三和レバーカスタム備忘録

生粋のレバーレス勢ですが、シューティングゲームではレバーを使うこともあり様々なカスタマイズを試してみたので、共有です

〇素体について

今回カスタマイズするのは格ゲーと兼用するため三和レバーを用います。

1:三和レバーカスタムパーツ各種

三和電子から発売されている純正のカスタムパーツです。V5同様パイプを太くして入力の遊びを減らし反応速度を上げる他、レバーガイドの変更により入力のフィーリング変更、スプリングの変更によりレバーの重さを変更可能です。
通常のレバーをカスタマイズするのにも役立ちますが、これ以降に取り扱う部品に関しては一部これらのパーツが必須となります

〇赤、青のレバーガイドについて
格ゲー用のカスタムである赤と青のレバーガイドは、それぞれ
青:コマンドキャラ向け
赤:不明
というのが自分の所感です
青はKOFの覇王翔吼拳やギルティギアのタイランレイヴのようなコマンドには使いやすい一方で、突起に引っかかるためザンギエフのような1回転コマンドを持つキャラには向きません
半回転を入れた時に引っかかるため入力したらジャンプしてるということが減ります
赤は下に入れた手ごたえが感じられるため、そういったものが欲しい人には便利ですが、ストリートファイターはガチャ昇竜、それ以外の格ゲーは半回転コマンドが多いので引っかかるのが地味にストレスです。

〇スプリングについて
基本、レバーが重くなるスプリングばかりです
紫は戻りが強くなるだけですが、他はレバーが重くなります
誤入力を避けるなら青(入力、戻りともにx1.5)または赤(入力、戻りともにx2.0)で重くする、3D格ゲー向けにレバーの戻りを早くするのなら紫(入力x1.0、戻りx1.5)または黄色(入力x1.3、戻りx2.0)が向いています
鉄拳のようなニュートラルに戻るのが重要なゲーム性、もしくは複雑な入力をする必要があるため戻りが早い必要があるゲームなら戻りを強くするのは選択肢としてアリなのかもしれません

〇アクチュエーターについて
黒→赤に変更すると明確に遊びが減ったと感じます。ただ、V5のようにピーキーすぎるという感覚はありません
赤でV5の2と同等程度と言われています

2:シュリケンについて

レバースイッチを交換可能にするシュリケンですが、D2-RVなどの静音スイッチを使用する場合、アクチュエーターはカスタムパーツの青以上の太さにしないと正確に動作しない場合があります。
一番軽い0.49Nにした場合人にもよりますがデフォルトのスプリングではレバーがぐにゃぐにゃで、特に戻りが弱くなり使いづらく感じることもあるのでスプリングの交換も推奨します
また、スイッチにはたまに不良品があるため、レバースイッチの予備は購入するべきでしょう
レバースイッチを変更することで特定方向の重さを変えたりも出来ますが、新型の三和レバーに同様の機能が搭載されるのでこの点はメリットになり得ません
現状、シュリケンのメリットはレバーのランニングコストの低下、静音化の2点となります

3:Gamer Finger 光学スイッチ

Gamer Fingerより販売されている光学式スイッチは、シュリケンとは逆にアクチュエーターが青以下のサイズでないと正常に動作しません
付属の金属リングはスイッチによる反発が無い分スプリングのテンションを調整するためのものですが、カスタムパーツでスプリングそのものを交換することで対応も可能です
レバーの感度が上がり、静音性も向上しますが人によってはピーキーすぎる、もしくはレバーのテンションの変化が気持ち悪いと感じることもあります
物理的な摩耗が無く機械的な寿命が飛躍的に伸びるため、特にレバー操作が激しく純正品だとすぐ壊れてしまう人に向いています


