めざめ

それが恋だとは気付きたくなかった
それが恋だと気付いてしまえば
自分の手で摘み取らなければいけないと
無意識のうちに知っていたから
自覚してからが恋だと言うのならば
自覚する前のそれは何と呼ぶのか
自覚しなければ恋は始まっていないのか
いいえいいえ
地の底を流れる水のように
地の中で芽吹きを待つ種のように
誰が気付かなくとも
それはひっそりと静かに
始まりを待っているのではないだろうか
始まることも終わることもなく
ただ眠らせていたかった
私の思いさえおかまいなく
それは始まってしまった
終わらせなければいけないとわかっているのに
私はそれを止めることができずにいる