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おりおりいっぴつ #046(月はあなたを愛してる)

月は見ているぞ

正しく生きてるか?


正しく生きるとはどういうことか。

とても難しい問いです。しかし、月は見ているという言葉に、また母を思い出しました。

幼い頃、僕はよく母の自転車の後ろに乗せてもらって、スーパーへお買い物に行っていました。

帰り道は、広くて長くてまっすぐな下り坂です。そこのスピード感がめちゃくちゃ気持ちよくて、大笑いしながら2人で走った記憶があります。

ある日、夕空にお月さまを見つけた母は言いました。

「幸一、ほら見てごらん。お月様がゆっくりついてきてくれてるよ」

月がついてきている? 幼い僕には意味がわかりませんでした。自転車に揺られながら月を見上げ、じーっと観察する僕。

ほんとだ! 月は僕たちについてきている。そう思えた途端、嬉しいやら恥ずかしいやら。

母と2人きりの楽しい時間を月に見られている感覚が恥ずかしくて、月から目を背けてしまいました。

その記憶だけは残っていて、僕が大学時代に実家に帰った時、

「小さい頃、お母さんの自転車の後ろに乗った時、よく大笑いして帰ったなぁ」

と母に伝えたところ、

「月が追っかけてきたね」

僕は、その言葉に記憶が蘇り、

「そうそう。あの時、なんか恥ずかしくて、月を見るのをやめちゃったんだよ」

そう言うと母は、とても奥深いことを言ったんです。

「そうだったのね。月は、見てあげないと、寂しがるからね。寂しいと、どんどん欠けていって、最後は消えてしまうの」

僕は、

「そっか。月は見て欲しいんだね。寂しいとだんだん細くなっていくんだ。可愛いね」

と言って笑いました。母もにっこりと笑って、

「可愛いでしょ。月はね、あなたのことを思ってくれている人の心と同じなの。あなたのことが大好きだから追いかけてくるのよ。でも、あなたが遠くへ行こうとすると寂しくてどんどん欠けていくの。心が削られる思いになっちゃうの。あなたもとことん人を好きになれば分かるわよ。自分が太陽でいる間は、月の気持ちがわからないからね」

ふ、深い・・・。母は時折、何に例えているかわからないことをさらっと言う人でした。

「それとね」

母は続けます。

「月が欠けて小さくなっていくと、月の光も小さくなっていくでしょう。昔の人はね、月の光で藁を編んだり、明日の朝ご飯の準備をしたりしてたの。でも、光が小さいと怪我をしたり、石包丁で手を切ったりして、うまく仕事が運ばなかったわけ。そうなると、人々はお月様に向かって、もっと輝いてください。あなたのことを見ていますから、どうぞもっと光ってください。そう言って、お月様にお祈りを捧げたの」

僕は、そんなお話を知らなかったので、母の博識に驚きました。

そして極め付けは、昔の人は月とおしゃべりができたんだそうです。

でもって、月がこう言ったんだそうです。

「我を見よ。お前たちは、嘘偽りなく正しいことをしているか? 正しい道を歩んでいるか? 正しいこととは、光を求めて戦うのではなく、光を消して眠ることだ」

と。これは母が高校時代、担任の先生に教えてもらったそうです。

僕はふんふんと聞いていましたが、内心ちょっとパニックになりかけていました。月は好きな人でもあるし、人の願いの対象であったり、言葉を下ろしてくれる存在でもある。となると、月は一体なんなんだ! という、混乱した気持ちになったのです。

母はさらに言いました。

「どんなに暗い場所でも、あなたなら大丈夫。月が追いかけてきてくれたあの日、言ったでしょう?」

言った? 誰が? お母さんが? なにを?

不思議そうな顔の僕をみて、母は、忘れたのね? と言わんばかりの顔で言いました。

「お月様は、あなたが大好きよって。あなたがどんなに暗い場所にいても、私が照らしてあげるからって。だから、大丈夫。どんなに苦しくても辛くてても、あなたを見ていてくれる人がいるんだから、やけのやんぱちになっちゃだめだからね。って」

ああ。あの自転車の時は、やけのやんぱちって意味がわからなくてそこに全集中しちゃったから忘れてたんだ。そうです。月は、あなたを見てくれている存在。しかも、好きでいてくれる存在。つまり、僕が月を好きになれば、相思相愛になるわけです。

ですから、目を背けないで、月を見ましょう。追いかけてくる月を愛でましょう。月の言葉を聞きましょう。そして、向き合って話しましょう。本当の言葉で。思い込んで悩むくらいなら、お月さまに話しかけて真実を知り、安心しましょう。

そうです。月は、僕にとってはパペットの長みたいなものです。だからいつも話しかけています。

お母さん、僕の大好きなアニミィアイランドでも、ちゃんと月が見てくれていますよ。

今日も、あなたに幸あれ。


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