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山奥ニートに行ってきて思ったこと

山奥ニートこと、『共生舎』へ行ってきた。
共生舎について簡単にいうと、和歌山県田辺市の山奥でニートなどが集まりシャアハウスをしている場所だ。
先日、実際そこへ行ってきて宿泊もしてきたので、そのときの感想を少しまとめたい。

共生舎は、現在住んでいる場所から片道、4時間半かけて、車がすれ違えないくらいの山道を1時間以上走った先にちゃんとあった。

道中でニホンザルの集団とばったり出くわしたりして妙に興奮した。

そして、無事に到着。

わい(ここだ、、、。)

見た目は、赤い屋根のごく普通の建物。


山奥ニートの日記より引用


坂を登り、敷地内まで車を走らすと、何台か車が停まっている。
車から降りると、鶏が僕を迎えてくれた。

(ここかぁ、、、おばあちゃんの家みたいだな)

→の看板が見えたので、それに沿って歩いて行くと、窓から家の中に人がいる気配を感じた。

玄関らしき扉の前に立つ。
ニート集団の暮らしってどんな感じなんやろう。
期待と謎な希望を胸に膨らませて、いざ玄関を開ける、、、が。

(あ、、、臭い、、)

まず一番初めに鼻についた、独特の生活臭。
この臭いに嫌悪感を抱く。

普通の家なら芳香剤とか消臭剤とか使ってることが多いから、なんとなく人工的ないい匂いがしたりするが、共生舎はそういう感じでない。
生身の人たちのいろんな臭いが混ざって、なんとも言えない臭いを醸し出している。
そして、中も思ったより、古くて、汚い。
ただ特別汚い訳ではない。
いろんな人がいるシャアハウスってこんな感じだよなって思った。

玄関で靴を脱ぎ、リビングらしき扉を開ける。
すると、奥に1歳くらいの子供にご飯を食べさせている男性(葉梨さん)とその奥さんがダイニングの椅子に腰掛けて余った料理を片付けていた。
なんかどこか知らない家庭に上がり込んできてしまった感覚。

わい「こんにちわ。今日から二泊の宿泊で予約していたおりごです。」
奥さん「あ、どうも。まず書いて欲しい紙あるから、これ書いてもらおっかな」

小柄で眼鏡をかけた地味な出立ちをしている葉梨さんの奥さんに出迎えられた。
奥には、ずんぐりむっくりとした風貌の葉梨さんがずっと子供をあやしている。
渡された紙に、連絡先や個人情報を記入する書類を記入し終えると
「じゃあ、泊まる部屋とかいろいろ案内します」と自分の泊まる部屋まで案内してもらった。

「ここに布団あるから好きに使っていいよ」と布団を用意してもらったが、ちゃんと洗ってんのか少し気になった。そんなことを思いつつも「ありがとうございます」とお礼をいい、部屋まで運ぶ。

奥さん「トイレとかお風呂とかそういうのも今から紹介しましょうか。」
わい「お願いします」

そして、先程のリビングっぽい部屋まで戻り、反対側に続く奥までいくと、トイレ(洋式2つと立ちション用1つ)とその隣に洗面台2つと洗濯機と乾燥機が置いてあった。

奥さん「洗濯機とかも置いてある洗剤を自由に使ってもらっていいので、好きに使ってください。あと、お風呂は基本的にシャワーでお願いします。そういうルールなので笑。」
わい「わかりました。(あんま水回り使いたくないなー)」

そういって、リビングまで戻る。

リビングまでの道中に名前が貼ってある部屋がいくつかあった。
どうやら、ここがここに住んでいる同居人たちの部屋みたいだ。
まるで、実家の子供部屋が並んでいるみたい。

リビングに共有の冷蔵庫と個人のものを保管する用の2つの冷蔵庫があった。

奥さん「ここにある共有コーナーの野菜とか食材は好きに使って、料理してもらって構いませんので笑。あと食器とかも好きに使ってください。使ったのはちゃんと洗ってもらうのと、コップはF(フリー)がついているのを使ってくれればいいかな」

わい「了解です」

奥さん「とりあえずこんな感じかな、また分からないことあれば、なんでも聞いて」

そういって、一旦、外の空気を吸いに部屋を出た。

あー、もう帰りてぇ、臭いし、汚いし、無理だわ、これ。

外の山景色を眺めて、新鮮な空気を胸一杯に吸う。
携帯を開こうとすると、圏外マークだった。
あ、Wi-Fi繋げんといかんやん。
また部屋に戻り、Wi-Fiのパスワードを教えてもらった。

