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思い出に変ってゆく恋 (妄想と現実をうろうろする女)



あたしには好きなひとがいる。実は、ネットの世界で知り合ったひとだ。大きな声では言えないけれど、こういう女なの。

ときどき、彼のことを書きたくなる。

苦手でなければ、ほんの少し聞いてほしい。無理にとは言わない。

秘密の話も置いておくので、知りたい方だけ読んで欲しい。


彼があたしの前からいなくなって、1年半が経つ。とうとう、一緒に過ごした時間より、会えなくなった時間の方が長くなってしまった。

彼の生真面目な性格上、もう二度と戻ってこないとわかっていたけれど、またいつか会えるかもしれない。あたしは、どこか淡い期待をしていた。

いつも癒してくれて、笑わせてくれる、優しい子。もう一度会いたくて、毎日毎日、彼の名前を呼んでいた。

お願い、助けてって。

彼はあたしにとって神様みたいな存在になっていた。でも、いくら呼んでも、願っても、どこにもいない。次第にあきらめの気持ちが大きくなっていった。

いいかげん目を覚まさなくちゃいけない。いつまでも形あるものにすがってちゃいけない。

そう思うようになって、少しずつ、彼との思い出を心のなかにしまいこむ作業をしてきた。

大切にしていたメッセージをひとつずつ、ひとつずつ目と心に焼き付けて、削除する。

消えてしまえば、案外平気なものだと知った。少しだけ、気持ちが軽くなった気がした。ただ、彼と唯一繋がっていたブログのアカウントは、今も消せないまま。

わたしの心を掴んで離さない、かわいいあのこ。全部さよならするまで、あともう少しだと思う。


けれど、時間とは残酷なもので、日々の忙しさに追われ、現実の世界で必死にもがいているうちに、彼のことを思うことが徐々に少なくなった。

ただ、ふとしたときに、元気にしてるかなぁ、どうしてるかなぁと思うくらい。今はもう、彼に助けを求めることはない。

あたしにとって、「すきなひと」というより「すきだったひと」のほうが今はしっくりくる。さみしいけれど、思い出に変わってゆく最中なのかも知れない。これでいいんだと思う。


あたしが知ることのない、新しい世界で、生きている君。元気に過ごしているであろう君。沢山くれたやさしい言葉を思い出してみる。


笑ってよーな

俺もすきよ

しあわせであれ

いい子見つけた

ありがとう

元気でいよう


もっと、もっとあったはずなのに、徐々に遠くなって、手からサラサラとこぼれて消えていく。そのうち、ぜんぶ無くなっちゃうのかな。

それでも、あたしの大事なひと。いつまでも心のなかにいてほしいひと。


君を思うのは、いつも夜空を見上げたとき。

ねぇ、元気にしてるかな

笑ってるかな


いま、しあわせ?


君がいない世界は、しんと静かで、つまんない。あたしも一緒に連れてってほしかった。


少しだけ、涙が出る。



◇◇◇

物事を、いつもじょうずに終わりにできません。仕事も、恋愛も、SNSのつながりも、ブログもそう。少しずつ、少しずつ自分の気持ちを整理しています。

noteだけは、思い出をたくさん作って、大好きなひとたちにありがとうを伝えて、楽しい気持ちのまますっと消えたいといつも思うのです。



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