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【真贋判定】水晶玉とガラス玉の熱伝導率比較

水晶玉とガラス玉の真贋に氷を使う方法についてご質問がありました。

「水晶とガラスでは、熱伝導率が違うと思います。
水晶はガラスの10~20倍の熱を伝える速さがあるため、氷が早く溶けますよね?」

これについて回答していきます!

まず熱伝導率について


上記の質問ですが、
正解ですが、間違いとも言えます。

そもそも水晶の形状の定義から入る必要がありますが、SiO2の砂と、六角柱の水晶の結晶と、水晶の玉では全く熱伝導率が異なります。水晶の六角柱の結晶の場合は、六角柱の軸方向に対しては、極めて高い伝導率を持っていますが、九十度ずらして、結晶に対して垂直方向に対しては、低い伝導率となります。それから、ガラスにも、石英ガラス、鉛ガラスなど様々なものがあるので、これらの条件を提議しないと意味がない話です。

次に、水晶はガラスの10~20倍の熱を伝える速さ

これは倍率が間違っているだけでなく、温度条件が書いていないのでナンセンスな話しです。例えば、26℃の室温という条件だと、熱伝導率の高い水晶の方が、早く氷を解かすことができるのは、熱伝導率が高いと放熱効果が高まるからです。一方で外気温がマイナス30℃ならそもそも氷は解けないよねと言う話しです。

ひとまずまとめてみます!

水晶(クリスタル)の熱伝導率


水晶は一般的に高い熱伝導率を持っています。これは、水晶の結晶構造が熱を効率的に伝えるためです。水晶は多くの電子を伝導帯に持っており、これらの電子が熱を伝えるのに寄与します。そのため、水晶は熱を速く伝える特性を持っています。水晶は、一部の電子機器やセンサー、光学機器などで使用され、高い熱伝導率が要求される場合に適しています。

ガラスの熱伝導率


ガラスは一般的に低い熱伝導率を持っています。これは、ガラスの非晶質結晶構造が熱の伝導を阻害するためです。ガラスは電子の伝導帯が水晶よりも制約されており、そのため熱の伝導が遅くなります。低い熱伝導率を持つガラスは、断熱材や窓ガラスなどの用途で広く使用されます。窓ガラスの場合、外部からの熱を室内に逃がさないために低い熱伝導率が望ましい性質となります。

補足

水晶玉とガラス玉の温度を同じにしておくといった前提条件も必要です。
例えば、水晶玉を冷凍庫で冷やしておいて、ガラス玉を熱湯で煮込んでいたら実験結果は全く逆になるはずです。

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