見出し画像

2021ドラフトを経てのオリックス

みなさんこんにちは。いっちです。

シーズンもいよいよ残り4試合、ペナントを懸けた戦いもポストシーズンも目が離せない日々が続きますが、今回は先日のドラフト会議で指名された選手の簡単な解説とともに、今回のドラフトの狙いの考察などを書いていきたいと思います。


ドラフト指名選手一覧

ではまず初めに、この度ドラフトで指名された各選手をスカウトコメント(オリックス公式サイトからの引用)や期待される役割とともに紹介していきたいと思います。

https://www.buffaloes.co.jp/news/detail/00005237.html

一位 椋木蓮 (投手) 東北福祉大  右投右打 179cm/84kg 21歳
<スカウトコメント>
MAX154キロの伸びのあるストレートと斜めに鋭く曲がるスライダーが武器。
先発でもリリーフでも対応でき、1年目からフル回転の活躍が期待される即戦力投手。
<(個人的に)期待する役割>
先発でもリリーフでもOKという評価だが、中嶋監督が「エース候補として考えている」というコメントを出しているようにまずは先発での起用が予想される。スリークォーターからの速球派右腕は今の先発陣にいないので個人的にもまずは先発での活躍を期待。
二位 野口智哉  (内野手) 関西大 右投左打 181cm/86kg 22歳
<スカウトコメント>
走攻守すべてのレベルが高く、大学1年から日本代表候補に選ばれた身体能力を持つ。アマチュア球界No.1の肩の強さを活かした守備にパワフルな打撃も魅力の選手。
オリックスJr出身。
<(個人的に)期待する役割>
パンチ力ある打撃にUT性の高い守備が魅力。まずは紅林や太田椋ら高卒プロスペクト組との競争で差を見せつけたいところ。彼らの育ち具合によって起用が左右されそうな立ち位置ではあるが、有無を言わせない活躍を期待したい。
三位 福永奨 (捕手) 國學院大 右投右打 175cm/87kg 22歳
<スカウトコメント>
抜群のキャプテンシーでチームを勝利に導き、安定したスローイングと長打力のある打撃が魅力。
視野も広く、将来的にはチームを引っ張る主力捕手としての期待も大きい選手。
<(個人的に)期待する役割>
大学ナンバーワンの守備力と評価される捕手。経験豊富な松井雅人や守備に定評のある若月から技を盗み、打撃型捕手である頓宮や中川拓真と互いを補完し合う、次代の捕手陣の形成に期待したい。
四位 渡部遼人 (外野手) 慶應義塾大 左投左打 170cm/67kg 22歳
<スカウトコメント>
1塁駆け抜け3、7秒の俊足が魅力で、外野手としての捕球センスも抜群。
将来的にはレギュラーも狙える好素材。
<(個人的に)期待する役割>
守備走塁に定評のある左打ちの外野手。バックアップ要員ですぐ一軍に置いても良いが、伸び代を感じさせる打力を放置するのは非常に勿体なく感じるので、まずは二軍で打席数を割くところから。理想像は近本光司(阪神)か。
五位 池田陵真 (外野手) 大阪桐蔭高  右投右打 172cm/85kg 18歳
<スカウトコメント>
無駄な動きが無く、インパクトに爆発的な力を伝えられるスイングで、センターから右方向へも本塁打が打てる。
緊張したことが無いというメンタルの強さが、チャンスの場面でもアグレッシブなプレースタイルを可能にしている。
オリックスJr出身
<(個人的に)期待する役割>
将来の外野のレギュラー候補。今年の夏の大阪大会準決勝では土壇場で同点弾、決勝ではサヨナラ打と勝負強い打撃が目立った。まずは二軍で体づくりと試合経験を積んでプロで戦う土台を作るところから。同じく外野のクラッチヒッターである来田涼斗のようなスケール感を見せてもらいたいところ。
六位 横山楓 (投手) セガサミー 右投両打 181cm/91kg 23歳
<スカウトコメント>
コンパクトなテイクバックからスピンの効いたMAX153キロのストレートとキレのある変化球で空振りが取れるパワーピッチャー。
<(個人的に)期待する役割>
リリーフ投手としての期待が高く、速球・変化球ともに空振りを奪えることから私も同様の期待を抱いている。速球派のリリーフ投手はチームに数多くいるので変化球や制球面で彼らと差を付けたいところ。
七位 小木田敦也 (投手) 右投右打 TDK 173cm/83kg 23歳
<スカウトコメント>
ストレート、スライダーのキレで空振りが取れる。
即戦力としての期待がかかる実戦派右腕。
<(個人的に)期待する役割>
横山選手と同様の観点からリリーフで期待。変化球のキレで勝負する右腕は一学年上に吉田凌選手、村西選手らといった明確なライバルが立ち並ぶので彼らに勝る武器を見せてもらいたい。
育成一位 山中尭之 (外野手) 右投右打 BC茨城 183cm/96kg 22歳
<スカウトコメント>
持ち前のフルスイングから放たれる長打力が魅力。
将来の大砲候補。
<(個人的に)期待する役割>
桁違いの体格の正統派スラッガー。BCリーグ東地区ホームラン王の指名の裏には杉本裕太郎選手の大ブレイクか。日本人で右打ちの長距離砲は杉本選手以外チームにいないので持ち味をアピールして支配下に近付きたい。
育成二位 園部佳太 (内野手) 右投右打 BC福島 177cm/88kg 22歳
<スカウトコメント>
逆方向にも大きい当たりを放つなど、長打力が魅力の内野手。
<(個人的に)期待する役割>
高校通算48本塁打を記録した強打のショート。BCリーグでは持ち前の長打力に加え確実性も備わった。まずは宜保選手、元選手らとの二軍の内野争いを勝ち抜くところからか。
育成三位 大里昂生 (内野手) 右投左打 東北福祉大 178cm/76kg 22歳
<スカウトコメント>
内外野を守れるユーティリティプレイヤー。
ボールへのコンタクト、選球眼に優れており、出塁率が高い選手。
<(個人的に)期待する役割>
内外野を守れる選手は意外にもチームでは貴重な存在。空いたポジションに入れるユーティリティ性から打撃や走塁などの攻撃面でアピールできれば支配下昇格のチャンスは早いはず。

