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コント「金の斧銀の斧」

木こり→OKI 女神→おる・にちん

SE:(カーンカーン、ポチャン!)
木こり:あぁ、大事な斧が泉の中に!最悪だ!
SE:(ブクブクブク…)
木こり:なんだ!?
女神:私はこの泉に住む、女神
木こり:女神様!?
女神:あなたが落としたのはこの金の斧ですか?
木こり:あっ違います!全然違います!
女神:では、こちらの、銀の斧ですか?
木こり:違います!全然違います!
女神:では、こちらの鉄の斧ですか?
木こり:ちょっとよく見せてください……あー……ちょっと分かんないですね
女神:分かんない?
木こり:いやー、分かりやすい傷とかあったらよかったんですけど、似たような斧なんていくらでもあるんで……他の斧はないですか?
女神:いえ、鉄の斧はこれだけですね……
木こり:あっじゃあ多分これですわ!これ!返してください!
女神:よろしい。では正直者のあなたにはこの金の斧と銀の斧も一緒に差し上げましょう
木こり:あっいらないです
女神:いらない?
木こり:鉄の斧は返してもらってありがたいんですけど、他の二つはすみません、全然いらないです
女神:全然いらない!?えっだって金の斧と銀の斧ですよ?
木こり:いや私金とか銀とか興味ないですし
女神:興味ない!?
木こり:絶対鉄の方が使い勝手いいですって
女神:いやでも、持ってて損は無いっていうか
木こり:家に場所取るもん置きたくないですし
女神:いやいや手斧2本ですよ?
木こり:後日返せって言われてもいやらしいし
女神:いやいや、絶対にタダであげるんで、どうぞ
木こり:いやいや、タダでもいらないです、どうぞ
女神:何よこいつ~!正直なだけでめっちゃ変な奴じゃん!
木こり:じゃ、私はこれで
女神:ちょ、ちょっと待って!いらないなら売ってお金にすればいいじゃないですか
木こり:じゃあ逆にお聞きしますけど、人からもらった物をすぐ売るような奴に本当にその斧を渡したいですか?
女神:え?
木こり:そんな人の好意を踏みにじるような人に貴重な斧をやすやすと渡していいんですかって
女神:いやでも、私が見込んだ正直な人にしか渡さないですし
木こり:正直だからって遊ぶ金に使わないとは限りませんよ
女神:う~……いや、少なくともまともだとは思うんですよ
木こり:正直者ってだけでまともな奴だって思うあなたの考えがもう、浅はか!
女神:あ゛ぁ!?
木こり:私を見てください!私がまともに見えますか?
女神:あっ自覚はしてるんだ!くそっ言い返せない……!
木こり:私は正直すぎて親戚中から縁を切られた事があります!
女神:なぜそんな事に……!
木こり:まともな奴がそんな事になりますか?ならないでしょう!
女神:なんで?なんでそんな状況で彼はお金が欲しくないの?
木こり:そもそもまともな木こりがこんなへんぴなとこまで切りに来ないでしょ
女神:なんだこの野郎!
木こり:ていうかそもそもですよ?物を落とした人を正直者か嘘つきか判別しようってのが意味分かんないですね。正直だろうが嘘つきだろうが物を落とした人なんだから。そのまま返せばいいじゃないですか。それをさぁ、なんか、持ち前の正義感?かなんか分かんないですけど、いい人ならおまけつけて返そう、悪い人なら没収しよう、っていうのは完全にやりすぎてないですか?っていうかまず物を落とされた事を注意しなさいよ!私は不注意で斧を落とした、あなたは迷惑をかけられた、注意ぐらいしなさいよ!怒れって言ってるんじゃないんです、注意しないと!私またやらかしますよ?人間ってそう簡単に変われませんから!ていうか女神様がこんな森の奥でひっそりしてるんじゃないよもっといろんなとこ行って探しなさいよだからこんなへんなの捕まえて
女神:う、うわぁ〜!(斧で斬りかかる)
木こり:ぎゃぁ〜!(倒れる)
女神:あぁ〜!殺(や)っちゃった〜!
め、女神が人を殺さないと思ってるあなたが悪いんだからねっ!
ていうかどうしよこれ……そうだ!(死体を引きずって移動させる)
SE:(ドボン!)
女神:(一人二役で)あなたが落としたのはこの金の木こりの死体ですか?はい、金の死体です。嘘つきのあなたには何もあげません。さようなら。SE:(ブクブクブク……)

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