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MGS2 大佐の説教 書き起こし

【!注意事項!】

あくまでファンの書き起こしです。問題があるようでしたら削除します。よくネットでは一部分だけ取り上げられているのが散見されますが、全文書きます。本来全文でないと意味がない文章なので

会話の中のローズはAIによる偽物ですが本物はこの無線に登場しないので便宜上「ローズ」とします。

文字の都合上一部変えてる場所もあります。

()内は基本的に実際に喋るルビです。

作中の「愛国者達」の意図やMGS2物語の根幹をサクッと知りたい人向け

それでもOKな方はどうぞ…!m(_ _)m

ソリダスとの会話の後に響く【CALL音】

大佐「雷電、聞こえるか?我々だ。」

雷電「なぜだ!?AIは崩壊したはず!?」

大佐「『G.W』は、な……。」

雷電「お前達は一体!?」

大佐「そもそも我々は正確には……。人ではない。」

大佐「この200年の間に……様々な念がホワイトハウスという重力場で産み落とされた。」

大佐「40億年前地球の海中で突然、生命が生まれたように、ホワイトハウスの中で芽生え、進化してきた……。」

大佐「我々に実体はない。我々は君たちが頼る『秩序』や『規範』そのものなのだ。」

大佐「誰も我々を抹殺することはできない。この国が消滅しない限り、我々は存在し続ける……。」

雷電「ふざけるな!お前たちが不滅なら、何故個人の自由を奪い、デジタル情報を検閲する?」

ローズ「ははは、ジャックって、ほんと馬鹿ね。」

大佐「いいか、我々の計画は我々のためにあるのではない。君達のためにあるのだよ。」

雷電「何?」

ローズ「ジャック、耳をかっぽじって、よく聞きなさい!」

大佐「今世紀初頭にヒトゲノム情報の読み取りが完了した。」

大佐「その結果、地球生命の48億年に渡る、我々人類の進化過程が明らかになった。」

ローズ「遺伝子操作を始めとして、生命のデジタル化に成功したのよ。」

大佐「しかし一方で遺伝子情報に載っていないものがある。」

雷電「遺伝情報に載っていないもの?」

大佐「そう、人の記憶や思想、文化や歴史だ。」

ローズ「遺伝子には人類の歴史は刻まれていない。」

大佐「果たして、それは伝えるべきなのか?それとも、これまで同様、自然界で淘汰されるべきなのか?」

ローズ「私達の先祖はそれらを語り伝えて来た。言葉や絵、文字を使って……石板や書物に記録しながら……。」

大佐「しかし、全ての情報が後世に伝えられて来た訳ではない。」

大佐「選択され、加工されて継承してきたのだ……。まるで遺伝子のように。」

ローズ「それが人の歴史よ、ジャック。」

大佐「しかし、現在のデジタル社会では、日々のあらゆる情報が蓄積され、些細な情報がそのままの形で保存されている。」

大佐「永久に、劣化することはない。」

ローズ「誰が言ったかもわからない、ゴミのような噂、間違った解釈、他人の中傷……。」

大佐「あらゆる情報が"ろ"過されず、保存されて、後世に伝えられる。」

ローズ「それは進化を止める。」

大佐「雷電、君は我々が行おうとしていることを単なる検閲だと思っていないか?」

雷電「違うとでも言うのか!?」

ローズ「ええ、勿論。私達がしようとしてるのはコンテンツの制御ではなく、コンテクストの生成。」

雷電「コンテクストの生成?」

大佐「世界のデジタル化は、人の弱さを助長し、それぞれだけに都合の良い『真実』の生成を加速している。」

大佐「社会に満ちる『真実』の山を見てみるがいい……。」

ローズ「高価な兵器が人道的に人を殺し_」

大佐「犯罪者の人権は被害者のプライバシーより丁重に扱われ_」

ローズ「稀少動物保護の寄付金が集まる傍らで貧困に苦しむ人達がいる……。」

ローズ「誰もがこう言われて育つわ。」

大佐「他人には優しくしよう。」

ローズ「でも競争相手は叩きのめせ!」

大佐「『お前は特別だ』『信じていれば夢は叶う』」

ローズ「だけど成功できる人間が一部だけなのは初めから明らかよね……。」

大佐「君達が『自由』を『行使』した、これが結果だ。」

