クリスマスツリーを飾ること(1)

実家で暮らしていた頃は、必ずクリスマスツリーを飾っていました。(11月中に飾ります。家族みんなでパークへの旅行が大好きだったため、クリスマスの始まり、則ちツリーの出し時はディズニーランドのイベント開始が基準だったのです。最近ではハロウィンが終われば町はすぐにクリスマスムード、が定着していますよね)雛人形を飾り忘れても、ツリーだけは欠かしませんでした。

2m以上の大型のツリーです。家を建てた時に思い切って買ったそうです。父親が本体を物置から引っ張り出してきます。
でっかい段ボール箱を開けると、わああっとツリーの匂いがします。恐らくプラスチックでできたモミ風の葉っぱが独特な匂いを放っているだけ、あるいは物置にごちゃごちゃと置かれた物品の匂いが移っているだけなのでしょうが、紛れもない「ツリーの匂い」なのです。

3つに分割された木を組み立てて、閉じられた針金の枝を広げていきます。脆い葉っぱがわさわさと落ちていきました。床が細長いゴミでいっぱい…
私「これ毎年毎年こんな量落ちてて、ツリーいつか完全にハゲるんじゃない?」
父「確かに、いつかは、葉っぱ無くなっちゃうだろうね。30年後とか?」
私「嫌だなあ、ハゲたツリー」
父「そうだね」
その後は黙々と、葉広げ作業を続けました。ガンガンに付けた暖房の温風に乗って、匂いが家中に充満していきます。



中学生になった私は、今や全ての飾り付けを任されるようになっていました。(幼少期は母のアシスタントとして、小学校に上がると母監修の元で、ツリーを仕立てていました。完璧に)

まず電飾に取り掛かります。段ボールの板に巻いてあるのを、上から渦巻き状に、枝にのっける感じで置きます。以前は父が巻く係、私が段ボール板を持っている係で、2人で一緒にツリーの周りをぐるぐる回っているので、「カメラマンと、コード持ってるスタッフみたいじゃない?!」「佐藤さん!これ持つのお願いします!」などと言って可笑しくなっていました。
次はオーナメントです。うちのはスタイリッシュなシルバーとブルー!色比率は5:4。

袋にたっぷり入ったオーナメント同士が触れ合い「シャラシャラ…」「シャカシャカ…」と鳴ります。すごく心地良い音です。それは微かに、サンタがトナカイでやって来る時の鈴の音にも聞こえます。あれ、「サラサラ…」の方が合ってるかな……飾ってしまうと触れ合うことはないから、この音を聞くことができるのは飾り付ける人の特権です。ルンルンな気分で、その袋を片腕に下げて、バランスを見ながら丁寧に枝に掛けていきます。(雑にやるとハゲるから)

昔は届かなかった上の方も、手を伸ばせば十分に届きます。いつの間に、と少ししみじみする。銀に映り込んでいるのは、確かに子供ではない私でした。「上の方はパパやってー」と言っていたし、オーナメントにうまく輪ゴムを通せなくて母に手本を見せてもらっていたのに。

飾り付けている間は、今までのクリスマスの思い出なんかも思い出して、とても幸せな気持ちになります。しかも、今年は既に町一番に美味しいケーキ屋に、ケーキを予約してありました。「シャラシャラ…」球をゴソゴソやりながら、そのケーキを想像したりもします。ただし味に関しては、ツリーの匂いが強すぎてどうしても想像ができませんでした………


今日はここらでやめて、(2)につづけることにします。