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2023.09.08【アーカイブ】元ジャニーズJr. カウアン・オカモト氏 記者会見――ジャニーズ性加害問題でジャニーズ事務所の会見を受けて



■メッセージ

昨日ジャニーズ事務所が会見を行いました。今日僕の気持ちをお話し、次のステップへ進みたいと思っていました。振り返れば4/12過去に体験したことを率直に話しました。その時は、正直に言えば社会に対してここまで大きな影響を与えることになるとは、想像できませんでした。そもそも、あのときの僕にはそういった問題に発展させようという気はありませんでした。

内容としてはセンシティブな話ですから、予想していないわけではありませんでしたが、恨みを晴らすとか同情されたいと言った気持ちがあったわけではなく、自分に嘘をついて生きていくのはもう嫌だと、あのとき体験した状況について、ありのままをストレートにお話することで自分が変われる気がしていました。

会見で発言したことで、売名行為だとか様々なことがありました。こういうことに対して、世の中はこんな反応をするんだということは実体験として多く学びました。当然、傷付くこともありましたし、精神的にかなり辛かったときもあります。

かと言って、後悔しているわけではありません。そのときの自分は告発が正しかったか、そうでなかったか、僕自身で決めることはできません。その結果どんなことが起きるかについて想像力が足りなかったことを無責任とおっしゃる方もいるかもしれませんが、真実のみを話す覚悟でいました。恐らく、これからも僕はあの会見を開いた人、性加害を受けた人という認識が付きまとうことも分かっています。
それでも自分の大切な人達に嘘をつかずに済むようになったのは、僕の人生にとってとてもとても大きな変化となりました。

そして、ジャニーズ事務所が性加害の事実を認め、謝罪をし、性加害への賠償を具体的に発表されたことで心が少し楽になりました。社長も交代し、経営体制も一新されることも発表されました。会社の規則も厳しくして、世間の目に晒されていくという中、僕からジャニーズ事務所に何かを言うことはもうないと思います。しかし、僕を含めた被害者の方々の心の傷はそう簡単に癒えるものではないと心に刻んでいただきたいです。新社長の東山さんもおっしゃっていましたが、命を懸けても皆さんに向き合っていく覚悟が必要だと思います。

思い返すと4/12の会見で短い期間で様々なことがありました。予想もしていなかったこととして、ジュリーさんと直接お会いすることができました。お会いした状況については、これまでの動画などで話していますが、ジュリーさんというひとりの人間として、接することができる貴重な機会でした。そして、お会いして早々、僕が苦しい想いをしてきたことに謝ってくれました。僕が苦しんだ経験について、寄り添ってくれようとする気持ちは伝わりました。

そして、ジュリーさんは僕に、ジャニーズ事務所に所属している全タレントが性加害に遭ったからスターになれたんだと思われることは、本人達の努力なしで活躍してこられたと思われるのが悲しいとおっしゃっていました。僕もそこに関しては同意見でした。タレント達に罪はないです。僕が見てきたジャニーズのタレントというのは、どんなに厳しい状況でも笑顔でステージに立ち、ファンの皆さんに夢と希望を与える存在でした。

そして、4月の会見でお話しましたが、ジャニーズ事務所への感謝とエンターテインメントの夢を見させてくれたジャニーさんを恨み切れない思いが世間からグルーミングと言われても今でもあります。自分の意思を認めるためにも、全否定することはできません。これまでの数か月間で、同じような被害に遭われた方が沢山声をあげました。その中にはこれまで苦しみを閉じ込めてきたことに対して、償ってほしいという方々が沢山います。実際何があって苦しんだかも、人の数だけあるし、それに対してのケジメの付け方もそれぞれあると思います。

僕は日系ブラジル人の両親の元、日本で育ちました。愛している音楽と出会い、自分の家族のルーツを守りたいと思うようになりました。これから先僕は前に進みます。今回こういった行動をとった過去は消えることがありませんので、その責任から逃げずにいたいと思いますが、できるだけ未来を見ていきたいです。

このような経験をしてすべてをさらけ出した僕が、だからこそ見ている人々に勇気を与えられると信じています。人は誰でも失敗します。もう立ち上がらないと思うことももう生きたくないと思うこともあります。僕は受け入れる方の許すではなく、施すの赦すで乗り越えていけると信じています。日本そしてブラジルを代表できるようなアーティストになって必ず戻ってきます。最後になりますが、僕がずっと抱えてきた心の苦しみに耳を傾けてくださった皆様本当に心からありがとうございました。