大佐「争いをさけ、傷つかないようにお互いをかばい合うための詭弁_」

大佐「『政治的正しさ』や『価値相対化』というキレイゴトの名の下に、それぞれの『真実』がただ蓄積されていく。」

ローズ「衝突を怖れてそれぞれのコミュニティにひきこもり_」

ローズ「ぬるま湯の中で適当に甘やかしあいながら、好みの『真実』を垂れ流す。」

大佐「かみ合わないのにぶつからない『真実』の数々。誰も否定されないが故に誰も正しくない。」

ローズ「ここでは淘汰も起こらない。世界は『真実』で飽和する。」

大佐「それが世界を終わらせるのだ。緩やかに。」

ローズ「私達はそれを食い止めてあげようって言うの。」

大佐「我々には支配者としての責任があるからな。」

大佐「遺伝子と同じく、必要のない情報、記憶は淘汰されてこそ、種の進化を促進するのだ。」

雷電「何が必要か、お前達が決めるっていうのか!?」

大佐「その通りだ。君達が"ひり"出す糞の山から我々が価値のある真実を選び取り、残すべき意味を紡いでやる。」

ローズ「それがコンテクストの生成」

雷電「次の世代に伝えるものは自分で決める!」

大佐「それは君自身の言葉か?」

ローズ「スネークさんが言ったことじゃないの?」

雷電「……。」

大佐「ふふん。それが君の無能を表している。君に選択の自由を行使する資格はない。」

雷電「違う!俺は自分で_」

ローズ「『自分』なんてものが、あなたにあるの!?」

大佐「君が思っている『自分』なぞ、せいぜい身を守るための言い訳に過ぎんのではないか?」

ローズ「世間に溢れてる出来合いの『真実』の中から、その時々に気持ち良く思えることをツギハギしただけ。」

大佐「あるいはもっともらしい権威の下に身を寄せて手に入れたつもりになっている借り物か……。」

雷電「違う!!」

大佐「うん?誰かにそう言ってもらいたいのか?良かろう。言ってやれ。」

ローズ「あなたは立派よ、ジャック!自分を確立してるもの!!」

雷電「くそっ……。」

大佐「どうした?迷ったのか?では、『自分探し』でもしてみるか?」

ローズ「何も見つからないと思うけど。」

大佐「だがそうやって自分で作った『自分』にも関わらず、何か都合が悪いことが起きるとそれを他の何かのせいにする。」

ローズ「俺のせいじゃない。君のせいじゃない。」

大佐「そしてまた別の口当たりの良い『真実』を探して、そこに『癒し』を求める。」

ローズ「今まで利用してた『真実』をあっさり使い捨ててね。」

大佐「そんな君に真実が選べるのか?」

ローズ「その自由を使う資格があるの?」

大佐「君は自由を食いつぶしている。」

ローズ「あなたは自由に値しない。」

大佐「世界を窒塞させようとしているのは我々ではない。君達なのだよ。」

ローズ「本来、個は弱いけど無力じゃない。むしろ世界を壊すほどに危険な存在なの。」

大佐「そしてデジタルのテクノロジーがさらに個を強くした。それは今の君達には過ぎた力だ。」

ローズ「何を残すかは、何をしたいか、そのために何をするか、ということ。」

ローズ「あなた達がする全てのことを私達が代わりに考えてあげる。」

大佐「我々は君達の保護者だからな。」

雷電「人の想いと行動を管理しようと言うのか?」

大佐「そうだ。現代ではどんなものでも数値化できる。それを実証するための演習だった。」

ローズ「だってあなたは、作られた私を愛していたのよ。そうでしょ?」

大佐「オセロットにも、全てを教えていた訳ではない。」

ローズ「この国を支配する私達にとって、どんなに優秀でも1人の兵士なんて問題にはならない。」

大佐「S3計画とはSolid Snake Simulationの略ではないのだ。」

大佐「正しくは社会の思想的健全化のための淘汰(Selection for Societal Sanity)……。」

大佐「人間の意志をコントロールするシステム」

大佐「それがS3と呼ばれるものだ」

大佐「S3の成果はスネークに似た兵士である君自身ではない」

大佐「その状況を作り出すためのメソッド」

大佐「それを扱う手順(プロトコル)」

ローズ「つまりS3とは私達なの」

