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ご相談 その27.  やきもち焼きで困っています(後編)

「やきもちを焼いてしまう」という、たまさんからのご質問。

↓前編はこちらです

八幡様がその答えに持ち出したのは、得意の(?)超短編小説!

さあ、それは一体どんな物語なのでしょうか?

さっそくご覧いただきましょう。


超短編小説  「ミミのカラメル」

作:くま八幡

あたしのこと

あたしは31歳、事務職。言いたくないけど中肉中背。

2歳違いの姉が1人。

その姉は、いつもゆったりしていて、少しドジ。

だから、私が姉を助けなくちゃいけない。と思い込んでいる。

それが少々ストレスでもあったりする。

あたしの名前はカタカナでミミ。

姉の名前はメメ。

あり得ない。

父は、意味もなく、なんとなく呼びやすくて可愛いからと、第三者に相談することなく決めてしまった。

母も母だ。反対しろよ。

姉も姉で、この名前が結構気に入っているとか言ってるし。

信じられん。

ああ、そうだよ。あたしはもう生まれた時からこんな感じさ。

ちょっと捻くれていて、自分に自信がない女。

いつも思うのが、何かが足りない。

でも、何が足りないのかがわからない。

暇つぶしに、考えてみる。

あたし的に、足りないと苦しくなるもの。

並べてみると、結構たくさんあることに気づく。

・プリンにはカラメル

・ケーキには生クリーム

・ホットケーキには蜂蜜とバター

・シューズにはシューズ紐

・盆栽には植木鉢

・トイレには替えのトレペ

・お好み焼きにはソースと青のり

これら全部、ないとダメ。

足りないと思うだけで気持ちが滅入るし、仕事すら手につかなくなってくる。

まさか・・・ひょっとして、これは病気か?

んなわきゃないか。

ていうか、私と姉の違いはなんなんだろう。

私はどうしてこんなに生きづらいのか。

姉はなぜ、あんなにのほほんと生きられるのか。。。

友達にそんな話をしたら、こう言われた。

友達:「そんなに言うなら、お姉ちゃんに聞いてみたら? なんでプリンのカラメルなしで美味しそうに食べられるのか。あんたにはないものがあるんじゃないの?」

あたしの生きづらさを共感できない言葉だが、まあそれはいい。

早速試しに姉に聞いてみたが、その答えを聞いてもやはり、相入れられるものではなかった。

その会話の全てをここに記す。

メメ姉との会話

私:「お姉ちゃんって昔から、ないものはなくていいってスタンスだよね。」

姉:「ん? ないものはナイス箪笥って?」

私:(イラっ!)「あ、いや、別になんでもない。」

姉:「あ、そう。」

私:「いや、あ、そうじゃなくて、別になんでもなくなくてさ。」

姉:「なによ。」

私:「ちょっと知りたいんだけどさ。」

姉:「なに?」

私:「たとえば、小さい頃から、よくお母さんがプリン作ってくれるじゃん。」

姉:「うん。カラメルないやつ。」

私:「そう。最初作ってくれた時さ、お姉ちゃんはカラメルなくても美味しい美味しいって食べてたじゃん。」

姉:「そうだっけ?」

私:「そだよ! あたしはカラメルなかったらプリンじゃないから、食べなかった。」

姉:「まあもったいない! カラメルなしのプリンを味わうチャンスだったのに〜。」

私:「チャンス? プリンには絶対カラメルがないとだめじゃん!」

姉:「そうお?」

私:「カラメルあってのプリンだよ?」

姉:「うーん、カラメルなくてもプリンはプリンじゃん?」

はい、やっぱり一生平行線だ。

そんな姉との会話は、父の介入で全てが反転した。

父:「おもしろいなあ。二人の会話はおもしろい。

ミミはカラメルがないとプリンじゃない。

メメはカラメルがなくてもプリン。

どっちが本当か?

