草花とわたし。
花はきらめく。
思い出の花たち。
昔から花が好き。夏休みの朝、ラジオ体操が始まる前に一人で外に出て、たんぽぽが咲いていくのを見た。花開くたんぽぽ達。ドキドキした。朝顔のつぼみが開くのを横で見るのも好きで。少しずつ解かれる花びらの力。ほうせんか。強い花。種を抱えて弾くと飛び出す、陽気な花。グラジオラス。あそこに一本、グラジオラスがあるのよ、と母が言う。一本、オレンジのグラジオラス。
からたち。トゲがある。アゲハの幼虫がいて怖い。怖いのにみとれている。何かの花の根元に死んだ金魚を埋めて、母が知らずにそこに何かを植えようと掘り起こした。私は怖くて逃げ出した。母がきゃあと言った。トカゲが食べていたらしい。花。いつまでも咲くのが悲しい気がした紫陽花の花。種をいっぱい取りたいけど、急に怖くなるひまわりの花。昼顔。ひとりぼっちの夏休み、昼顔だけが咲いている。ネジバナ。可憐すぎて駆け寄る。手折る。いけないことをした気になる、ドキドキする。家のコップに挿す。ネジバナに会うたびドキドキして、好きだとおもう。花。萎れた花をコップに挿すと水を吸ってしっかりしてくる。パリパリ音を立てて花が上を向く。おどろく。
花。若い頃、お給料が出たら、一抱えもあるかすみ草を買ってバスに乗った奢れる春。ツユクサの押し花。それから幼い頃夕方山で祖父と一緒にいたが迷子になって、月まで出てきた時、萩の群生の中に迷い込んで寂しくも怖くもなくなって萩を一抱え摘んで帰ったこともある。花はそんな存在だわ。いまでもそれは。
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