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恐怖の5月18日 17:33

 5月18日(木)17:33に悲劇が露呈した。

「戸隠の奥社についたよ!で、宿はどこだい?」というゲストからのメッセージと「さっき預かった荷物、ジョン(仮名)のじゃなかったです!(汗)」というスタッフからのメッセージが、まさに同時に私の携帯に届いたのだ。そこで私の頭は真っ白になり、持っていた携帯を落としそうになった。

 まず、何があったかを遡って説明する。「今夜宿泊のジョンが13時に荷物を預けにくるそうです。荷物置き場の開け方と玄関の暗証番号は案内済みです」と私はスタッフ連絡用のSNSに送った。13時に私は不在にしているけれど、これでゲストにセルフでやってもらえる。ただ、13時、ちょうどよくヘルパースタッフが居合わせた。事前に荷物預けにくるという情報を受けていたスタッフは「ジョンの荷物預かりました。戸隠行きたいそうですが、きちんと伝えられていません」と。オーケーオーケー。こういう時、ブッキングドットコムのチャット機能は便利だ。飯室はアプリでジョンを選び、チャットを使ってバスの時刻表や乗り場、バスナンバーを送ると、「OK!」とすぐに返事が戻ってきた。次のバスの出発時間は迫っている。それを逃すと2時間近くバスは来ないから、すぐに返事があって、ほっとした。

 ただ、その後のジョンとのチャットで、彼が13時台のバスに乗れなかったことがわかった。

ジョン「今、バス待ってる」
飯室「え、次のバスまでけっこう時間あるよ…」(往復のバスの時刻表を蛍光マーカー入りで送る)
ジョン「そうか、じゃバス停でランチでも食べながら待つよ」
飯室(どうしても今日行きたいんだなぁ)「知ってると思うけれど、バス50分くらい乗るからね」

ジョン「ありがと」
飯室「1166bpに戻ってくる最終バス、逃さないようにね!」
ジョン「奥社についたよ。どっちに行くんだっけ?」
飯室「こっちだよ。帰りに乗るバスはここからね(地図を画像で送る)」

ジョン「(隋神門の写真とともに)まだ先?」
飯室「そうだね、その先だよ」(画像にはないが、「帰りも同じ道を戻ってきた方がよさそうね」と送っている)

ジョン(途中の写真とともに)「近い?それともまだ先?」
飯室「そうだね。そこで3/4くらいじゃないかな」

ジョン「(奥社の写真とともに)ここだね!」
飯室「ついたね〜!!」
ジョン「ふ〜。で、宿はどこ?

まさにこのタイミングで、ヘルパースタッフから来たこのメッセージ。よく見てください、2つのメッセージの受信時刻。ほぼ同時。これ、私しか知らない恐怖の瞬間(今だから笑える…)。

 つまり、私がチャットをし続けていた相手・ジョンは別に戸隠に行きたいわけじゃなかったのに、不意に私に誘導されて、うっかり戸隠に行ってしまったわけだ…。全身の血の気がひくというのはこういうことなんだろう。とは言え、チャットの相手は私からの返信を待っている(そして私の隣には、買ったばかりのスクール水着を着て踊っている娘がいる…)。

 震える手で何があったかをジョンにチャットで送り、車を出せるスタッフに電話をかけ、水着の子供を着替えさせた(んだと思う。記憶がない)。自転車の後にこどもを乗せてぶっ飛ばし(途中、子供は旦那の店に降ろし)、スタッフと共に戸隠へ向かい、「携帯の電池が死んじゃいそう…」という最後のメッセージをくれたジョンを奥社入口で救出したときには、戸隠はもう薄暗くなっていた。

 ちなみに、ジョンは人間が2人くらい入っているんじゃないかと思うくらい超重いキャリーバッグとデイバッグを持っていた。彼はこれをひきづりながら奥社まで往復したのか…。彼にとっても、17:33は恐怖の瞬間だっただろうな。疲れ果てて入る様子だけれども、無事に会えて、車に乗れ、私が平謝りしていたのもあり、ジョンは怒っていなかった。いいかた…。ありがとう、ジョン(仮名)…。

 ちなみに、実際に13時に荷物を置きに来たゲストは、元々その時間にくる予定はなかったゲスト。もう、いろんな偶然が重なって、今回のようなことになった。「そんなんあるぅ〜!?」と言いたい。

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