令和5年 8月15日

 なにもない。焦っているけれどなにもなくて、ただ時間だけがすぎていく。恐ろしい記憶たちに追いかけられながら、行方のわからない未来に逃げていくしかないのが怖い。どこへも辿り着けないのに逃げるしかなくて、気がついたら海の底で溺れていた。なにもない。
 息の仕方を忘れた。呼吸が下手になると苦しくなる。なにもないのに。頭が焼ける。海に沈むほど炎が体を焦がして、ただれていく皮膚を慰めてやることしかできない。そのうち意識も焦がされてダメになるのだ。なにもなくなる。
 胸がつまる。足も動かない。お風呂に行かなくちゃ。明日は仕事だから、お薬を飲んで、ちゃんとポケモンスリープをつけて寝なきゃ。なにもないのになにもできない。たすけて。

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