4:分割式レバーについて

レバーのカスタムとしてもう一つあるのが純正のレバー着脱式シャフト、そしてTheLinkのクィックリリースシャフトです
TheLinkは便利ですが、素早くレバーを装着する必要性が無い限りは純正の着脱式シャフトでも問題ないです
ただし、純正のシャフトの場合、専用のシャフトカバーが無いと取り付けが出来ない、取り付けた際の力加減次第でレバーよりもレバーボールが外れる、プレイ中にレバーが浮いてきて外れてしまうなどのトラブルがあります
長期戦をする場合はクィックリリースシャフトのほうが信頼度は上です
しかしながら、現行のクィックリリースシャフトはシャフトにレバーボールとディスクが固定されます
気分でディスクを変えたい方、輸送時の問題でディスクは取り外しておきたい方は純正の分割レバーのほうがいいでしょう
また、分割式にするのは輸送の際にレバーにかかるストレスを少しでも減らすためですが、その場合レバーを外した際のゴミ対策も必要となります

5:V5との比較

そもそも、レバー入力にこだわりが少ないためV5である理由が自分にはないのですが、純正カスタマイズパーツはV5に比べると入力の滑らかさが無いです
というのも、V5のレバーガイドは通常のものに比べて角の丸みが強いため、
斜めの入力感が弱く波動拳のような入力の際は非常にスムーズな入力のフィーリングが得られます
しかし、斜めを入力したという手ごたえが薄くなるため、人によっては違和感を覚える場合もあります(アールさんがカスタマイズした際はV5では違和感があるため三和純正に戻したと赤備えの作者さんが証言しています)
実際、自分も運よく入手出来て使ってみましたが、波動拳の入力をする際に斜めに入れた感触が何とも言えない手ごたえで気持ち悪く、自分は絶対にこれを使わないなと思いました
また、Nobiレバーのようなくぼみがある方がやりやすい、どうしても波動拳が斜め上まではいってしまうのでくぼみが欲しいという場合は三和の純正カスタマイズパーツに軍配が上がります
アクチュエーターはV5のもののほうが純正部品よりも太く入力がよりピーキーになるのかもしれませんが、それ以外は気分の問題というのが自分のV5に対する見解です
現在はアクチュエーターのみの購入も可能なため、反応速度を上げたいだけならアクチュエーターの変更のみというのも十分視野に入ります。

6:レバーボールについて

極論、持ちやすければ何でもよい、というのが一般的な見解かと思われます
しかし、重量次第ではNに戻す際に反動入力の可能性が出てくることもあるため、意外と侮れない部品でもあります
逆に反動入力を是とする場合、極端な話、重めのレバーボールを使えば反動入力がやりやすくなる、という現象も起こります
あえてサイズが違うレバーボールを採用することで操作性の向上を狙う、という手法もあります
また、個性的なレバーボールも発売されていることから、ビジュアル的な個性を出しやすい部分でもあります
一般的な35Φのレバーボールはカラーバリエーションの他、コーティングの違いや軽くて丈夫なアルミ製、木製、バイカラー、ナイロン繊維コーティングなど、様々なバリエーションが存在しています
なお、ナイロン加工のものが滑りにくいかというとそんなことはありません。ただ、手触りは良いです

7:グリースについて

様々な派閥があるかと思いますが、アケコンが使われる状況、使用される素材を鑑みるにミニ四駆のグリースでも十分かとは思います。
ただ、グリースを塗布する際にレバーを分解する必要があるため、耐久性の高いグリースを使用することが望ましいです(ミニ四駆は分解が容易なためグリースの耐久性はあまり高くありません)
信越化学工業のグリースが良いとされていますが、工業用の高速ベアリング用グリースも耐久性に優れるため有力な候補となります
また、使用頻度にもよりますが数か月に1度グリースの塗り直しをしたほうが摩擦部分の寿命が延びます