インターネットが使えないと、ここでは生きてけないなと感じる。

しばらく部屋にこもり、携帯を触っていたが、夕食を食べようと再びリビングへ行く。

すると、初めて見る男性が1人いた。

わい「あ、初めまして」
男性「あ、初めまして、オリゴさん?だよね。僕、古参(仮名)です。」
わい「おりごです。よろしくお願いします」
古参さん「あー笑 おりごくんはだいぶ若そうだけど、いくつなんですか?」
わい「今年24になりました、古参さんはいくつですか?」
古参さん「若いなー笑 僕は今年42とかです」
わい「そうなんですね、ここには長くいるんですか?」
古参さん「そうだね、もう何年かいて、今だと4番目くらいの古参になっちゃっいましたね」

現在の共生舎は、一番若い人は30歳でみんな30〜40代。
長期滞在している人数も7人。
そのうち2人は別の場所に滞在していて今後も帰ってくる可能性は低いようで、現状長期滞在しているのは葉梨夫妻と子供と古参さんとあと2人。
大人は合計で5人

古参さん「ただねぇ、葉梨さん家族も、奥さんの会社が在宅ワークできなくなるから、来年度の春にはここを出てくみたいでさ。これから人数増やしてかないと、僕たちの金銭的な負担も大きくなるから困っちゃうんだよね笑」

葉梨さんの奥さんが仕事していたことが少し驚きだった。
両親がニートだったら、教育とか子育て、ガチでどうするのか気になっていたが。
あと、これから人数増やしていくにも、30、40代のおっさんしかいない場所にくる人あんまおらんと思うな。

古参さん「若い子とかの方が柔軟な思考できるから、新しく入ってきて欲しいんだけど、正直、若い子ってこんなおじさんばかりの場所に来にくいよね?笑」
わい「正直、心理的なハードルは高かったです。ただ、実際来てみて、話がしやすかったりすれば、永住もしてくれるとは思いますけどねー」

とは言いつつ、実際SNSで若い子自らが住んでる様子などを発信しないと、同じような若い子は集まらないだろうな、というのが本音だ。
おっさんしかいない山奥には、今後来て住み着いてくれるとしてもおっさんしか来ないって。

古参さんはずっとニートや引きこもりをしていた人とは思えないくらい親切だし穏やかでちゃんと会話もできる。
実際、現在は週に何度か近くの介護施設に働きに行っているらしい。
毎月の生活費用も18,000円(2023年11月時点)を支払うために、一応働いているから完全ニートとは言えないが。
言い方はあれだが、ニート属性が強めの人たちも中身は普通の人となんら変わらないなと思った。

ただ個人的に、臭い、食べ物、飲み物、食器、水回り、衣類、こういうもの全てを使うのに抵抗がある。
生活費を落とすためとはいえ、ここまで生活の全てを振り切るくらいなら、まだ働けるなら、自分でお金を稼いで居心地いい暮らしがしたいかな。

葉梨さん夫妻も、本人たちに直接聞いた訳じゃないけど、自分たちの家庭があったら全くの他人と一つ屋根の下に暮らすのってどうなんだろうっていう疑問を湧いた。
ストレス溜まりそう。
ちな、古参さんに「赤ちゃんとか気にならないですか?」って聞いたら、「気になる」って言ってた。

共生舎のシステムも、20代、30代の若い独身者を筆頭に活動していた時期は同居人の人数も多く、地元の高齢者も健在している限りは、いろいろ助けてもらえるし、上手くいくと思う。
だけど、誰かが家庭を持ったりすれば、葉梨夫妻のように出ていったりして住む場所も別になっていく。
あと高齢者もいずれは亡くなる。
頼れるのも健在しているうちだけ。
限界集落のようなど田舎で生活が成り立つのも、ずっとそこで暮らしてきた人たちが近くにいるのは大きいだろうしな。
なので、いつかは自分たちの足でしっかり立つ覚悟はいる。

行ってきた感想としては、共生舎におすすめなのは、実家から出たいけど行く宛も金もない、寝床さえあれば大満足、くらいの人にはいい逃げ場所だと思うが、そうでない人には合わないかなって感じ。

何時間もかけてきたのはいいが、初日でもう帰りたくなり次の日の昼に荷支度を済ませて下山した。
合う人には、こういう生き方もいいかもしれない。



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