■質疑応答

Q.①ジャニーズ事務所の記者会見について、②和解プロセス等があるのか(Arctimesの尾形記者)
A.①まず性加害を認めたこと、被害者へ補償賠償を行っていくことと明言したのを大きなものとして捉えている。これですべてがOKかと言われるとそうではないが…。

②あちらからコンタクトがあったわけではないので、一度ジュリーさんと話したきり。付け加えると、事務所のイメージ払拭することや会社を良い方向に生まれ変わるのはそう簡単ではないと思う。東山さんが一生かけてやっていくという覚悟が必要だと感じる。ひとりひとりに話を聞き、汲み取っていっていただきたい。


Q.屋号変更しないこと
A.ジャニーズの名前を使い続けることにビックリした。ほぼ100%の可能性で変更すると思っていた。勿論寂しい想いもあるが、世間の反応もそういった意見がある。ジャニーズとしての功績が消えることはないが、このように明るみになった状態でジャニーズという名前を使用継続することはマイナスなのかと思う。僕も変わった方が一変して、会社としてやっていけるのではないかと思う。


Q.①ジャニーズファンに対する考え、②ジャニーズ事務所はファンに対して何をすべき(フリーランスのニシムラ記者)
A.①前回の記者会見でこういった事実を世間が知らないときに知っていても信じがたいときに、この事実を知った上で応援してほしいと言ったが、今認められた上でやはりファンの方々から誹謗中傷があったりするが、それにもファンの想いを感じる。「お前がジャニーズを壊しているんだ」「最低だ」とか沢山くるが、恨みはない。たまにカチンときますが(笑)それはファンなので、自分の好きなタレントにどこまでもついていくし、それは素敵なこと。何か証明することはないと思うので、これで皆さんひとりひとりが決めること。

②ジャニー氏なしのエンターテインメントでファンに返していく、その覚悟がないといけない。僕はそれを望んでいる。


Q.ジャニーズ事務所には過去の検証も必要ではないか?(BSTBS報道1930のアカイワ記者)
A.僕も先ほどジャニーズ事務所に生き残ってほしいと思う一方で、正直まず認めるという大きな一歩とは思う。だが、細かいことは色々とある。もっと真摯になって解いていかないと、ジャニーズ事務所は生き残れないと思う。隠してもしょうがないことは沢山あるので、今から認めていってクリーンにしていかないと。全部が失ってもファンは失わない、だから怖がらずにやっていってほしい。


Q.①メディアの報じ方の変化について、②その告発によってカウアンさんの人生はどう変化したか(VideoNewsのジンボウ記者)
A.①メディアに関してはここに立つまでは日本のメディアに関わることがなかった。色んな方々と出会いました。個別に話を聞いてくださった記者さんが沢山来ていただいています。明らかに嫌々やっている人も中にはいるし、親身になって聞いてくれる人もいる。メディア全般に言うと、最初は仕方なくやったと思う。事実認定された以上、メディアも一新して反省して変わっていってほしいと思う。また、世間は放っておかないと思います。

②記者の方々も色んな人がいる。人生で何を大事にしているか、人と関わるとそれを感じる。物質的な表面的なもの、名声やお金をメインとしている人は、僕の言っていることを理解できない。僕の話を聞いて情熱を持って、愛を持って、本当に守りたいんだ、日本を変えたいんだというそういった人々を大事にしていきたい。それは仕事でもプライベートでも。そういう人達がいることは生きる希望になる。
この問題で誰が一番辛いかと言えば、僕のお母さんですよね。お母さんがどんな思いで僕の出来事を聞いて、日々生きているかとか、いっぱい思うことはある。僕はいいけども、お母さんに言えなかったことは沢山あるし、そういう辛い思いは二度とさせたくないなと。お母さんも誹謗中傷を浴びたり、「お前の息子は噓つきだ」「売名だ」と今でも言われている。
簡単な問題ではない。そういったこの問題にこれ以上重きを置きたくない。大きな一歩が認められて、僕もこの場を借りて言いたいのは、こういうことが本当にあるんだ。皆に一番夢を与えてくれたジャニーズ事務所の裏ではそういうことがあったというのはみんなが衝撃だったと思う。15歳で被害にあったとき、僕も信じられなかった。何を信じていこう、夢を追いかけていけばいいか、ステージにどうやって立てばいいか、沢山悩んだこともあった。最初に記者会見をするときは、誰がそばにいたかというと、家族や友達。
正直、ジャニーズ事務所を辞めて日本で活動できなかったです。はっきり言われたことも沢山あります。ジャニーズ事務所が圧力をかけているのとは別として、なんとなく上司が好きだから自分も好きでいなきゃいけないとか、そういう時代じゃない。自分の意思を持って何を大事にしたいか考えてほしい。僕は音楽で魅せていきたいし、今回のことで本当に沢山のコメントをもらった。こんなに熱いコメントはなかった。人生を変えてくれた、勇気をもらえたというコメントがあり、後悔はない。ここからは音楽をやる。最後に死ぬときはひとりなので、いい愛を皆さんに届けていきたいなと思います。


