家コンプレックスだった人間の話
私の夢は花屋になることでも看護師になることでもなく、2階の自室のベッドから落ちることであり、櫻井翔くんのポスターを壁に貼ることでした
なぜこんな夢を持つようになったかというと、友達が何気なくネタにしてる時、すごくキラキラ 魅力いっぱいに聞こえてしまったからです
ただの笑い話でしたが「私だってベッドから落ちたい、ソファーでうっかり寝てしまいたい!」 いつもそう思ってしまいました
外にある風呂場は、小さい頃は窓から覗く五月の夜の鯉のぼりが 小学五年生の頃には都市伝説サイトの黒背景に禍々しいフォントの赤文字で書かれた薄気味悪い文章が シャワーの度瞼に浮かんで目を閉じられませんでした
そんなうちに、巣から落ちたツバメのヒナが家に来ました
父はミミズを取ってきて、母は割り箸でちょっとあげたりしたけど、全然食べてくれなかったりして
それでもペットなんて飼ったことがなかったから、これから新しい楽しいことがこれから始まる気がしてうれしかったです
すぐ死にました
ホタルが死んだ次の日の節子って、自分達が惨めになって泣いたんだろうなと思うんです 蛍が死んでしまったことに悲しんでいたのではなくて
ツバメが死んだ時、私はそんな気持ちでした
その後くらいに ハムスターのキキちゃんを飼い始めます
私は、キキちゃんを手に乗せてよく散歩しました
犬みたいに散歩したくて、そんなことはなんにも知らないキキちゃんに外の世界を見せました
2年後くらいにキキちゃんは死にました
だんだん、周りの皆には「一人部屋」が出来ました
知り合いから櫻井翔くんのポスターを貰った時は、これを自分の部屋の壁に飾れたらどれほどいいだろうと考えながら、自分の勉強机がある方の壁に貼ってみました
中学の頃から前髪命になり、 朝学校に行く前には必ず毎日台所の給湯器でお湯を出して前髪を洗いました
シャンプーを忘れて風呂場に取りに行ったときの冬の外の空気がおいしかったです
家庭訪問が憂鬱でした
次からどこかで貧乏 という視点で見られる気がして嫌でした
中3の時、男の担任に「これ、○○ちゃんと弟くんの部屋?」と聞かれて、なんかすごく情けない気持ちになりました
色々あって、高一の冬くらいから二階建ての風呂が中にある家になりました
そして私はこの前 壁になんのポスターも貼っていない自分の部屋でベッドから落ちました
そんなことは全部忘れて
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