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多施設合同勉強会で「眼内レンズ計算式について」学んだことを書いてみました。

全然知らなかった、本当にありがたいな。

これが率直な感想です。


7月27日に行われた多施設合同勉強会。

「眼内レンズ計算式の話」と題して、O眼科のT先生のお話しでした。


基本的だけど大切なことから、裏技的なお話まで約1時間にわたってお話ししてくれたのですが…

全部はまとめきれないので、私自身がすっごく勉強になったところを書いてみます。

屈折矯正手術眼の術前検査は?

まず以下の写真をご覧下さい。

これは昨年、当院でPRK後の白内障手術を受けた方のSRK/T式のデータです。(左眼)

見えにくいですが、10.5Dで-2.70Dと表示されています。


次にBarrett universal 2のデータです。

見えづらいですが、11.50Dで-2.52Dと表示されています。

ここで11.50Dに〇がついているように、11.50Dのレンズを選択しました。

結果は…

Vs=0.5(1.0×S-1.00D)


私が昨年の時点で知っていた知識は

「LASIK後の眼でSRK/T式を用いると、かなり遠視側にずれる」


本当にこれくらいでした。

恥ずかしい…田舎のクリニックには高齢の方ばかりで、LASIK後の術前検査などする機会がありませんでした。

・術前の屈折値が-10.0Dくらいあったこと
・白内障がかなり進行していたこと
・術前の説明で屈折がずれるリスクがあること

以上のことから、た・ま・た・ま 患者さんの満足度は高かったです。

ですが-2.0D狙いでなくE狙いだったら…


今回、O眼科のT先生の発表でBarrett True K式を教えてもらったので入力してみました。

11.50Dで-1.33D。

(Barrett True K式は屈折矯正opeのデータがなくても入力できる←これも教えてもらった)

はい、ほぼぴったりですね。


今回の勉強会でありがたいなって思ったのは、LASIK眼にはこの式をもちいればいいんだよと教えてくれるだけでなく、なぜSRK/T式がダメなのかを教えてくれたことです。

なぜが理解できると、忘れないですし応用がききますもんね。


IOL度数計算で生じる屈折誤差の原因

まだ私の知識では、わかりやすく説明することができませんが

  1. 角膜屈折力の過大評価

  2. ELPの予測

この2つの要因が関係しているようです。

1.角膜屈折力の過大評価

私の言葉ではここはうまく説明できません。

詳しく知りたい方は、多施設合同勉強会で著名な先生方に質問してみて下さい。

知っておいた方がよいことは

・ケラトメーターは角膜中心部の角膜前面を測定
・角膜屈折率(n=1.3375)を用いて計算。(前後面の曲率半径比7.5/6.3㎜)
LASIK眼では角膜前面のみを削るため、角膜前後面の比が崩れてしまう。←(多分ここが重要)
その結果、k値の推定が不正確になってしまい、IOLパワーが小さく計算され遠視側にずれてしまう。

2.ELPの予測

ELPとは、IOLの固定位置です。(全然知りませんでした)

SRK/T式などの第3世代以降の計算式では、角膜曲率半径と眼軸長からELPを予測している。

ん?

もう一度言います。

角膜曲率半径と眼軸長からELPを予測している。

と、と、いうことは…

LASIK眼ではほぼ長眼軸なのにかなりフラットな角膜形状になり、その結果ELPがずれるということか。

ここはスンナリ理解できました。

steepな角膜ではELPは深く計算され、flatな角膜ではELPが浅く計算される。

つまり

✅LASIK眼ではELPが浅く見積もられ、その結果術後屈折値がずれる

T先生、めっちゃわかりやすい

次の日の朝、興奮して同僚の視能訓練士に偉そうに話しちゃいましたよ。


勉強会に参加しなければ、知らなかったままだった

視能訓練士として年数を重ねていけば、誰でも知識・技術がつく。

これは間違った認識です。

もちろん、経験によって培われる知識や技術もあります。

ですが、新しい知識や技術は自分で学ぼうとしないと身に付きません。

私は視能訓練士歴は約20年ですが、私より知識をもった後輩には敬意を払って学ばせてもらいたいと思っています。多施設合同勉強会を主催してくれているのも私の後輩だし、お話ししてくれる先生も私より若い方が多いです。

何歳になっても、後輩に敬意を払って学ぶ気持ちは大切にしたいですね。これからも、おおいに学ばせていただきます。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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