旅館住み込みあんまん日記

どういうわけか、半ニート状態だった私は突然10月下旬から住み込みで旅館で働いている

家を出て行くとき 父が、昔私が父にあげたお年玉袋の中に 一万円を入れて黙って放り投げてきたけど、家の中で確かに感じた決意の余韻は無人駅に着いてから消費され始め、まかないを一人で食べている時の自分の咀嚼音が食堂のプレハブ小屋に響くときは 単に、惨め

蟹が毎日食堂の帰りに水槽の中からピースをしてくれるけど中身が毎日違う

ご飯を暴食して具合を悪くしても、必ず夜が明ける事実が正常な私に言い訳をさせてくれなくて だから、坂道をズンズン登って力ずく、毎朝めいっぱい、少し遅く打刻されるタイムカードをいち早く押すために進む　

この世界でまるで私しか起きていないような午前6時の冷たさと薄暗さは柔らかくて、執着を持たないやさしさの持つ残酷のとこが中学ジャージに吹き付ける

100円自販機でジュースを買う為に毎朝6時に家を出る　人工甘味料にも人のやさしさ　ここにきて初めて小銭をはたいて買ったQooのリンゴジュースの甘さと冷たさ

コーンスープのコーンを全部食べようと上を向いたら白い月がうっすら見えて、やられた

1日に2回シャワーを浴びて、昼に寝て、昼に起きる

ギターがない間に弾きたい曲ができた

帰ったら洗濯を回す　生活を手動で回し続けるのは、たまに放棄したい  だからサンキューレター滞納精一杯

帰ったら麻雀アプリを必ずする

こんなに頑張ったのにロンされるなんて

温泉からあがったあとの夜10時の外気は正直な味

口呼吸で空気をパクパクして帰っている

寮の牛乳を使っていいのか分からず、仕送りで貰ったココアをお湯割りで飲み始めた

お湯割りココアが美味しいのは、大さじ4杯から

おもちゃみたいな甘さ

１０分おきにアラームセット　そんで、ココアパウダー直食い  そんな受け入れ方　許し方