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福田周平の進化と真価【福宗正杉・合同note企画vol.1】

みなさんこんにちは。いっちです。

先日こちらでも告知した通り福宗正杉・合同note企画ということで、大変有難いことにyoさんシュバルベさんARAさんのご協力もありリレー形式で福田選手・宗選手・吉田選手・杉本選手についての合同note企画を実施させていただくことになりました!
そして当企画の初回、トップバッターということで恐縮ながら私がオリックスのリードオフマン・福田周平選手について書いていこうと思います!


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今季の福田周平

福田選手は昨年までセカンドやサードなど内野手としての出場がメインでしたが、今季は出場機会を求めて外野に挑戦し5月から「1番・センター」に定着し、リーグ屈指の上位打線「福宗正杉」の一角としてチームの優勝に大きく貢献しました。
ここ数年のオリックスを見ても、1番打者にもセンターにも困窮してきたため、その穴を見事に埋めた福田周平選手の偉大さは計り知れません。

(以前のnoteでも述べましたが)特に今年の序盤は太田選手や佐野皓選手など、期待の若手を開幕スタメンに据えるなど積極的に起用してきましたが、その中で逆風だったのはこの福田選手や若月選手のようなある程度の実績がある中堅選手でした。福田選手は開幕後の3月30日に安達選手と入れ替わりで二軍降格、その後5月11日までの42日間、二軍生活を余儀なくされました。その後はほぼ全ての試合で1番として出場、前述した通りの活躍を見せました。
このnoteでは攻撃面と守備面から今季の福田選手の活躍を見ていきたいと思います。

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攻撃篇

まずは福田選手がレギュラーに定着した過去3年の主な打撃成績から見ていくと
※O-Swing%はボール球スイング率、Sw-Str%は空振り率、P/PAは1打席あたりの被投球数

スクリーンショット 2021-11-14 21.11.15

今季の福田選手はキャリアハイの打率.275をマークし出塁率は.354と高い水準をキープ。三振率やボール球スイング率、空振り率は依然として高いレベルで推移しており、ゾーン管理能力やコンタクト能力の高さを伺わせます。
また左右別の打率も2019年(右.207/左.366)、2020年(右.247/左.282)と左投手を得意にする一方で右投手をかなり苦にしてきましたが、今年はフォームの改善が功を奏したのか(右.277/左.266)と見事に克服し、左右関係なくスタメンを任せられるようになりました。

四球率と出塁率は昨年より低下し、P/PAも少し下がるなどアプローチは昨年に比べると少し積極的になりました。その一方で打率が上がったことから、今までは四球で出塁していたがヒットでの出塁に置き換わったのではないかと推測されます。
福田選手は優勝時のインタビューで「宗選手がいて粘ってくれるので、自分は好きなように(積極的な)打撃ができた」という旨の発言をしており、後ろを打つ宗選手の存在が福田選手の打撃スタイルを転換させたと言っても良いでしょう。
よく1番打者に必要な素養として出塁率やIsoD(打率-出塁率)が重視されますが、シングルヒットと四球は価値が同じかというと(マクロ的にはそうかもしれませんが)そうではなく、ヒットでは塁上のランナーを進めたり、返して点を取るなど、出塁する以外にもプラスアルファの効果を得ることができます。そのため出塁率は昨年とほぼ変わらない(僅かに減少した)数値ではありますが、打率がかなり上がったことで少なくとも減少した分のプラスは出せているのではないでしょうか。
球界を見てもセリーグではヤクルトの塩見選手、阪神の近本選手、巨人の松原選手など「選ぶというよりは打っていくタイプの1番打者」が台頭し今後のトレンドになっていくようにも思えます。特にパリーグではDHがなく1番打者にもチャンスで回る局面が少なくないため、1番打者の打力はより重要になっていくでしょう

また盗塁数はキャリアで最も少ない9個でしたが、成功率は90%で失敗数はたったの1と確実性を大幅に伸ばしました。これは福田選手個人の努力もあると思いますが、今まで2番打者を固定できなかったことから多少無理をしてでも盗塁をせざるを得ない状況になっていたのが、宗選手・吉田選手・杉本選手らで上位打線を固定できるようになり、盗塁以外にヒットエンドランなどの作戦も取れるようになったことで、無理やりな盗塁が現象したのだと考えられます。まさに福宗正杉の産物です。

一方で今年の打撃面の課題を挙げると、例年ではありますが好不調の波があったことでしょうか。特に優勝争いが苛烈になった10月に打率.176/出塁率.273/OPS.479と成績を大きく落としてしまいました。昨年は打率が低くても出塁率は3割を下回らず、選球眼でカバーという場面も見られましたが、積極的なアプローチに転換した脆さがここに出たようにも思えます
先ほど紹介した阪神の近本選手や、糸原選手も同様に積極的な打撃で打率を上げているものの、(近本選手はレジギガスと揶揄されるように)不調時にはかなりのブレーキになることも多く、このタイプの選手が乗り越えるべき壁でもあります。


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守備篇

(ここは打撃ほどデータが手元になく、あまり書けることも多くないのですが)
昨季までセカンドやサード、社会人時代はショートを守ることが多かった福田選手でしたが、内野には太田選手や紅林選手などの若手が台頭する一方でセンターは西浦選手が持病により出場ができないなど、現時点でも未来を見ても半ば空白の座になっていました。そこで福田選手は外野挑戦を直訴し、キャンプから外野でノックを受けるなど本格的に外野手へ挑戦しました。オープン戦では佐野皓選手が打率3割、2本のホームランを記録するなど好調で1番センターに、太田選手もセカンドで重点的に起用されたため福田選手はサードを守ることが多くなりました。しかしサードもオープン戦最終盤で抜群の守備を見せた宗選手が台頭、それにより福田選手は開幕後も若手を積極起用した一軍では中途半端な立ち位置になり、二軍で外野手として出場する機会が増えました。

一軍に昇格してからしばらくはセカンドでスタメン出場した試合もありましたが、その後はほぼ全ての試合にセンターで出場し、チームトップの872イニングを守り失策は3にとどめ、UZR(0を中央値とした守備力の偏差値)では3.3を記録するなど、人生で初めての外野手にしてかなり良い数値を叩き出しました。特に素晴らしいのが俊足を生かした守備範囲の広さで、決して広いとは言えないレフト吉田選手やライト杉本選手の範囲を見事にカバーして見せました。一方で打球の目測を見誤ったり、クッション処理では稚拙さが見受けられる場面もありましたが、外野手1年目であることを加味するとそれでも高いレベルの守備力と言えるでしょう。

1番打者だけでなく「打てるセンター」という、坂口智隆選手以来、長年チームの穴だったポジションを埋めた貢献度の高さは計り知れません。


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まとめ

以上、今年の福田周平選手の活躍をまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
個人的には打撃面でも述べた「宗選手が後ろにいるから好きに打てた」というエピソードがまさに福宗正杉が生み出した相乗効果と受け取ったので、改めて打"線"の重要さを今シーズンで実感しました。
また打撃スタイルが変化した福田選手が来季はどのような成績を残すことができるか、注目していきたいと思います。


ここまで読んでいただきありがとうございました!
次回の福宗正杉・合同note企画はyoさんによる宗選手のnoteを予定しておりますので、是非そちらもご一読ください!

次回もよろしくお願い致します!

Twitter→@icchi34

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