海へ

令和5年 8月19日

 海へ、海へ、海へ……。

 ふわふわゆらゆら、光があそんでいる。つめたい海の優しさに包み込まれて、木漏れ日みたいにかくれんぼしているのだ。
 腕を伸ばす。半透明なゼラチン質は、世界を透かしてみせてくれる。淡い桜色の貝殻が綺麗。ジェリービーンズのような珊瑚。それを縫うように泳ぐ鮮やかな熱帯魚たち……。まさに楽園だ。

 海を夢見るたびに、遠く遠くから波の音が聞こえる気がする。少しずつこちらへ近づいてくるから、きっといつかは俺をぱくりと飲み込んでくれるのだろう。なんて素敵で、魅惑的なのだろう。

 海へ、海へ、海へ……。

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