以上10名の選手を指名し
投手3人、捕手1人、内野手3人、外野手3人
高卒1人、大卒5人、社会人2人、独立2人
という内訳になりました。

それらを踏まえてドラフト戦略の考察を見ていきましょう。


ドラフト戦略の考察

ドラフト前の選手の分布と以降のものを見比べてみましょう。

スクリーンショット 2021-10-06 18.00.02

スクリーンショット 2021-10-11 22.11.03

<捕手>
獲得が急務だったのは支配下が5人しかいなかった捕手で、年齢のバランス的に穴になっていた大卒の世代に福永選手を補強。同じく大卒では西武に指名された古賀選手や関西大の久保田選手などの総合力に優れた捕手もいましたが、オリックスは守備に定評がある福永選手をチョイス。古賀選手・久保田選手への評価がどのようなものだったかは知りかねるところですが、敢えて守備型の福永選手を獲得したのは現有戦力とのバランスを考慮した上でしょう。チームの捕手5人は以下のようにカテゴライズされると思われます。
打撃型捕手→頓宮選手(25)、中川拓選手(19)
守備型捕手→若月選手(26)、松井選手(33)
総合型捕手→伏見選手(31)
すでにFA権を所持している松井選手に加え若月選手、伏見選手は順当に行けば2023年シーズンでのFA取得が見込まれており、万が一の事態に備えて現在レギュラーである彼らの後継者を立てておく必要がある中で、頓宮選手や中川拓選手らと上手く共存ができるであろう守備型捕手の獲得に至った、と私は見ています。

<内野>
ショートは長年務めてきた安達選手から19歳紅林選手へ世代交代しつつあり、長年の穴だったサードには25歳の宗選手が攻守ともに良い動きを見せ定着、セカンドにはショートから安達選手が回りプロスペクトとして20歳の太田選手が控えますが、大城選手の離脱もあり薄すぎる控えが一気に露呈しました。そこで攻守ともに定評のあった関西大の野口選手を二位で獲得し、内野の底上げを図っているように見えます。野口選手の特筆すべき点はパワーのある打撃やスピード感のある守備以上に、セカンドやサードだけでなく外野もこなすに足るスペックを持ち、ショート以外のポジションでも適性が高いというところでしょう。紅林選手・太田選手らが文句なしのレギュラーに定着すれば野口選手は外野やあるいは強力な控え野手として置くことができますし、もし彼らがレギュラーを掴めなかった場合の保険にしては十分すぎるスペックを持つと思います。高いレベルでの二遊間争いを期待したいですね。
育成では長打力に定評がある園部選手と出塁力・ユーティリティ性の高い大里選手を獲得。去年から始動した三軍では9月24日の内野のスタメンがファースト鶴見選手、セカンド古長選手、サード稲富選手、ショートにはフェリペ選手と、本職の内野手が1人しかいない試合もありました。もちろん、園部選手と大里選手の可能性に懸ける部分が大半ですが、そういったチーム事情を解消するという一面もあるこの内野手補強でしょう。

