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9月29日

お気に入りのガウンを羽織って、平日は昼間の電車に乗り込んで、街並みが左手に流れて行くことを当たり前に感じながら、のんびりした気持ちで待ち合わせに遅刻していく。日差しが強くて風が冷たいこの季節は台風が連れてきて雪が連れ去ってしまうのだと思う。久々のお休みにまで都心に向かうなんて昔には考えられなかったことだけど、新しい話の構想などを考えながら街並みを見ればまた世界が変わってくる。

新しく出来た噂のピザ屋さんを2年経ってから初めて訪ねてみたら並ばずに入ることができた。併設されたバーカウンターでは真昼間からグラスを傾ける光景が見られて、私たちにはそれを肴にご飯を食べられる強靭な胃袋を持ち合わせていた。2枚のピザはあっという間になくなってしまう。

ビールが飲みたいからと言われて誘われたお店には名前の知らないお酒がたくさんあって、このお酒の数以上に知らないことはたくさんあるのだなと泡をぶくぶく飲みながら考えた。新しい夢の話と、終わってしまった恋の話を聞きながら、もう季節も変わってしまうのだから、そろそろ思い描いた将来に向かっていかなくてはならないのだと、美味しいビールにふわふわの心持ちで話し合っていた。夜はまだ続くのだろうか。

#エッセイ #思いつくこと #つらつら

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