ローズ「あなたじゃなく」

大佐「君が経験したのはその有効性を実証するための最終試験だった。」

雷電「そんな馬鹿な?」

大佐「ジョンソン大統領が言っていただろう。」

ジョンソン大統領の音声「『G.W』とアーセナルの完成はすなわち新しい支配の完成を意味する。」

大佐「この演習の目的はそのメソッドの確立だ。」

大佐「我々は演習のモデルにシャドーモセスを採用した」

ローズ「ひょっとしたら あなたにはファンタジーの方が良かったかしら?」

大佐「ふふふ……。」

大佐「…あの事件を選んだ理由はそれが1つの極限状態だったからだ。」

大佐「S3の限界性能試験」

大佐「これを発生・制御・収束できれば他のいかなる事象へも応用が可能だ」

大佐「そしてそれは実証された」

大佐「雷電、君を選んだのにも理由がある。」

大佐「ソリダスの育てたチャイルドソルジャーなら他にもいる。だが我々はあえて君を選んだ。なぜだかわかるか?」

雷電「?」

大佐「君だけが自分の過去から目をそらしていたからだ。」

大佐「他の者は皆、それぞれ自分の過去に苦しんでいるというのに…」

ローズ「そう。あなたは見たくないもの全てに背を向けていた。」

ローズ「自分のためだけに自分の見たいものだけを見て、したいことだけをしていた。」

大佐「そのあたりはローズ君が詳しいな。」

ローズ「あなたは本当の私を見ようとはしなかった。確かに私はウソをついていたわ。でも本当は気づいてほしかった。」

ローズ「……だけど、あなたは理解がある振りをして、物分かりが良い風を装って_」

ローズ「自分から私に踏み込もうとはしてくれなかった……。」

ローズ「私に踏み込もうとするのは、私に追い詰められて、やむを得ずそうする時だけ……。」

雷電「それは君を_」

ローズ「傷つけたくなかったから?嘘!!あなたは自分が傷つきたくなかったのよ。」

ローズ「『優しさ』をアリバイにして逃げてただけ……!」

ローズ「……あなたはいつも自分を守ることしか頭になかった……。」

ローズ「私のためとか言ってみても、本当に何かをしてくれる訳じゃない。」

ローズ「結局、全部自分のため……私のことなんか……考えもしない……!」

大佐「はっはっは……そういうことだ。」

大佐「つまり君は我々が保護すべき大衆のモデルケースとして、うってつけだったのだよ。だから君を選んだ。」

大佐「事実、これまで君は我々の提供するフィクションを進んで受け入れ、指示を乞い、言われたとおりに動いてくれた。」

大佐「演習は成功だ。」

エマの音声「私、言ったでしょ?『G.W』はまだ未完成だったって。それもこれで完成。全部あなたのおかげ。ありがとう!」

大佐「君自身も君の経験も、君の喜怒哀楽もただの副産物だ。それを作り出し、制御しうることを確かめるのが目的だった。」

大佐「金と時間はかかったが、この成功に比べれば、極めてささいなものだ……。」

雷電「……。」

大佐「さあ、話は終わりだ。そろそろ最後の演習を行ってもらおうか。」

大佐「雷電、ソリダスを倒せ。」

雷電「もう貴様等の言いなりにはならない!!」

大佐「それはどうかな?思い出せ。」

オルガの音声「あなたが死ぬと、私の子供も死ぬようにプログラムされている。」

大佐「ナノマシンから発信されているVS(ヴァイタル・サイン)が途絶えることは、オルガの子供が死ぬことを意味する。」

大佐「それだけではないぞ。君の大事なローズ君にも同じ仕掛けがしてある。」

雷電「ローズは実在するのか!?」

ローズの音声「もちろんよ、ジャック!信じて!」

雷電「くそ……。」

大佐「君達は殺し合うことになる。」

ローズ「少なくとも、ソリダスはあなたを殺したがっているわよ?」

大佐「君達の最後の戦いをデータとして収集し……今回の演習は幕を閉じる。」

大佐「それでは、切り裂きジャック!(ジャック・ザ・リッパー)」

大佐「『愛国者達(我々)』が作ったソリダスか?」

大佐「ソリダスが作った貴様か?」

大佐「我々の愛しい怪物たちよ……せいぜい楽しむがいい。」

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