<外野>
内野と同様に選手層が薄く、大黒柱である吉田正尚選手の離脱後はそれが顕著になりました。そして内野とは対照的にレギュラー候補のプロスペクトが来田選手しかいなかった(ここでは元選手を内野としてカウント)ため、まずは大卒の渡部選手と高卒の池田選手を補強し、両翼と中堅のプロスペクト3人を揃えました
育成では右の長距離砲である山中選手を獲得。紅林選手や来田選手らのスラッガー候補は数多くいれど日本人の長距離打者は杉本選手以外は皆無な中、貴重な存在になるでしょう。前述した通りこれはドラフト10位からブレイクを果たした杉本選手の活躍が背景にある指名と考えられるので、山中選手もまた長い目で見ていきたい選手ですね。

<投手>
ここ2年で多く獲得した高卒や育成枠が今年はゼロで、大卒・社会人で計3人と少数精鋭の即戦力を獲得した印象が見て取れます。

スクリーンショット 2021-10-11 10.05.48

前回のnoteでも使った表になりますが、
先発は軸になる選手らと6,7番手以降の選手らで実力に少し差が開くなど層が薄く、6月以降は山岡選手の離脱もありそれが顕著になりました。山﨑颯投手は投げるたびに成長を重ねており、来季のローテ入りを期待したいところですが計算に入れるにはまだ少し早いかなと思います。竹安投手、スパークマン投手、増井投手は3人とも決め手に欠け、本田投手はもう1年は二軍で課題の克服が必要な状態であるため、もう1人先発ローテーションを担える選手としてのドラフト1位・椋木蓮選手の獲得でしょう。椋木選手の長所はスリークォーターから150km/h台を連発できるところもそうですが中継ぎ適性も高いため、もし外国人補強や本田選手の覚醒などにより来年やそれ以降で先発がダブついた場合に中継ぎに回すことのできる柔軟さも挙げられるでしょう。さすがに1年目からそのような無茶な起用はないと思いますが、先発でも中継ぎでも起用できる投手が1枚加わったのは大きいと思います
リリーフに関しては、やはり抑えの平野選手や火消しの比嘉選手・海田選手の高齢化や中堅世代の伸び悩みが大きな課題と言えるでしょう。ドラフトで獲得した選手がいきなりクローザーとして活躍する例はそう多くなく、椋木選手を早速抑えで酷使するのは今のオリックスでは考えにくいので、そこに関しては新外国人などで補強すると私は見ています。対右の火消しでは吉田凌投手が安定感のある投球を見せ、対左では二軍で好成績を挙げている斎藤選手も控えているので比嘉選手・海田選手の枠はいずれ彼らが担っていくように思えます。ではドラフト6,7位の横山選手・小木田選手はというと、K-鈴木選手や張選手、澤田選手らの中堅世代とポジションが被ると思われるので、彼らと競わせて投手陣の底上げを担う、という目論見があるのではないでしょうか。
まとめると1位の椋木選手はリリーフ適性のあるローテ要員、6,7位の横山選手・小木田選手はリリーフ陣の底上げを担う存在という構図が浮かび上がってくるように、投手も選手層を厚くするためのドラフトと考えられるでしょう。


まとめ

今回のドラフトを総括すると、宮城選手、紅林選手を獲得した前々回や1位から3位までをスケール感のある高卒選手で固めた前回までの、ロマン型ドラフト路線からは打って変わり、チームの補強ポイントを忠実に埋め合わせ選手層を底上げするドラフトに転換しました。現に今のオリックスは首位ですが投手も野手も選手層の薄さを痛感するシーズンにもなっていて、フルシーズンをしっかり戦えるチーム作りを目的としていることが窺えました。
今年のオリックスは野手では杉本選手・宗選手、投手では宮城選手が大ブレイクを果たし躍進の原動力になっていますが、来年も彼らが今年の数字通りの活躍を見せるかは分かりません。しかしそのような事態に備えて選手層を厚くしたことは「来年も優勝を目指していくぞ」というフロントの意志の表れでしょうか。
ドラフトで指名された選手はもちろん、彼らの競争相手と想定される既存の選手も含め「全員で勝つ」野球を来年も見せてもらいたいですね。

このnoteは以上となります。
とても長い駄文になってしまいましたが最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
ご意見やご感想等もお待ちしていますのでぜひよろしくお願い致します。
では。

Twitter→ https://twitter.com/icchi34 

画像4


この記事が参加している募集

野球が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?