嗚ゝ、李明博君! 大韓民国、経済再興戦略の挫折と苦悩 1

 諸君! 諸君は李明博という男を知っておるか!
 なに? 

 「竹島に上陸した挙句、天皇陛下に謝罪しろだとかなんとかいった韓国の昔の大統領でしょ?」

 だと? 
 え、あ、うん。そうだね。
 ちなみに彼は今、韓国で起訴されて塀の中にいるんだ。悲しい。
 なにせ彼は韓国の左派、とくに今の文在寅大統領の盟友だった廬武鉉元大統領の支持層には恨まれてたからね。
 え?

 「そんな人どうでもいいじゃん別に」

 いやいや。そう思う気持ちはわかる。だがちょっと待ってほしい。
 今、日本と韓国の関係はこれまでになく悪化している。これは大体韓国側のせいだとは私も思うんだけど、それに便乗して近頃SNSでは。

 「韓国人はクズだ!」

 とか平然といい出す有名人もいるので、そこまでいうのはどうかと思うのが正直な感想なんだ。
 そもそも日本と韓国は一昔前まで中国や北朝鮮を相手にするときには味方同士だという点では大体一致していたわけだし、その意味では「嫌なやつ」ではあっても敵ではなかった。ところがそれがちょうど李明博政権の終わり頃から色々と雲行きが怪しくなってきた、というのがこの数年のことなんだ。
 だから別に韓国のことを「好きになれ」とか「韓国に対する愛はないのかー!」とかいうつもりは毛頭ないんだけど、一応韓国の側にもそれなりの苦労や挫折があったというのをここで話しておきたいと思う。
 それを読んだ上で。

 「韓国はほんとにどうしょうもないなあ」

 と思うのも。

 「どうしてこうなった・・・」

 と思うのも、それは自由。というわけで時間のある人は少しお付き合い願いたい。
 
 まず、ときは2007年のこと。
 韓国ではこの年の大統領選挙で久しぶりに保守政権が誕生した。
 大韓民国大統領へ就任したその男の名は李明博。
 ときに67歳。
 以上wikipedeiaより。
 
 さて、当時韓国国民の最大の関心事は、北朝鮮問題でも、慰安婦問題でもなく「経済問題」であった。
 このところ日本でも。

 「韓国では若者の失業率が高くて生活が苦しい」
 「みんなチキン屋になるしかない」

 といった話題をテレビで見かけるようになったけれど、実は李明博大統領就任当時からもこうした問題は存在しており、前任者の廬武鉉大統領にしても経済政策でかなり支持率を落としていたんだ。
 こうした中、韓国国民からは「そろそろ経済をしっかり立て直せる手腕のある人を大統領に」という声が強まったのはもっともだね。
 
 ではその「経済に強い李明博大統領」の経歴とはどんなものだったのか。
 そこのところはwikipedeiaに詳しく書いてあるんで興味ある人は読もうね。

 でも興味のない人のためにごくかいつまんでいえば。

 「貧しい家の出で、就職した後はめっちゃ働いて自分とこの会社を韓国を代表する企業にまで育てた、企業ドラマの主人公みたいなやつ」 

 みたいなものだと思えばいい。なお、何度かあちらでは実際にドラマ化もされた模様。
 政治家になった後は、ソウル市長としても活躍し、インフラ整備とかでがんばってたもんだから、韓国の有権者も。

 「こいつはいけるぜ」

 という期待が高かったわけだ。(韓国のここのとこの大統領は経歴だけ見るとみんなほんとにチート主人公なんだよなあ)。

 なお、当時の日本政府(福田内閣)も前任者があまりにもアレだったためもあって(前の大統領についてロバート・ゲーツ元国防長官いわく「ちょっと頭がおかしい」)、日本としても李明博政権に対しては、今後の関係改善を含めた期待感が強かった。
 だから大統領就任式には福田総理本人がわざわざ出席したりもしている。