8:結論

様々なカスタマイズを試してみての感想ですが、レバーのカスタマイズは最終的にフィーリングの問題になるというのが自分の結論です

アクチュエーターやスプリング、スイッチによる反応速度やレバーの戻りの物理的速度など、性能のチューニングも可能ではありますが、それは暴発や誤入力というリスクもはらむ諸刃の剣です
また、V5のメリットは結局レバーガイドとアクチュエーターに帰結すると自分は考えています。他のユニットは純正と大きな差がありません(軸受けもグリースの質で左右されると考えると重要度は低いです)
そしてその恩恵が得られるのは限られた2D格ゲーのみで、3D格ゲーならそもそも三和レバーを使わないだろ、と笑われればおっしゃる通りとしか言いようがありません
スプリングの加重を上げれば使えないこともないでしょうが、スイッチ部の板バネと本体のスプリングの双方で支えているセイミツレバーと比較するとどうしてもNに戻る速度はセイミツに軍配が上がります
レバーガイド1つとっても、2D格ゲーならば四角ベースのレバーガイド一択ですが、STGや3D格ゲーなら8角レバーガイドのほうが良い、という方もいます
ゲームによって最適なセッティングが違う上に腕力や入力時の癖、プレイ環境にも左右されるため、これぞ最適解というレバーセッティングは存在しません
究極的には各種パーツがユニット化されて適宜換装することであらゆるゲームに対応可能にすることですが、スプリングでレバーを保持してる現状では不可能です

以上のことから、レバーのカスタマイズはつまるところ

フィーリングの問題

という結論に至りました
もちろん、シュリケンや光学式スイッチの導入によるランニングコストの低下に関して明確に効果があることは疑う余地がありません
それに伴う静音化も環境次第では非常にありがたいでしょう
更に、それらを導入するにあたってアクチュエーターやスプリングの変更も視野に入るので、入力速度の向上も見込まれます
ですが、これ以上となるともはや好みの問題が強く、V5がよいとされている昨今でも自分のようにV5は合わない、もしくは入手できない、三和純正部品に比べて高価という観点から一概にV5が優れているとは言えません
入力がなめらかであるということは、勢い余って余計な入力をしてしまう可能性があることでもあります。アクチュエーターが太いだけに、その傾向はより顕著になります
裏を返せば、自分のフィーリングにあうカスタマイズを探し出すのは至難の業と言えます
私が、私にとって最適と思えたセッティングは

レバーボール:三和ナイロンレバーボール
シャフト:クィックリリースシャフト
基盤:Gamerfinger 光学式スイッチ
スプリング:三和カスタムスプリング紫
レバーガイド:三和カスタムレバーガイド青
アクチュエーター:三和カスタムアクチュエーター青

となっていますが、これはあくまでも私に使いやすい最高のセッティングであって、試しに知人に使ってもらった感想は
反応速度が速い
レバーがグニャグニャ
入力後の遊びが大きい
レバーの引っかかる感じがいい
といった賛否両論でした

また、もう一つのカスタムとして
レバーボール:三和ノーマル
シャフト:アルミシャフト
基盤:三和旧型
スプリング:三和純正
レバーガイド:三和カスタムレバーガイド青
アクチュエーター:三和カスタムアクチュエーター赤

上記のカスタムをファイティングクロスオーバーにて数名に試してもらったところ
遊びが大きいく前ステが入らない
レバーが跳ねやすい
などの感想がありました。
同じレバーでも人によって全く反応が違いましたので、やはりここは好みの問題というのが結論と思われます
そのため、レバーのカスタムは自分の思う使いやすいカスタムを探す果てない旅路ともいえます。
大げさだと思いますか?
こちらのデータをご覧ください。

アケコンレバーのパーツ組み合わせ

もちろん、使えない組み合わせも存在するので必ずしもこの数が正しいとは言いませんが、市販品だけでもこれだけの組み合わせが存在するのです
はい、これ全部市販品です。しかも装飾要素は一切入っていません。純粋に性能を左右するパーツのみの組み合わせです。
使えない部品の組み合わせや入手が困難な部品を除いても軽く数万通りの組み合わせが存在します
そんな星の数だけあるカスタムから自分にベストマッチのカスタムを探すなんてのは不可能に近いです
なので、多くのトッププレイヤーが使うカスタムが推奨されているわけです
ちなみに、多くのレバープレイヤーが最も良いとしている最大公約数的なセッティングは以下のカスタムです

