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商品貨幣論10  ―マルクスに受け継がれるレッセフェール―

17世紀 重商主義政策
18世紀 啓蒙思想と重農主義政策
    →フランス革命という「歴史的価値観の崩壊」
19世紀 ドイツ歴史学派経済学 と マルクス経済学

前回までの流れを大雑把に歴史として語りますと以上のような流れです。

ドイツ歴史学派経済学

マルクス経済学
は、「フランス革命」から生まれた経済学なわけです。

〇ドイツ歴史学派経済学
革命以後のフランスの凄惨な惨状、経済的被害、その後のナポレオンのような他国戦争を仕掛けてくる独裁者の誕生などを経験した上で、革命に批判的な保守的な潮流です。
学派の創始者は「フリードリヒ・リスト」
私的には重要な人物ですが、一般的にも知られている有名人ではありません。

〇マルクス経済学
こちらはフランス革命を称賛し、フランス革命以後のフランスの革命政府の経済政策(重商主義・レッセフェール)を継承する潮流です。
人間の理性的判断により、より良い社会・国家・経済環境を作ることができるという啓蒙主義から、国民を虐げる「不合理な王権」こそ悪と見做しています。(良くいわれるマルクス主義は無神論、というのは「王権神授説を認めない」という姿勢からきています)
創始者は超有名人、一般人でもその名は知られている「カール・マルクス」

さて、ここで文句を言いたい人が出てくると思います。

「マルクスがレッセフェールだと!?
レッセフェールの思想は主流派・古典派経済学発祥の思想で
マルクスとは関係ない!」

と。

でも関係あります。
だって

マルクス自身がレッセフェールの生みの親、
フランソワ・ケネーを称賛しているのですから。

経済表(けいざいひょう)は、フランソワ・ケネーが1758年に著した経済モデルである。重農主義経済理論の基礎となった[1]。カール・マルクスからは「実に天才的な,疑いもなく最も天才的な着想」と称賛されている。

経済表 - Wikipedia

ということですので、どう考えても重農主義とその根幹政策であるレッセフェールはマルクスに伝わっています。
そして、マルクス的要素を排除し、重農主義にも批判的な「ドイツ歴史学派経済学」はレッセフェールは受け入れていないわけです。

これはつまり、

マルクス経済学は実は「古典派経済学(主流派経済学)」の一派である

と、私は考えております。

既存の経済学の常識では
主流派経済学はアメリカを中心とした「資本主義的経済学」であり、
マルクス経済学は共産主義国を中心とした「共産主義的経済学」であり、
互いに反目し合っている、という構図が私たちの一般的な常識でしょう。
特に政治学に造詣の深い人たちはそのように考える傾向が強いです。

しかし、現実は違います。
実は

主流派経済学とマルクス経済学は寧ろ
兄弟といってよい間柄なのです。

もちろん、それは骨肉の争いをする兄弟なわけですが。

多分マルクス派からすると、私の言っていることはとんでもない侮辱であり、他国であれば私はただでは済まない可能性もありますね。

しかし、

歴史学派的に歴史を紐解けば、
マルクス経済学が主流派経済学と同じ、重農主義の
「レッセフェール」を受け継いでいることは
間違いありません。

次回は主流派経済学と同じレッセフェールのマルクス経済学が違っている点を語ってみたいと思います。

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