苦手な給食

甥が給食をなかなか食べないという話を聞いて、自分が小学生だった頃のことを思い出した。

私も給食を食べられない子どもだった。加熱した玉ねぎとにんじん以外の全ての野菜、きのこ類、イカやタコなど、とにかく食べられないものが多かった。毎日の給食には、必ずと言っていいほど食べられない食材が含まれていた。

私の通っていた学校は一学年に一クラスと小規模だった。そのためか、各教室ではなく給食ルームという大きな部屋に全校生徒が集まって給食を食べていた。

基本的には完食しなければ給食ルームから出ることは許されず、皆がごちそうさまをして自席のイスをテーブルの上に上げて昼休みに入っても、席に座って食べ続けなければならない。やがて給食ルームの掃除当番がやってきて、掃除を始めて3〜4分くらい経つと、「仕方ないわね」といった感じでようやく給食を残すことが許される。

とはいえ、その時間までも「食べようとする努力はしています」という姿勢は先生に見せていた。そうすることで情状酌量され、早めに解放される場合があったからである。「ゆでキャベツ」という、全く味が付いていないただ茹でられたキャベツのことを思い出す。小さめに刻まれており、そのひとかけらずつなら食べることができたため、それをすることで努力アピールをおこなっていた。

そんな日々の中でも、「理不尽だな」と強烈に感じた出来事があった。(当時「理不尽」という単語は知らなかったが、それに似た感情を持った)ミニトマトがどうしても食べられず、「一口だけ食べなさい、そしたらあとは残してもいいから」と言われた。私はミニトマトを一口かじった。そうすると、ミニトマトの中の種が先生のエプロンに飛んだ。「なにやってるの!」とすごい剣幕で叱られた。おそらく小学校2年生くらいの出来事だが、そのときの先生の表情やエプロンの色、どの席で叱られたかまで鮮明に覚えている。自分のことを、結構根に持つタイプなのだなと自覚する。

ちなみに、今は好き嫌いはほとんどない。巻貝は食べられないが、それ以外で嫌いなものはパッと思い浮かばない。10歳くらいのときから、自然に色々なものが食べられるようになった。子どもに無理やり苦手なものを食べさせることにはあまり意味がないような気もする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?