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【私見】ジャニーズ児童性加害問題を取り巻く環境

ジャニーズ児童性加害問題を取り巻く環境について、私なりに思うことを書いてみました。



■ 想像力と集中力の欠如

ジャニーズ児童性加害問題について、その問題の構成の難しさが多くの人の理解の疎外になっていると感じています。
今回の問題では、①「芸能界・エンターテインメント業界」という特殊な業界で、②一般的に被害に遭わないと思われている「男性」が、③異性ではなく「同性」から、④「子ども」の頃に性被害に遭うという構図になっています。例え話ですが、これが男性プロデューサーから女性タレント達が性被害に遭っていたとなれば、事態の把握がすんなりといくのではないでしょうか。
この問題に関してマスメディアはまだ消極的と言わざるを得ない状況にあります。そして、数少ない取り上げてくれるメディアであっても、「男性」の性被害という部分がフューチャーされており、この問題における一番重要な「子ども・児童」である点が置き去りにされています。

元々ジャニーズに興味関心がある人、または性暴力・性犯罪を許せない気持ちの強い人、児童虐待を許せない気持ちの強い人は、この問題の本質を捉えています。ですが、世間一般の反応としては、「よく分からない」というものが多いのかもしれません。ほんの少しの想像力とそれを考える集中力があれば、難しくはないのですが、大衆とはもっと単純化されたものを好みますし、私自身も他の問題では、そういった側面があるかもしれません。
だからこそ、いつもなら懇切丁寧に問題を紐解いていくマスメディア、特にテレビ局が報じないこと、「報じない自由」を行使し続けていることは罪深いです。


■ 有識者の声が少ない理由

想像力があり、考えることが苦ではない人、つまり学者などの各方面の識者が何も発言しないこと、発言があっても極端に少ないことを憂いています。
この問題が複雑であればあるほど、色んな人の声が上がり、それを集約していくことが解決の道に繋がると考えているからです。

特に、利害のない大学教授などが発言したらいいのでは、と当初考えていました。また、ジャニーズ児童性加害問題と問題の構成が近しい問題が頻発している、カトリック教会関係者、神学者(キリスト教神学を学ぶ者)は声を上げるべきなのではないかと。

なぜ識者の発言が少ないのでしょうか?
私が考えるにまず、芸能界やジャニーズへの興味や関心が薄いことが第一にあるのではないかと思っています。さらに言うと、発言することへの恐怖心がある可能性も否めません。それはジャニーズ事務所が怖いのではなく、大量のジャニーズファンに猛攻撃されるのではないかという恐怖心です。自ら、批判の的になりにいくことを避けている。この問題に関して発言すれば、どんな建設的な意見であっても、どんな高名な学者でも、荒れてしまうのは必須です。この問題について発言することで損得で言えば、損する可能性しかないというのが沈黙を選ばせているように感じます。
マスメディアが「報じない自由」なら、有識者の方々は「沈黙の自由」ですね。こちらは日本国憲法で保障されている権利なので、私ごときが強制することは勿論できません。でも、個人的には残念に思うことであります。


■ 発言しない一般人

有識者と同様に、一般人(ここではマスメディア・芸能関係者でも、学者でも、ジャニーズファンでもない人を指します)は発言しません。
この「目を背けたくなる」気持ちは、誰しもありますよね。こんな辛い経験をした子どもがいたなんて信じたくない、知りたくないと。それがジャニーズに興味のない層にはより強くなり、この問題を話題にしたくない、しないという選択に繋がるような気がします。
見たくないものに蓋をする。特に男性については、自身も性被害に遭うこと自体を否定したい気持ちが強く、「そんなことは芸能界の枕でしょ」と問題を矮小化して、他人事とするのかなと感じます。実感がわかないのでしょう。自分が男性に襲われるという想像を途中で止めてしまう、思考の停止とも言えます。

ただ、私の周りにいる社会人とこの話題を交わすと、「ジャニーズ事務所は会社の責任を果たしていない」、「このまま縮小するだけでしょう」、「5年以内に潰れるのでは」という非常に冷静な意見を述べていました。そうなんです、ジャニーズ事務所やジャニーズタレントに興味関心のない一般人からすると、ジャニーズ事務所が存続しようが、崩壊しようが関係がないんです。

■ 極一部のジャニーズファン

ジャニーズ事務所やタレントがどうなってもいい人は、この問題がこのまま沈静化しても、痛くも痒くもないんです(勿論、この問題が有耶無耶になることで、性暴力・性犯罪を許す土壌が日本に残り続けること自体は大問題ですが、今は論点をジャニーズ事務所の存続に置いています)

ここで私は何に突き動かされているのか、分かりました。
私は元ジャニヲタと名乗っていますが、今でもジャニーズタレントのことを好き・応援したい気持ちがあります。CDやDVDを購入したり、コンサートや舞台に行くという目立った消費活動はしていませんが、テレビやYouTubeでチェックするぐらいの「好き」度合です。本気で推し活をしている人からすると、ファンと名乗るのもおこがましいと思い、元ジャニヲタと名乗っています。

元ジャニヲタなので、元々ジャニーズファンとの交流やSNS上での繋がりは沢山ありました。ポジティブな部分(ジャニーズの光の部分)では分かり合ってきた過去があります。それなのに、ネガティブな部分(ジャニーズの影の部分)では、一部のジャニーズファンではありますが、意見に賛同することが全くできなくなりました。

それの何がショッキングだったかと言うと、自分の「推し」よりも自分の「推し活」の方が、一部のジャニーズファンにとっては大切だったということが可視化されたからだと思います。天秤にかけたとき、「推し」よりも「自分」なんだと。

つまり、本気でジャニーズタレントの今後を考えたとき、このジャニーズ児童性加害問題を早期に解決することが得策にもかかわらず、そんな動きとは真逆とも言える行動を一部のジャニーズファンはとっていました。告発された方々への誹謗中傷等を行っていたのです。いや、今でも現在進行形で行われています。誹謗中傷自体、決して許されることではありません。告発するだけでも大変な精神的負担にも拘らず、法的措置等のしかるべき対応を促すことは心苦しいですが、誹謗中傷を受けた告発者の方々は対応してほしいとすら思ってしまいます。
ちなみに、元ジャニヲタから言わせると、「推し」の顔写真や「推し」の名前をプロフィールに入れながら、誹謗中傷を行うなんて言語道断です。ファンがタレントのイメージを著しく下げる行為です。


■ 大多数のジャニーズファン

大多数のジャニーズファンはこの問題について「黙る」、「スルー」のコマンドを使っています。これは一番最初に言及した通り、問題構成の複雑さから集中力を切らしているのに加えて、ファンだからこその反応が起こっています。噂レベルでは聞いたことがあった、ジャニー喜多川によるタレントへ対する性加害がこれだけ明るみになっても、それを「受容できず」にいます。大多数のジャニーズファンの受容過程は「否認」、「怒り」あたりに位置する可能性があります。

本来であれば、この問題を早急に「受容」して、ジャニーズタレントのためになる動きをファンダムが起こすべきでした。一部、起こりましたが、それに対しても大多数のジャニーズファンは賛同していませんでした(問題がさらに複雑化しますので、その過程は省きます)そして、悲しいことですが、ファンダムの動きでどうにかなる時期は過ぎています。

ただ、今からでも大多数のジャニーズファンが同じ方向を向いて、行動すれば大きな力にはなりますし、ジャニーズ事務所にとっては何よりの脅威となります。ですが、これまでの約5か月の動きを見る限り、その可能性は極めて低いと感じています。

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