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パッケージ中澤、白いケーキ箱の秘密②職人たちの0.5mm

「これは『TD』といって、当社でつくっている一般的なケーキ箱です。箱の側面、綺麗な長方形に見えるでしょう。でも実はこれ、左が114.75mm、右が115.25mmとほんの少しだけ傾斜をつけてあるんですよ」

そう話すのは、島根県松江市の紙器製造メーカー、パッケージ中澤のトムソン課(*)を率いる松浦静夫さん。パッケージ中澤は、和洋菓子のパッケージに特化した製品展開で1958年の創業以来60年以上にわたり食のプロたちを支え続ける島根県松江市を拠点とする紙器製造メーカーだ。

*「トムソン(加工)」とは、刃を組み込んだ木型を使い、紙やフィルムを型抜きする工程のことで、地域によっては「打抜き加工」や「ビク抜き加工」とも呼ばれる。

「何故傾斜をつけたかというと、糊貼りしてある辺は紙が重なる分厚みが増すから。ちょっとしたことですが、同じ長さにするとどうしても面の形が歪んで隙間が空いてしまうんですね。なので糊貼りしてない方の辺を0.5mmだけ長くとって、形が整うように調整してあります」

それだけではない。同じ型の箱でも、使用する紙の厚み次第で生じる歪みの大きさは変わる。そのため、一旦図面どおりにつくった箱も現場では必ず完成品をチェックし、使われる紙ごとに必要な左右差を再度調整するのだという。

もっと美しく、もっと快適に。白いケーキ箱のなかには、完璧を追求する職人たちのミクロなこだわりが凝縮されている。


パッケージ中澤
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