そんなん、どっちでもいいわな。

ミミは、カラメルが欲しいんだったら、自分で作りゃいいし、作って食べられたら最高に幸せ。

メメはそのまま美味しく食べられて幸せ。

もし、そこにミミのカラメルのお裾分けがあれば、それこそもっと幸せ。。。

ということはだ。」

父はもったいぶって言った。

父:「お前たちの会話はいずれこうなる。」

そう言って、私たちの会話を全て言い換えてしまった。

ミミ:「お姉ちゃん、カラメルないね。お母さんまた作り忘れたのかな。」

メメ:「そだね。でもカラメルなしでも美味しいよ。食べよ。」

ミミ:「ううん。私、カラメルがないとプリンにならんのよ。」

メメ:「へ〜〜! カラメルも好きなんだね。」

ミミ:「う。うん。好き。なのかな?」

メメ:「じゃあさ、作ってみる?」

ミミ:「作れるの?」

メメ:「好きなんでしょ? 作ってかけて食べたら、もっと美味しくなるじゃん?」

ミミ:「うん。一緒に作ってくれる?」

メメ:「いいよ〜! じゃ、プリンは冷蔵庫にお預け。まずは、砂糖をフライパンに入れて。。。」

父:「な。どう思う?」

ミミ:「あたしじゃないみたい。」

メメ:「私も、こんな人じゃないと思う。」

父:「そうかな?」

そう言って、両ひじを机の上に立て、手のひらをゆっくり合わせながら私たちを上目遣いに見た。

父からの質問

父:「今から2人に質問するから、同時に答えてみなさい。いいかい?」

あたしたちは恐る恐る頷いた。

父:「いくよ。思ったことをすぐに言うんだよ。まず第一問。この世で一番好きな場所は? セーノ!」

ミミ & メメ:「図書館!」

顔を見合わせる二人。間髪入れずに、

父:「次、服の色で一番好きな色は? セーノ!」

ミミ & メメ:「きみどり!」

あたしと姉は少し笑っている。さらに父。

父:「嫌いな食べ物は? セーノ!」

ミミ & メメ:「かぼちゃ!」

父:「では、なぜかぼちゃが嫌い? セーノ!」

ミミ:「柔らかすぎて!」

メメ:「硬すぎて!」

父:「はいでた!!!! ストップ。」

ようやく、二人の意見が分かれた。

父は、あたしの柔らかいから食べられない理由を姉に聞かれないように、小声で聞いた。

次に、姉からも硬すぎてダメな理由をあたしに聞こえないよう、小声で聞いた。

お互いに理由はわからない。まったく聞こえていない。

そこで、父はあたしに尋ねた。

父:「ミミはなぜ、メメが硬すぎて嫌いかわかるか?」

ミミ:(しばらく考えて)「あ、わかった。お母さんのお手伝いの時、包丁でかぼちゃを切ってた時だね? 頑張りすぎて指を切っちゃったことがあったの。それから嫌いになっちゃったんじゃ?」

メメ:「正解! ミミすごい!」

ミミ:「ふふふ〜。」

父:「メメはなぜ、ミミが柔らかすぎてダメなのかがわかるかい?」

メメ:「多分、かぼちゃの真ん中の部分を食べた時、喉の奥に引っかかって『おえ〜っ』てしてた時があったの。その時から、かぼちゃをあまり食べなくなった。」

父:「正解。」

2人とも、お互いのことをよくわかっているということだ、と褒めてくれた父は、その後にこう続けた。

父:「人の好みはその経験や、感覚から生まれていくもんだ。

でも、どんなに似ている2人でも決定的に違う部分が出てきてしまうことがあるんだ。それは仕方がないこと。

しかし今日、お互いがなぜかぼちゃ嫌いなのかを自分で考えることができた。

ちゃんとお互いがお互いのことをしっかり見ていたからこそ、どちらも正解だったってこと。そこが大事でね。」

父は、組んでいた両手の平を解いて言った。

父:「2人の時間は、もっと素敵に変化する。」

時間が素敵に変化する

あたしは、時間が素敵になる。という言葉にあっという間に痺れた。

そうなのだ。

なぜか、自分はいつも損ばかりしている気がしてならず。

人の粗探しをしたり、自分が持っていない力を強烈に欲しがるくせに、手に入らないとわかると相手に対して執拗なほどにぶら下がってしまい、平行線の論議を投げかけて、最終的に嫌われてしまう。

