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場末の家電量販店で日本の電化製品の完全敗北を認めざるを得なかった話。

きっかけはコロナで冷凍庫のスペースが少なくなったことだった。元々冷凍食品が多かったが、コロナで出歩くのが億劫になり、冷凍食品の購入が増加。加えてふるさと納税で次々と冷凍の名産品を注文。我が家はエンペラーサーモンにハマっている。冷蔵だと長持ちしないから頼みにくい。


結果我が家の冷凍室は食品でパンパンになっていた。結婚して10年間Panasonicの冷蔵庫を使っているが、日本の冷蔵庫は総じて冷凍室が狭い。

それなら買う点数を抑えろと思うかもしれないが、最近の冷凍食品は美味しい上に長持ちなので、妻含め、ものぐさの自分としては家に沢山置いておきたいのだ。しかしスペースはない。


追加の冷凍庫が欲しい。

善は急げと、近くの家電量販店へ。いくつか冷凍庫単独で売られているものを見つけた。しかし、殆どが横幅大きくて、置き場所に困る。


そこで見つけたのがAQUA という会社の冷凍庫。長谷川博己をイメージキャラクターに起用してさまざまな冷蔵庫、冷凍庫を展開していた。どこのメーカーなのか調べたら中国のハイアールの傘下企業とのこと。


いまいちダサいデザインが抜けきらない日本企業を尻目に(日立だけはかっこよかったが)、インテリアとしてかっこいいデザイン。冷凍庫、冷蔵庫が半々という時代のニーズを汲み取ったモデルから、普通の日本企業が作る野菜室にこだわったモデル、そして今回購入することになった横幅が36cmと小さい冷凍庫。そして価格は1/2〜2/3程度。

翻ってPanasonicをはじめとする日本企業のコーナーを見る。驚くべきことに10年前に購入したモデルがそのまんまだった。もちろん細かいところは違うのだろうけど。

完成度が高いモデルはマイナーチェンジのみで、大きく変えない、そういう可能性もあるだろう。しかし、コロナが始まって2年以上。生活のスタイルが変わっているのに時代のニーズを汲み取ろうとするモデルすらない。

元々Panasonicは2番手商法、と言われている企業なので、挑戦的なモデルが出てないのはわかる。しかし他の日本メーカーからも意欲を感じるモデルは皆無。


色々なモデルを出し、消費者のニーズをつかもうとしているAQUAとの差は素人目に見て圧倒的だった。


かつて世界一と言われた日本企業の衰退が唱えられて久しい。しかし世界一とまで行かなくても、日本人特有の細かく正確な仕事で良い製品を作り続けていると思っていた。しかし違った。日本企業は顧客のニーズを汲み取る努力を放棄し、同じ製品をこだわりなく作り続けているだけだ。そこにものづくりの国、としての情熱は全く感じない。

製造業は賃金の安い国に負ける、これは仕方ない。しかし、アメリカは日本に製造業を奪われてからiphone を生み出した。日本に同じことができるか?これまでは「大丈夫」と思っていた。日本には技術にこだわりを持つメーカーが沢山ある、と。

でも冷蔵庫の敗北を見た今は、はっきり「もうあり得ない」と思ってしまっている。


そのことがすごく寂しい。




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