見出し画像

八ヶ岳自然と森の学校「山のトラブル対処術」

2018年6月9日記事をNote化

八ヶ岳オーレン小屋

講師:伊藤岳先生(兵庫県立加古川医療センター救急科医師、日本山岳ガイド協会FA委員)イベント開催報告をいたします。※オーレン小屋では安全登山啓発運動の一環で、30年前より、山岳気象、読図講習、セルフレスキュー、山岳医療の話等の講習会を年1回行なっています。

伊藤先生の講習会は、昨年から始まり2年目のイベントですが、今年はアウトドアメーカーの「finetrack(ファイントラック)」、山岳保険の「やまきふ共済会」の協力を得て、さらに素晴らしいイベントになりました。


高山病と低体温症

始る前に、小屋の親爺さんから、昨年冬山での遭難事故についてのお話しがありました。低体温症と疲労、登山計画、天候など様々な要因があったかもしれませんが、山は美しさと厳しさが混在している所、無事に帰ってこそ楽しい登山になるけど、遭難したら今まで頑張ってきた登山が台無しになる。だから自分で自分の身を守るため、今日はしっかり学んでほしいという話から始まり、最後は親爺さんのポケットマネーで購入した、NASAの為に開発された技術を転用して作った保温シートが参加者全員にプレゼントされました。

冬山ではこれで助かるかはわからないけど、夏山や家に帰ったあとでも、災害時にバッグの中に持っているだけで助かる命もあるかもしれないとの事です。

昨年の冬の根石岳遭難は、もどかしい気持ちでした。小屋が営業していたら救助に行けたかもと思うと残念です。親爺さんの保温シートは同じ事が起きないようにお守り替わりだと思います。

伊藤岳先生

伊藤岳先生のお話しですが、北アルプスの山小屋診療所の話、ヒマラヤ登山、ドクターヘリのお話しや高山病、低体温症の対処方法等分かりやすく説明していただきました。今講習を受けた方から、さらにその先の方へ知識が伝わっていき、山の事故が少なくなればと願うばかりです。今年は、小屋宿泊者だけでなく、テント泊の方も参加してもらいましたので、より多くの方に、学んでもらいました。

finetrack(ファイントラック)の近藤靖子さん

次に、finetrack(ファイントラック)の近藤靖子さんから下記のお話しがありました。近藤さんは東京渋谷のfinetrack TOKYO BASEのスタッフさんで、オーレン小屋の小屋番を2シーズンやっていた事があります。

  1. 汗冷えの弊害とその解消法についてのお話⇒ドライレイヤーの紹介
    スキンメッシュをバケツの水につけて、どれだけ速乾性があるかなど実演

  2. ウェアのお手入れ方法
    洗濯の重要性とオールウォッシュの紹介+試供品プレゼント


<オーレンスタッフコメント>
実は、私(岳)も個人的にスキンメッシュを使っていて、その実用性が分かっているのでお勧めしたいウェアです。小屋では、主に、小屋開けの積雪時のルート開け、梅雨時の歩荷、フラワートレッキングガイド補佐等稜線に出る時や悪天候、ハードワークを想定した時等にとても頼りになります。
山で生活している私たちでも汗冷えは怖いものです。低体温症は体力を奪うばかりでなく、生命の危険もあるのでスキンメッシュは自分自身を守れるので有難いです。

今回のイベントでは、やまきふ共済会にもご協力いただきました。小屋では、日頃から山岳保険加入を推奨しています。安全登山の観点から、安心して登山を楽しむために山岳保険加入は今や常識になってきています。先まだ加入していない方は是非この機会にどうぞ。山岳保険は様々な会社がありますが、やまきふ共済会は遭難対策費用等に積極的に寄付を行っています。八ヶ岳では毎年、登山道整備や案内看板整備等でお世話になっています。

※最後に、今年も、伊藤岳先生に支払う謝礼は、所属するNPO災害人道医療支援会HuMAへご寄付し、災害支援に使用していただくことになっています。今回も素晴らしい講習会を開催する事ができました。講師の伊藤岳先生、参加者の皆様、スポンサーの皆様ありがとうございました。

おまけ

イベントの後は、伊藤岳先生を囲んで、懇親会を行いました。
地酒がお好きという事で、今回は大七、作、獺祭、オリジナルラベルの付いたワインが並びます。
先生の誕生日が近いという事で、仲間の方が手作りケーキやおやつをご用意、盛り上がりました♪


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?