人類の歴史を脅かすもの

私たちは学校で歴史を学ぶのだが、史料が少なくてわからないことが多い。そのせいで、小野妹子は女だとか、織田信長も女だとかみたいな歴史コメディ漫画も見受けられる。というわけで、今を生きる私たちは後世に今の状況をできるだけ詳細に知ってもらうために、いろいろな史料を残さなければならない立場にあるわけだ。ただ、ここに一つ問題がある。未来では、日本語はたまた人類が滅んでいるかもしれないのだ。つまり、文献史料だけではなく、遺物や遺構を残す必要があるということになる。今まで遺物や遺構を遺す活動が行われてこなかったことには理由がある。そんなもの必要なかったからだ。そんなことしなくても日々ポイ捨てしているごみがやがて土に埋もれて遺物になるからだ。地面には常に新しい土が重なっていっているので、深さなどを見ればいつごろのものか調べることができるのだ。しかし、数年前に事件は起きた。ハンドスピナーだ。あれは非常に恐ろしいものである。ただ回るだけのアナログおもちゃが、とうの昔にたまごっちブームが過ぎ去った2000年代に流行るだなんて、説明したって後世の人に伝わらないだろうに、遺物として大量に発見されたら貧しかった戦時中の玩具が戦後復興するにつれてどの子供も興味を示さなくなったのだと誤認されかねない。”未来のために”ハンドスピナーは焼却所で燃やそう。私は今から日本各地のハンドスピナーを掘り返してくる。

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