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おすすめ本紹介 「好きです、死んでください」(中村あき/双葉社)

発売前に出版社さんにプルーフ(校正用に刷られた本。発売前に書店員などに試し読みのために配布される)を頂き、とても気に入った本です。
発売されたら絶対がんばって売るぞ! と思っていたのですが……今のところあまり評判になることもなく……売れ行きも含め、とても寂しいです。
今後も推していきたい一冊なので、ぜひここで紹介させてください。

無人島のコテージに滞在する男女の恋模様を放送する、恋愛リアリティーショー「クローズド・カップル」の撮影が始まった。
俳優、小説家、グラビアアイドルなど、様々な業種から集められた出演者は交流を深めていくが、撮影期間中に出演者である人気女優・松浦花火が死体となって見つかった。
事件現場の部屋は密室状態で、本土と隔絶された島にいたのは出演者とスタッフをあわせて八人のみ。一体誰がどうやって殺したのか?
そして彼女の死は、新たな惨劇を生み出して――。
恐るべき事件の〈真犯人〉は誰なのか?
衝撃のラストが待ち受ける孤島ミステリ!

この作者はきっと新本格が大好きなんだろうなあと思いました。
古典もしっかり読んでいるのだろうけれど、何より新本格でミステリを好きになったんだろうなあと思いました。

「孤島」「クローズドサークル」「密室」「顔のない死体」…など物語を構成するガジェットがまさに新本格ファンを大喜びさせそうなもので、それを「恋愛リアルバラエティ」といういかにも現代風のシチュエーションに組み込んでいるところが、「新本格を読んで育った世代がミステリ界の主力になる新・新本格の時代がきているんだなあ」とつくづく感じさせられました。
そして、本作はその「新・新本格」の代表作となってもいいのではないかと思うくらい、面白かったです。

昨年以降、「#真相をお話しします」とか「方舟」とか「世界でいちばん透きとおった物語」とかメディアで取り上げられたことがきっかけで10~20代の方たちもずいぶんミステリ色の強い作品を抵抗なく手に取ってくださるようになりました。
本作もきっと若いミステリファンを増やすきっかけになり得る、そのくらいのポテンシャルのある作品だと思います。
何より、ミステリとしての難易度がものすごくちょうどいいと思います。
店主のようなガチガチのミステリファンも、最近ミステリにはまり出した人も、それほどミステリに触れていない若いファンも、誰もが楽しめるレベル。
ぜひ、多くの人たちに読んでほしい一冊です。

好きです、死んでください 店頭POP

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