登山用品店モンベルの魅力(前半)
登山が大の苦手だ。
私の地元には山がある。大きな山がひとつどどんと鎮座しているわけではなく、いくつもの山が横並びしているような感じだ。自宅や学校、通学に使う電車、あらゆる場所から山が見える。天気や季節により山は姿を変える。特に、快晴の日の堂々とした山の佇まいはなんとも美しいものである。とにかく、日常の中に山は常に存在しており、今でも地元に帰り山を見るとホッとした気分になる。しかし、登るとなると話は別である。
通っていた学校から、日帰りないしは一泊二日で行けるような距離に山々があり、学校行事として登山が組み込まれていた。小学校低学年の頃は小さな山に登り、徐々に難易度の高い山になっていくのだが、回数を重ねると同時に私はどんどん登山が嫌いになっていった。
登山が嫌いな理由はいくつかある。まず、疲れる。当然ながら上り坂をひたすら歩いていくわけだから、脚が疲れるし息も切れる。しかも、標高が高くなるにつれて酸素濃度も気圧も下がっていく。わざわざ過酷な環境へ自らの足を進めなければならない意味が分からない。
次に、なんといっても危険だ。泥でぬかるんでいる場所もあるし、雪が積もってつるつるになっている場所もある。岩場もある。学校行事で登る山はそれほど難易度の高いものではないとはいえ、滑落して死ぬ確率はゼロではない。
あと、登ったら下山しなければならないというのも、嫌いなポイントである。登山を憎んでいる私でも、確かに頂上に登ったときは達成感があり、感動もする。そこから見える景色も美しいなと思う。その後、ヘリコプターが迎えに来て、一気に山のふもとまで連れて行ってくれるのなら登山も悪くないと思う。しかし、実際には再び時間をかけて自分の足で山を下らなければならないのだ。登りと同様危険な道を通り、ひたすら下る。その先に待つのはボロボロの山小屋か、学校へ向かうバスのどちらかだ。
(続く)
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