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アカウントが消えても、思い出は心の中に (妄想と現実をうろうろする女)


先日、 noteとは別のブログのアカウントを削除しました。やっとさよならできました。いまはとても心が軽く、清々しい気持ちです。

わたし、ひそかに心を寄せていたひとがいました。それはネットの世界で知り合ったひと。毎日一言ずつの何気ないやりとりに笑って、癒されて、お互いを気遣って。かわいい年下の友達だったけれど、ほんとは好きだったの。

でもリアルの生活を大切にしたいと、わたしの前からあぶくのように消えてしまいました。「ありがとう、元気でいよう」と言葉を残して。

意志の強いひと。再び戻ってくることはないとわかっていたのですが、わたしは悲しくて、寂しくて、ずっとメソメソして。ネットの世界のことなのに何をしていても涙が出てきて、自分でもどうしちゃったんだろうってくらいに弱っていました。

そして、そのひとと繋がっていたブログが、わたしにとって唯一残った宝物。毎日のようにログインしては、アクセスがないのを確認して泣く日々でした。

次第に、辛いことがあると「たすけて」と無意識にそのひとの名前を呼んでしまうほどで、わたしにとって神様みたいな存在になっていました。

このままじゃよくないと、自分の気持ちに蓋をして、楽しかった思い出も、さみしさも、スクショしたデータもひとつずつ消去しながら、心の中にしまっていきました。そうしていつか自分の気持ちが落ち着いたときに、ブログを消そうと考えるようになりました。たとえ何年かかってもいいから、と。

そんな自分と向き合ってもうすぐ2年。

いまは月に1、2度、ただログインするだけ。ずいぶん気持ちも穏やかになって、時々「元気にしているかな」と思うくらいです。会いたいとか、そういう気持ちもなくて。
ただただ、幸せでいてほしいと思っています。


そしてとうとうその日が来ました。

先日、noteを始めたばかりの頃に書いた記事にスキをいただきました。それは好きなひとへ向けたラブレターで、とても長く、読みにくい記事です。noteの海の深いところに沈んでいました。

思いがけないスキのお知らせが届いた時に、ふっと心が軽くなったんです。

あの時の苦しかった思いが、甦ったと同時にふわふわと昇華していく感じがしました。おかしな表現だけど、わたしの思いが成仏して空に消えていく感覚。なんというか、もう大丈夫だよ、と肩をそっと抱かれた気がしました。

その瞬間「ああ、今ならブログを削除できそう」と思いました。そしてすぐにブログにログインして、退会手続きのページを開きました。

急げ、急げ。

でも、こういうサイトはすぐに退会できないのですね。「今後同じアカウントは使用できません」とか「データは全て消えて戻りません」それと、あとひとつは何だったっけ、とにかく最後の意思確認のチェック項目がありました。

ああん、ここで考え始めると、また気持ちがずるずるしちゃう。内容の確認もそこそこにぽち、ぽち、ぽち。ひとつひとつチェックしていきます。

そして最後に「退会する」のボタンにカーソルを合わせて、ふうーっと息を吐いて。

押したら、すべてが消えるの。ここまで来たら勢いよくいこう。

えいっ。

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退会完了の四文字を見て「終わってしまった」という喪失感よりも、「ここまで長かった…」という気持ちが大きかったです。へなへなと力が抜けました。(写真を撮る余裕はありました)


アカウントが消えても、自分の中でとくに変わったことはありません。ただ、ログインページを開くという行為をしなくなっただけです。

それに後悔することもなくて、データが消えて悲しいとか、もったいないことをしたとか思うこともなくて。

退会した次の日。外回りでママチャリに乗りながら、ブログのことや好きなひとのことをあれこれ考えました。

—ああ、とうとう消しちゃった。でも全然悲しくなくて、むしろすっきりした気分。

そういえば、あんなこと、こんなことあったよな。大事な言葉をたくさんもらったなあ。いっぱい笑ったなあ…。

楽しかったやりとりを思い出して、ふふふと笑いました。


そうか。

もうこの目に見えるものは何もないけれど、思い出は消えない。

今もこうして心の中に残っているから、寂しくなんかない。わたし、もう大丈夫。

いつか、記憶は砂のように手のひらからこぼれ落ちるかもしれないけれど、それでもしっかり握りしめて、ずっと心の奥にしまっておこう。


ねえ、元気にしてる? いま幸せ? わたしは相変わらずぼんやりしているけど、元気だよー。

自分の中で何かが少し変わったような、新しい風が吹いたような気がしました。

もっと速く。追い風が吹いてきて、ついついママチャリを立ち漕ぎ。するとあっという間に身体がほてってきました。

心も体もあつくなるのは、あの子のことを思ったからじゃない。

きっと、季節外れの強い日差しと、このダウンジャケットのせい。


◇  ◇  ◇

この恋、ようやく一区切りつきました。これまでずっとずーっと温かく見守ってくださり、ありがとうございました。

「かわいいあのこ。」完結です(たぶん)。きっかけをくださった方々には、心から感謝いたします。


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