Q.東山新社長について(時事通信のオカダ記者)
A.誰も社長をやりたい人はいない、誰もやれない中で勇気を持って就任されたのかなと思う。タレントに罪はないと思っているので、そこはリスペクトを持って応援したい。経営者としての能力があるかは問われていくが、自身で言っていたがやっていきながらやるしかない、という苦肉の策だと思う。今後も体制や社名は変わっていくことはありだと思う。事務所にとっては、タレントが第一、そして被害者。誰が社長に立とうが忖度なく、プライドは捨てて、何が一番皆にとって良い方向にいくのか考えながらやっていってほしい。


Q.①ジャニーズ事務所は変われるか?②当時風通しも良くなかったか?(日刊スポーツのムラカミ記者)
A.①僕はグルーミングと思われたくないと発言した。東山さんや井ノ原さんは逆の発言を記者会見でされた。感謝は感謝としてあります。それはやっていただいたことや経験したものが人生にとって大事なものを得られた。僕にとって大きなことで消えないこと。ただ、だからと言ってジャニー氏が生きていて会うことになっても、仲良くしようぜとはならない。施すと書いて赦す、恨みや憎しみを持って何かをしない。僕の人生には無意味。こういうことが繰り返されないよう、せめて被害の経験が無駄にならないよう示すことの方が意味がある。
②僕はこの問題で性加害でだけでなく、仕組み、ジャニーズJr.の育て方や契約の仕方、親御さんと会ったりなど改善すべきと思う。在籍当時、2012年頃は契約もなく、ライブごとにライブの契約書や同意書はあったが…。お母さんは事務所の人と誰とも会ったことがなかった。結構そういう人は多かった。先輩から学ぶ、先輩が絶対という風潮。僕自身苦労して、衣装が消えたりとか、靴が無くなったりとか、それで出とちったら振付師に怒鳴られるとか、蹴られるとか色々あった。そういう体制、いじめや暴力など特殊すぎて色々とあったが、そういうものかと思っていた。ジャニーさんが生きていたときから、僕が辞めた以後契約ができるようになったり、振付師が変わったりと変化はあったらしい。風通しがいいかと言われると、めちゃくちゃ悪い。井ノ原さんもおっしゃっていましたが、今の子ども達の顔を見て、圧力かけないよう、彼らの努力が実るそういった体制にすべきと思う。


Q.社会の中で男性の性被害があること、言い出しにくい状況は変わらないが見解があれば教えてください(共同通信のマエヤマ記者)
A.国会にて児童虐待防止法の改正について再度チャレンジしていきたい。ヒアリングでは、僕が告発してから、沢山のDMが届いた。誹謗中傷や応援など様々だが、その中に自分の性被害を打ち明けるものもあった。先生や親や友達、子ども同士であったなど、トラウマがあるといった長文のDMが沢山届く。そういった人達に勇気を与えれたと思うと嬉しいし、そのためにも法改正はやりたいと思う。中には弁護士や議員の方々と話しても今の法律で十分じゃないかという声も多くて、それは確かに納得する部分もある。法以外でもやっていくべきだが、ダイヤルがあるじゃないかとあるが、なかなか子どもが相談しにくいもので、誰が電話するの?電話したら誰が出てきて、何を補償されるの?と誰が守ってくれるの?と思う。ダイヤルももっと子どもに分かりやすい表示に変えたりとか。
「薬物ダメ絶対」と小学校のときに習った。友達からかわいい飴玉貰って食べたら薬物だったりするんだよ、後遺症はこうなって、断り方はこうだよとレクチャーがあった。キャラクターがいて漫画等があった。それをヒアリングで思い出した。「性加害ダメ絶対」を打ち出したらいいと思った。子どもが自分の身を守らないといけない。アメリカでは教えているところもあり、ここを触ったらレットゾーンだよとか。子どもは分からない、15歳だからビックリした。小学生のときに大人から性被害に遭っても分からない。大人になってあれは違う、あれはトラウマになんだとなってしまう。法改正もできれば十分かもしれないが、国レベルで許さないよというアクションを皆が見るので、仕組みとしてやってほしい。法改正と性教育、両方することが大事。

■最後に

どうか皆さん人生色んなことがあるので、自分に嘘をつかないで大切にしてくれる人や愛してくれる人がいる場所に身を置いてほしいなと思います。愛がすべて。



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