見出し画像

ベーシックインカムは極めて怪しい.9―負の所得税(NIT)―


・・・さて・・・

1970 年代に米国とカナダで行われた、類似しているが異なる最低所得保証と負の所得税の実験では、有益な社会的成果が示され、雇用からの離脱はほとんどありませんでした。

https://basicincome.org/faqs/

勘の鋭い人は上を読めばもう分かると思います。
負の所得税(NIT)はBIではありません。
今回の記事で言いたいのはただそれだけです。

「負の所得税(negative income tax)」とはざっくり言いますと、富裕層は課税対象だが、貧困層は課税されずに逆に政府から給付金を受け取る、という「まっとうな累進的税制度」であると共に「貧困層への給付金制度」です。

ではこれをBIの5つの特徴「定期的」「現金給付 」「個人向け」「普遍的」「無条件」に当てはまるか、試してみましょう。
まず、「定期的」と「現金給付」はクリアしていますね。
ただ、「個人向け」に関しては「所得税」ですから家族において所得を得ている人に限定されるわけです。これはつまり「担税者(税を負担する人)」が家庭に一人だった場合、「世帯所得」に課せられる可能性があります。この時点で「個人向け」はかなり怪しいです。
そして、富裕層は課税対象ですが、貧困層は給付対象、という全く違う金銭授受が行われます。「普遍的」とは言えません。資産により差があります。そして、担税者により差があるという条件なら「無条件」ではありません。
5つの特徴のうち、「個人向け」「普遍的」「無条件」の3つが該当しないのです。

はっきり申しましょう。
これがベーシックインカムであるとするなら、この世に存在する課税制度と給付金制度の全てがベーシックインカムという制度だということです。
勿論そんなはずはありません。

「負の所得税(NIT)」は「限定的定額給付金制度」です。
「負の所得税(NIT)」をBIだというのは完全な嘘です。

「負の所得税(NIT)」を「BIだ」というBIENは嘘つきです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?