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『誰かの海へ』

「トワイライトの風」が鳴る
生暖かい秋のような 海岸へ
手のひらをパタパタと そして
千鳥足で駆ける 君がいた・・・


誰かの海に沈む 色とりどりの箱を
君は 楽しげに サルベージ
実は僕は知ってた だけども黙ってる
それはアイツらの 棺桶だと
「日の出」の途中の
絵の具の海のように おぼろげで
何がホントウで 何がマヤカシで
誰が誰なのか 君は僕なのか?
わからない わからない・・・


誰かの海に浮かぶ サカナたちのコマ切れを
君は ひときれ ひとつまみ
僕もそれを楽しみ 一言だけぼやいた
“それがこの世界の 残骸さ”
僕の海においでよ
君の海もキレイさ
それでも誰かの海に行くなんて
凪いでる

クラッチもこわれた
スピードを増すんだ
こうする他ないのさ
でもわかるだろう

止められないのかい
止められないんだね
跳び混みの波の音 パチャリとひとつ・・・

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