 さて、どうだろう。ここまで読んで。

 「あれ。こいつ割と期待できそうじゃない」

 と思ってくれたのならよかった。
 でも実際にはここから李明博政権はしばらく苦難の時期が続くことになる。

 まず就任から早々に李大統領は米国を訪問し、当時いわゆる狂牛病問題(BSE)で輸入制限がかかっていた、米国産牛乳肉の輸入拡大に舵を切る。
 するとこれに対して韓国国内の反対派からは、ここぞとばかりに「輸入制限解除反対」、「ついでに李明博退陣せよ」という大規模なデモが発生。
 このデモ隊がみんな手にロウソクを持っていたことから、ロウソクデモといわれるんだけど、おかげで非常にロウソクが売れることになった。
 朴槿恵政権の末期も同じようなものだったけど、韓国人は意外とこういうのに煽られやすいみたいでね。
 おかげで支持率も一気に低下する。
 
 こうして就任早々の危機に陥った李明博政権に、さらに追い打ちをかけるように、2008年の後半から韓国を襲ったのが驚異的なウォン安だ。
 これは2007年当時、1ドルあたり大体900ウォンだったのが、その後わずか一年で1ドル1200ウォン前後にまで急落するという激しいものだった。
 
 「そういわれても為替とかよくわかんない」

 という人もいるかも知れないけど。

 「韓国は貿易で儲けてる企業が多いから、あんまりウォンが高くなっても安くなっても大変なのよ。それがこんだけ急激に為替が動くと、あちこち損益出て大変なことになるのね」

 くらいに理解しておいてくれればたぶん大丈夫。
 経済の話がメインではないからね。
 この経済危機には日本のインターネットでも注目が集まっていて、某掲示板では連日ウォン相場を見守るコリアンウォッチャーたちが。

 「これは韓国いよいよダメかもなあ」

 と世間話に花を咲かせていたもんだ。
 なお、このとき韓国の中央銀行は為替相場を維持するため、かなり強引な通貨介入を連日行っており、毎回ある程度の値段まで下がると、突然介入が入って、そのときに反発した為替グラフが「W」のような曲線を描くことから「ワロス曲線」という愛称で親しまれたりもしていた。
 今に思えばいい時代だね。
 
 こんな具合に「割ともう詰んでいる感じの韓国経済と支持率」ではあったものの、ここから李明博大統領は経済大統領と期待されたその手腕を発揮する。
 まず韓国政府はアメリカとの間でドル・ウォン通貨スワップ協定の締結に成功。
 さらに続いて中国、日本ともそれぞれにスワップ協定を結び、通貨防衛の道筋をつけていく。

 「スワップって?」

 というのは、ようするに「自分とこの通貨がやばくなったときに、他の国に自分とこの通貨を貸す代わりに、相手の通貨を融通してもらうシステム」みたいなものだね。
 ちなみにこのとき日本だけなぜか後で不満と文句をいわれたというエピソードがあったりする(このあたりいつもの韓国らしいといえばらしい)。

 ともあれ、こうした韓国政府の努力もあり、ウォン安も翌年の2009年にはひと段落を見せ、支持率も30%台に回復する。
 
 「おー。割とやるじゃん李明博」

 というところだろうか。
 そしてここから本格的に李明博大統領の「韓国経済再興プロジェクト」が本格化していくのだ・・・が。うん。そうなんだが。

 というわけで今回はここまでにしよう。では気が向いたらまた。
  
 参考http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/topics/ketugi120824(1)-1.html

韓国の李明博元大統領に懲役15年、罰金13億円 http://www.afpbb.com/articles/-/3192305 @afpbbcomさんから
 
ゲーツ元国防長官の回顧録が波紋 盧武鉉氏は「反米的で頭が少しおかしい」
https://www.j-cast.com/2014/01/16194299.html?p=all

韓国訪問・李明博(イ・ミョンバク)新大統領就任式に出席
https://www.kantei.go.jp/jp/hukudaphoto/2008/02/25korea.html

「韓国が厳しい時、日本が最も遅く外貨融通」 | Joongang Ilbo | 中央日報 https://japanese.joins.com/article/575/117575.html



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