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寒天で“味わい”をつくる?

寒天は様々な機能を内包している食材です。その機能のひとつである「固まる力(凝固性)」は、私たちの想像を超えて生活の様々な場面で活用されています。

そのひとつが、アイスクリーム。現在日本国内で発売されているアイスクリームには、含まれる脂肪分の多い順にアイスクリーム(乳固形分15%以上)、アイスミルク(乳固形分10%以上)、ラクトアイス(乳固形分3%以上)があります(ラクトアイスより乳固形分が低いもしくは入っていないものは「氷菓」)。

乳脂肪分が高くなればなるほどクリーミーで濃厚な味わいとなるのは、誰しもイメージがしやすいところ。寒天は、この乳ならではの食感や物性の増強にも役に立つと、自社で100種類以上の寒天製品を取り扱う長野県の寒天メーカー、伊那食品工業の取締役開発本部長を務める柴克宏さんは言います。

「たとえば、乳固形分の低いラクトアイスに寒天を適量加える。すると、アイスの溶け崩れのスピードがほんの少し緩やかになります。これがもったりとした乳脂肪感の増強につながるのです。
また、寒天の分子構造の網目に氷晶が入り込むことによって、氷晶同士の結合を防ぐ作用もあります。氷晶が細かければ細かいほど、口溶けは滑らかに。寒天を固まらない程度の希薄濃度で使用する面白い事例のひとつです」