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令和に残す昔話

A:ボケ寄り「ひがし」 
B:ツッコミ寄り「ぱかさん」

A:入場時から電話で会話しているフリで始める
A:「それじゃ本番始まったからまたね」ガチャンと言って切る

B「何を話してたかしらんけど、ガチャンは懐かしいな」
A「せやろ、ただ今の子にこのガチャンはあんまり通じへんねん」
B「そうか、スマホでピッが当たり前になってるからな」
A「仕事で使う分、まだ知ってるけど令和になってどんどん通じなくなってきてるもんあるよな」
B「ん、例えば?」
A「僕、子供に昔話読んであげるんやけど常に「古いなぁ」って思ってる」
B「うん、事実も感想も合うとるわ」

A「ただね、良いものはこれからの人に伝えていくってのが昭和生まれとしての義務やと思うねん」
B「僕は平成生まれやけどな」
A「(食い気味に)だから昔話も、これからの人が理解できる内容にかえていかなアカンなと、昨日晩御飯作りながら思ったんよ」

B「で、具体的にはどう変えてくん?」
A「ちょっと晩御飯作りながら時代に合わせた桃太郎考えたから聞いて」
B「わかった、聞いて何か変なところあったら指摘したらええねんな?」
A「お、まるで台本があるみたいにスムーズな理解力やな」
B「はよ、先進もうや」

A「昔々、いたるところにおじいさんとおばあさんがいました」
B「高齢化社会や、令和っぽいな」
A「おばあさんが全自動洗濯機で洗い物をしていると……」
B「待って、川に行かんのやね。でも流れてくる予定でスタンバってる桃はどうなんの?」
A「ピンポーン、アマゾンで大きな桃が届きました」
B「住居特定されとるやん、さすが情報化社会。じゃなくて、桃は流しとこうや。」
B「『どんぶらこ、どんぶらこ』ってこの話の有名なところやん」
A「せやな」
A「大きな桃が『ドゥンブラクゥ、ドゥンブラクゥ』と流れてきました」
B「重低音が効いてる。音響技術の進歩や」

A「桃を持って帰ったおばあさんは、おじいさんを待っていました」
B「そういえばおじいさんの話無かったけど、何してたの?」
A「おじいさんは山にしばかれに…」
B「ごめん、殴られ屋は新しいのか古いのかもわからんわ」

A「帰ってきたおじいさんは早速桃を切ります」「トントントントントン」
B「みじん切りしたら中身が死ぬ! 令和なんやからもっと慎重にいこうや」
A「ぱかーん!と切れた桃からは、真っ二つになった…」
B「やり直しても中身死んどるやん!」
A「中身、中身ってちゃんと名前で呼んであげて」
B「あぁ桃太郎か」
A「いや桃太郎はアカンねん、キラキラネームで役所が通らんかった」
B「それはむしろ平成っぽいわ」

A「で、すくすく育った桃太郎は…」
B「ちょっとまって、桃太郎はアカンって言われとったやん役所に」
A「ハンドルネームや」
B「令和っぽい…!」

A「さぁ、テンプレ通りに鬼が島にむかう事になった桃太郎はおばあさんからキビダンゴを受け取りました。」
A「ここでいうキビダンゴとは、電子マネーの類です」
B「なかなかにリアルな隠語やな、そのキビダンゴで仲間を募るんやな」
A「そうやね、原材料もわからん団子はコンプラ違反やわ」
B「テンプレとかコンプラとか4文字のカタカナ好っきやのう」
A「ガンプラ」
B「なんで自分で回収できないやつ言うねん」
A「テンプラ」
B「それはただの悪ふざけやわ」

A「その後なんやかんやで犬、猿、雉がキビダンゴで仲間になりました」
B「なんやかんや」
A「しかし鬼ヶ島への船はペット禁止だった上、200海里にかかるため個人の船舶も禁止されていました」
B「現代は法治国家や、海の法律には打つ手なしやな、桃太郎どうするんやろ」

A「海を渡れなかった桃太郎は鬼の素性を調べ上げて少し盛って晒そうと思いました。初恋の女の子のインタビュー動画も撮りにいきましたが、すでに家庭もある女の子は、黒歴史なんで。と断りましたそのことは、初恋を大事な思い出だと思っていた鬼に大きなダメージを与えましたとさ」

B「長!、しかしやってることだけ見ると桃太郎の方が鬼っぽいな」
A「そう!それ!正解!」
B「おぉ、なんか正解した」
A「この令和の時代に勧善懲悪なんてものはもう無くなってて、どっちにも互いの言い分があるんや」
A「どっちが良い悪いなんてなくて、みんな違ってどうでもいいし、リプは頑張ろうなでOKなんや」
B「さらっとどっかのインフルエンサー、ディスるのやめてもらってええかな」

A「でもこれでだいたいのお話はできたかな」
B「で、この令和に合わせたお話の教訓は何なん?」
A「しいて言えば、晩御飯作ってるときに考え事はやめよう、や」
B「まじで?あんな心の中に鬼とかどっちも正義とか言ってたのに?」
A「この話考えてたら、かまどのご飯を焦がしてもうて、お豆腐屋さんのラッパも気づかんかった。晩御飯台無しや。すぐに薪で風呂炊いて裸電球消して寝たわ」
B「実生活がゴリゴリの昭和やん、もうええわ」

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