レバーボール:ノーマル
シャフト:デフォルト(Victrixはデフォルトでクィックリリースシャフト)
基盤:ノーマル
軸受け:OttoDIY
スプリング:ノーマル
アクチュエーター:Otto2(12.5mm)
レバーガイド:OTTOハイブリッドレバーガイド

ちなみに、お値段は7千円です。輸送を考えたらクィックリリースシャフトか分割式のほうがいいので、実際はもっと上がります
正直、これを使うならレバーレスのほうがまだマシと思えてきます。
お試しのコストもどうしても高くなりがちなので、秋葉原の千石電商様で試せればそれがベストですが、試せない場合はどうしても高コストになりがちです。

個人的なオススメは三和の新基盤のものを購入、さらに三和純正のカスタムパーツと千石電商様で安価に手に入る部品を購入し様子をみるというのが一番入り口としてはいいのではないでしょうか?
まず、デフォルトを使った後にスプリングの重さを変えてみたり、レバーガイドを変えてみて、どの点が不満かを洗い出す、もしくは使いやすいと思う組み合わせを探り、どうしても不満ならOTTOなども視野に入れる、というやり方が最も安定択です。
いずれにせよ、高価なパーツを買った挙句使わないというのが一番もったいないので最初は安くて変化を感じやすい三和純正部品でカスタムすることをお勧めします。

ちなみに、グリースも信越化学は高価ですが工業用の高速ベアリング用グリースはより安価に手に入る場合があります。
私のお勧めはAZの高速ベアリング用グリース(200gで個人使用なら10年分は使えます)です。
工業用なので耐久性が高く、メンテナンス頻度も少なくて済むため、整備が難しいレバーには適しています。

いずれにせよ、自分が使いやすいというのが大前提なので色々試してみるしかないでしょう。
どうしても迷ったなら、上記の最大公約数的のセッティングか
レバーボール:三和ノーマル(好きなの)
シャフト:ノーマル
基盤:JFX基盤
スプリング:三和カスタム紫
レバーガイド:三和ノーマルレバーガイド
アクチュエーター:三和カスタムアクチュエーター赤
このカスタムが入手もしやすくコストがかからない三和純正カスタムパーツのみで構成されていて、反応速度向上とレバーの戻りを強くするカスタムとなっているので効果も実感しやすいかと思います

追記:特殊なレバーボールについて

先日運よくENTH Creations 軽量レバートップを手に入れることが出来たので試してみたところ、明確に入力のフィーリングが変わりました。
レバーボールの重みが減ることで戻る際のモーメントが減少するためレバーが跳ねるということが減る他、アルミシャフトと組わせるとより軽やかなフィーリングとなります。

レバーボール:ENTH Creationsホロウボールトップ
シャフト:Blastedアルミニウムシャフト
基盤:JFX基盤
スプリング:三和カスタム紫
レバーガイド:三和ノーマルレバーガイド
アクチュエーター:OTTO12.5mm

というカスタムで試してもらったところ、かなり軽快なフィーリングで跳ねることも非常に少ないとのことでした。

また、45Φのレバーボール(クレーンゲームなどで使われるもの)についても試してみました。
こちらは重量が増えたため反動が強い……と思いきや、重すぎてよほど強いばねを使わない限り跳ねることはありませんでした。
レバーボールが大きいことにより手の接触面積が広がることからより細かい操作が可能となりコマンドキャラには適しているかもしれません。
反面、重量の増加により戻りが弱いため溜めキャラには不向きです。

30Φのレバーボール(パチスロのレバーボールと同様のもの)は45Φとは逆で、軽いため弾く入力をするには非常に適してます。
ただし、ボールが小さいため手の接触面積が小さくなることから操作難易度が上がるため、35Φでは大きいと感じる小さい子供や手の小さい人向けであるという印象です。

この駄文が何かの参考になれば幸いです。

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