多分、姉もそんなあたしのことが苦手なはずだと思っていた。

どうして自分はいつもこうなってしまうんだろうと、真剣に悩みながら、血液型や星座でもパターン化されないややこしさがあって、自分を特定できなかったのだ。

父は、笑顔で言った。

父:「そう。素敵にすることができる。

それはね。ミミは、その耳をメメに対してもっと傾けること。

メメは、その目をミミにもっと合わせること。

すると、本当はお互いが好きなのに、なぜか意味がわからない方向に行くことがなくなるよ。」

ミミ:「お父さん。」

メメ:「マジで。」

ミミ & メメ:「天才!」

父:「ふふふ。相手の大切な時間は、奪っちゃいけないんだ。

奪うということは、相手の気分を悪くさせてしまい、そんな時は自分の気分も悪くなるようになっている。

もったいない。

その耳と、目を使って、相手の考えていることを見極める練習をしなさい。

そうすれば、相手のことがもっと好きになるし、相手のことを羨むこともなくなり、足りない考えをどんどん補い合っていけるから、勉強にもなる。

今はまだ練習期間だから、すぐには治せない。

でもね。そのことを心がけていれば、耳と目の他に、その手も、足も、体全体が自然に動き出してきて、足りないものが消えて、心が満ちてくる。

それをなんという?」

ミミ & メメ:「満足!」

父:「天才!」

そんな3人の会話を聞いていたお母さんが、プリンを持ってきた。いつもの特製カラメルゼロプリンだ。

ミミ:「カラメル。あたし作ろうか?」

メメ:「一緒に作ろう!」

母:「うふ。お願いね!」


ミミのカラメル おわり

魅力を引き出して褒める

僕:「ありがとうございました。」

八幡様:「これでなんとなく分かりましたか?」

僕:「・・・なんとなくですが、分かりました。」

八幡様:「もう一人の自分を相手の意識の中に作ってしまおうとする能力があるところとは?」

僕:「ミミは、メメの中に自分という存在をずっと置いておいて欲しかったんだと思います。

でも、アプローチが悪いので、冷たい態度になってしまい、自分も苦しんでしまった。」

八幡様:「そうです。相手には、自分の存在が良いと思われても、悪いと思われても、自分とわかるようにして存在を認めてもらいたい。

そして、もう一人、相手とは違う少し優れた自分が、相手の気持ちの中に永遠に存在できるようにしていたのです。

やきもちを焼くということは、相手を独占したい、というよりも、自分を相手の中に入れてしまいたい、という欲求の現れです。」

僕:「しかし、お父さんはうまいこと言いましたね。耳と目を使えと。」

八幡様:「はい。傾聴し、観察すること。

自分と相手を比較せず、他人と相手も比較せず、目の前の相手を純粋に信じてあげることで、相手からの信用を勝ち取ることができます。」

僕:「よく分かりました。もしかすると、たまさんへのお答えにはなっていないかもしれませんが、大切なことはやっと理解できました。」

八幡様:「相手のすばらしいところを褒めることができる力を養えば、やがてそれは自分に返ってきます。

カウンセリングやお勉強も大事ですが、目の前の人に対する感謝の言葉が一番の学びになることもあります。」

僕:「なるほど。ひょっとすると、相手の素晴らしいところを見たとして、その素晴らしさを褒めるだけではなく、そこに行き着くまでのプロセスを質問するといいかもしれませんね。

興味を持って尋ねることで、相手には喜ばれますし、そんなところまで努力していたのか! と相手への尊敬に変わる瞬間が生まれるかもしれません。

僕はそんなんばっかです。」

八幡様:「相手が何をしても、何を考えても、それは魅力の表れです。

その魅力を最大限に引き出しているのはきっと、たまさんの存在です。

あなた自身をまずは、褒めてあげてください。

あなたがいるから、相手も存在できるのです。

あなたの魅力が、相手の魅力を増大させているのです。

ですので、やきもちを焼いてしまった時は、まず、自分を褒めてください。」

僕:「あ、そこも? 自分を褒めていいんですね。」

八幡様:「もちろんです。あなたがやきもちを焼いてしまう相手の魅力を大きくしているのですから。すごいことです。

ますますどんどん、魅力を開花させていき、あなた自身のスキルをアップさせていき、誰とも比較しなくてもすむ高みまで上がってください。」

僕:「そうか、やきもちも、自分を高めるステップにしちゃえばいいのか。。。」

八幡様:「そうです。『やきもち』の反対語は何だと思いますか?」

僕:「ええっ!? やきもちの反対は、、、無関心?」

八幡様:「さすがです。そのとおり、「無関心」です。

あなたが相手に対して関心を持っていることは、とても素敵なことです。

さらに、あなたの耳と目を発動させて、さらに良い時間を作ってあげてください。

以上です。」

おわりに

たまさん。いかがでしたでしょうか。

今回もいろいろまさかな情報が満載でした。

僕自身がいつも思うのですが、八幡様との会話はとても勉強になります。

ご質問をいただき、ありがとうございました。

相手との良い時間の作りかたは一朝一夕ではできないかもしれません。

僕もまだまだ難しいところです。

でも、一緒に頑張りましょう!

相手の魅力を見つけて、褒めていくこと、ですね。

それではまた次回、お愛しましょう♡

ほっとラインですが、ご質問が大変多くなっておりまして、受付は今月一杯て一旦停止とさせていただきます。

ご理解のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

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