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“隻腕”クライマーのパラクライミングTALK⑨

片腕のクライマー・大沼和彦が主催する、パラクライマーたちによるインスタライブ。日曜日の夜に不定期でゆる~く開催。悪ふざけだったり、パラクライミングへの熱い思いだったりが繰り広げられています。

片腕のクライマー・大沼和彦選手が主催する、パラクライマーたちによるインスタライブ。日曜日の夜に不定期でゆる~く開催。悪ふざけだったり、パラクライミングへの熱い思いだったりが繰り広げられています。


▼今夜のお相手は…

安良岡伸浩 選手(RP3)、右手の親指以外が欠損。
高野正 選手(RP3)、悪性腫瘍の摘出手術により左脚に障害。膝が曲げにくい、足の指や足首に力を入れることができない

▼ジム以外でやっているトレーニングって?

安良岡伸浩(RP3):2人とも日本代表のユニフォーム!

大沼和彦(AU1):なかなか着るタイミングがないから、こういうときに来ておこうと思って。

大沼:高野さん、こないだはボルテックスに来てもらえてありがとうございます。

高野正(RP3):茨城の人は優しいっていうことがわかった。

安良岡:大沼さんが登っている姿って楽しそうで、僕も登りたくなっちゃうんですよね。みんな片手しか使わないんだったら、みんな一緒だなーって。

大沼:体がめっちゃ振られますよ。

高野:安良岡くんは登ってるの?

安良岡:1日置きくらいで行けたらなと思っています。ボルダーだけですけど。

大沼:自分は週1になっちゃいましたよ。

安良岡:地元のジムは毎週スタッフがウィークリー課題を作ってくれる。6級から初段まで 7課題くらい作ってくれて。それに打ち込んでしまうと1週間があっという間。今、傾斜135°の課題に打ち込んでる。傾斜苦手なんで。保持しないといけないので、それが障害のある右手に出てきちゃうとどうしようってなる。面白いですよ、カルチェロッシュというジムです。ぜひ松戸に来てください。いつも関西勢が関東に来てくれることが多いから、今度は関東から関西に乗り込んでいきましょう。

大沼:ジム以外でやっているトレーニングってありますか?

高野:インナーマッスルとか。ケガするまでは全然やらなかったけど、肩とか肘とかおかしくしてからやるようになった。やるとやらないで全然感覚が違う。 

大沼:どんなことするんですか? 

高野:寝っ転がって手を伸ばした状態で肩甲骨を開くとか。めっちゃきついのもある。 

安良岡:呼吸でできるインナーマッスルトレーニングもありますよ。

▼簡単に登ってるって見られるけど、めちゃつらい

高野:こないだコンペでマスタークラスに出たんだけど、もう若い世代しか出ない。初段を一撃で落として行くレベル。

大沼:もうオープンレベルですね。機会があったらコンペ出たいな。 

高野:ボルダーのコンペはちょこちょこ出るかな。今度のジャパンシリーズの1週間くらい前にもある。

大沼:本当に切り込んでいってますね。 

高野:最近、コンペに出ると、パラクライマーであることをアナウンスしてくれたり、インスタであげてくれたり、ほかのクライマーからも「見てます!」っていう声をかけてもらったり、触れてもらうことがちょこちょこあって。 

大沼:燃えますね。気合が入る。 

高野:俺は見た目だと障害が分からないから。名前に、高野正“パラクライマー”って書いてる。

大沼:自分は見た目とか登り方とかで、右手使えないんだっていうのが言わなくてもわかるけど、初めて出た日本選手権のとき、高野さんってどこが悪いのって真面目に思いましたもん。スタッフがデモンストレーションで登ってるのかなーって(笑)

高野:意外と簡単に登ってるっていうふうに見られたりするんだけれど、めちゃくちゃつらかったりする。

大沼:感覚が過敏で、小さいホールドを左足で踏むのとかも痛いって言ってましたよね。 

高野:足上げたりとか曲げようとすると、すげー腹筋使うんだよね。

▼大会が進化しているのは成績を残してくれた選手のおかげ

大沼:今度のジャパンシリーズ、そろそろトレーニングを始めていかないといけないんだけれど、なんかたるんじゃってます。練習会とかできるといいんだけど。

高野:そうしないとモチベーションが上がらない。

大沼:1人で登ってると、トレーニングしている感じがない。グダグダになっちゃう。 

高野:モチベーションを上げるために何かしてるの? 

大沼:ゴムチューブとかハンドグリップとか。

高野:そんなんでモチベーション上がるの…

大沼:ジャパンシリーズ、今回どんな課題が出るかな。

安良岡:本当に楽しみ。

大沼:どんなホールドでくるか。

安良岡:本当に豪華になった。初めて出たときなんて、まぶしのまんまだったから。

大沼:登りづらかった。全部完登できなかった。

安良岡:どんどん大会運営も進化している。成績を残してくれた選手のおかげ。今年のワールドカップ・インスブルック大会(オーストリア)はメダルが6個。今まで、ブラインドクラスの選手だけがメダルを持って帰ってきたが、今回はフィジカルの選手もとってる。あれも羨ましかった、練習スペースがあったの。 

大沼:すごく良かったですよ。スケールがすごかった。

高野:日本とは比較にならない。 

安良岡:やっぱりヨーロッパはリードメインの国なんだな。

大沼:来年のスイスの世界選手権には一緒に行きましょう。

安良岡:みなさんコロナには注意して下さい。高野さん、2回かかることもありますからね。

(了)

▼障害別クラス分けについてはこちらの記事を↓

▼“パラクライマー”大沼和彦【日曜日のインスタライブ】22年9/4

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