことができる」と思えたのだろう。大学物理は数学になるって聞いたし。でもそんな考えは甘えだった。これから先、より高度なものが待ち構えてると考えると、次第に行く気が消えていってしまった。それを実感できた秋学期だったのだ。

そう考えると総合学域群に入ったというこの道はあながち間違いではなかったのかもしれない。総合学域群に入ったことで自分のレベルや大学における学問のレベルについて知ることができた。もしはじめから学類を受験していたら不合格、または後悔していただろう。

知識情報・図書館学類は第3志望であった。「第3志望の学類に行くことになった」と伝えた一部の友人からは励ましの言葉ももらった。しかし、私は微塵も後悔していない。むしろこの1年間で取った理工系だらけの履修を活かせないか、と考えている。どうせまだやる事は見つかっていないのだから、ここで探していこう。そういった気持ちでいる。

1年間見つからなかったものが見つかるのかって?さあ。

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