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<損害賠償>わいせつ行為受け娘が自殺 両親提訴 高松地裁

 母校の香川県立高校の男性教諭(50歳代)からわいせつ行為を受けたことを苦に大学院生の娘(当時22歳)が自殺して精神的苦痛を受けたとして、高松市の両親が12日、同県と教諭を相手取って4000万円の損害賠償を求める訴訟を高松地裁に起こした。県教委は、女性と示談が成立したことなどから教諭を懲戒処分にせず、08年6月に「軽率な行為があった」として文書訓告処分にしていた。

 訴状によると女性は06年夏、大学の卒論の調査のため母校を訪れ、教諭と打ち合わせで何度か会ううち、校内の個室などで強制的にわいせつ行為を受けるようになった。08年3月に行為を受けた際、中学時代の恩師に助けを求め問題が発覚。女性は同年4月、県警に強制わいせつ容疑で刑事告訴、県教委に処分の申し立てもしたが、翌月、教諭が250万円を支払うことで示談が成立した。

 その後、女性は精神的に不安定になり、同年7月にPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、10月に京都市内の自宅マンションから飛び降り自殺した。訴状では「示談成立時に予想できなかった精神的苦痛について後日、損害賠償を請求できる」などとしている。

 原告代理人の小林正則弁護士は「遺族は現職を続ける教諭や県の責任を明らかにしようと提訴に踏み切った」と話した。県教委は「訴状の内容を見て対応する」とした。【中村好見】

これについて、多分弁護士さんが日記を書いている。

記事で
事実経過は

06年夏,教師から女性に対する行為が開始
08年3月に発覚
    08年4月頃,刑事告訴と共に教育委員会に処分の上申
    08年5月頃,教師と女性との示談成立
    08年6月「軽率な行為があった」文書戒告処分 
    08年8月 PTSDと診断。
    08年10月 女性自殺

強制わいせつは親告罪だから
示談金支払い時に刑事告訴の取り下げが条件とされていると思われる。
やや疑問は,教育委員会の処分。
女性の人格を踏みにじるような形での
わいせつ行為であれば,例え示談が成立していたとしても,処分としては軽すぎる。1年半にわたって行為が継続していることなどから,女性側の意思も勘案されたのではないか。

法的な問題点は
示談成立後の自殺についてまで損害賠償責任を負うか否か。

示談は法律上,和解契約と呼ぶが,
意味は「当事者が互いに譲歩して,その間に存在する争いを止める」と言う合意である。
すなわち,お互いに譲り合い,紛争を解決するという合意であるから,
06年夏から08年4月頃までの不適切な行為について
250万円を支払う事で,全て解決されたことになる。
俗な言葉で言うならば「済んだ話」というやつだ。

もっとも,例外はある。
有名な最高裁判所昭和43年3月15日判決では
交通事故の後遺症で,被害が示談の際に予測できなかったほど
重症であることが判明した場合,拡大した損害の賠償請求は和解の確定効によって妨げられないという趣旨だ。
原告側はこの判例を基本的に踏襲している。

この点で,
原告側が,PTSDの診断が「7月」と主張しているところが味噌だ。
もし,示談前に通院しており,ある程度のカウンセリングを受けていたら
原告の主張は根拠が薄くなる。示談の際に被害者側が症状の存在を認識しているからである。

自殺に関しては,通常は予測できないだろう。
性的被害を受けた人が
大変な心的ダメージを受けることは当然のことながら
それでも多数は自殺まではしない。

いずれにしても,
珍しい事件である。
法律家として推移を見守りたい。

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